第一章8 『魔獣討伐作戦』
「魔獣の討伐について、話がしたいんだが・・・」
そろそろ思い出話もいいだろう。
エレナは退屈そうにしていた。
エレナも騎士団の入団試験を受けていた。
”身体強化”のスキルはもちろん役に立ち
文句なしで合格していたが、なぜか運び屋を手伝ってくれる流れになった。
ガノフがエレナより俺に興味を持っている意味がわからなかった。
「そうだったな。魔獣に対してどれぐらいの情報があるんだ?」
ガノフは俺に聞く。転移者と話してどれぐらい情報が出たのかを聞きたいのだろうが
こちらが知っている情報は、見た目が亀であること
ケイの生い立ち上、暴れ回るタイプであろう推測程度だ。
もしこの情報をこのまま伝えると、ケイから色々と聞き出すために
どんな手を使ってくるかわかったもんじゃない
「ある程度と言ったところかな。ケイの話は色々と聞いてどんな魔獣か
憶測は立てれたが、余計な誤解を招きたくないのから騎士団が持っている情報と
照し合わせたい。」
そういうと、ガノフは疑うことなく説明してくる。
「全長100mを超える亀のような見た目をしている。
遠くから砲弾を打ってみたが特にダメージを受けているようには見えない
甲羅のせいだろうな。ガードが硬く近づかないとどうなっているか検討もつかん」
俺がノキから聞いた情報とそう変わらないな。ノキめ騎士団から聞いた情報をくれたな。
「なるほど。ケイから聞いた情報的にもっと暴れ回るものかと思ったが・・・」
適当にケイから聞いた情報をそれらしくまとめ、ガノフに説明する。
「なるほどな。で、これからお前は魔獣討伐のために何をするのが得策だと考えるんだ?」
ガノフは俺に聞いてくる。
そういう策を考えるのは俺よりガノフが考えた方が騎士団の力も
発揮しやすいだろうに。
まあ、文句を言っても仕方ない。
「とりあえず、近くに行って見るしかないだろうな。
ここで策を興じたところで、敵にどんな能力があるのかいまいちわからん」
ガノフはうなずく。
「だが、不用意に魔獣に近づきうちの兵士が死んでは敵わん
魔獣に殺された場合は生き返らないからな。」
俺はニヤリと笑う
「まあ、それに関しては策はあるさ
お前の兵士たちがどこまで狂ってるかにもよるけどな」
俺はそう言い、頭に人差し指を当てる
ガノフは笑う。
「まあ、それしか無いわな。
だが、お前ら3人のことは責任を持たんぞ。」
3人とは俺とエレナ、ケイのことだろう。
「ああ、そうそう。案内人チームに一人増えたんだ。
だから4人だな。まあこっちは大丈夫だ」
ガノフは少し考えたような顔をした後
「そうか、これから向かいたい所だがこちらにも準備が必要だからな
明日の朝出発する。ついてきたければ来い。」
最後まで偉そうなおっさんだなと思いながら返事をする
「ではまた明日。」
そう言ってケイとエレナを連れ、部屋を出ようとした時
ガノフに俺だけ呼び止められる。
二人には先に出てもらう。
「お前は、あの転移者を殺せるか?」
ガノフは唐突に言った。