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私とフェリシア様が似ている事は、
よく言われるので知っていた。
「当日のドレス・宝石・デート費用は全て出します、
もし、必要ならお金も・・・」
そう言われて、お金までもらえないと、口を挟む。
「お金は大丈夫です、頂けません。
そうですね、ただ王太子妃となる女性が着る物ですもの、
ドレスはいい物でお願いします」
いいドレスをあえてねだる事で、ウィルさんの心の負担が、
少なくなるよう言ってみる。
「いいのですか?」
「ええ」
1日デートをするだけだ、それに公爵となれば、
不埒なまねをする事はないと断言できる。
笑顔で答える私に、ウィルさんは、穏やかな笑顔を見せる。
思わず胸がどきんと跳ねる。
美形が微笑むと、心臓に悪いわ。
「では、いつもドレスを仕立てているお店を教えてもらえますか?」
どうやら、オーダーメイドでドレスを用意してくれるようだ。
そこまで・・・と思わなくもないが、大切なのはウィルさんが
吹っ切れる事、全てお任せする。
「それと、ウィルと呼んで下さい」
「公爵様にそれは・・・」
「恋人なのですよ?」
「普段、フェリシア様からは何と呼ばれているのですか?」
「ウィルと呼び捨てです」
公爵を呼び捨てとは、さすが王太子の婚約者、
それでも、普通貴族間では様を付けるので、
親しい間柄なのかなと推測する。
「それでは、普段はウィル様と、
デートの時だけは失礼ですが呼び捨てに
させて頂いてよろしいですか?」
「普段でも様はいりません」
「それはできません」
あわてて首を振る、
しゅんとした顔をされてしまって、
こちらが申し訳ない気持ちになってしまったが、
伯爵家と公爵家では、大きな差なのだ。
「どうかお許し下さい」
そう頭を下げて言うと。
「分かりました、だだしデートの時は呼び捨てですよ?」
「はい、大丈夫です」
そう言って微笑む。
私は身代わりを引き受けたのだ、
そこはきちんと望み通りするべきだろう。
「ありがとう」
そう爽やかに微笑むウィル様を見て、
まだどきどきしてしまって、
こんなに動揺してしまって、身代わり大丈夫かしら?
と少し不安になりつつも、彼の幸せを願って、
身代わりを引き受ける事にした。