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プロローグ『いつかの世界救った日』
ナイフで人を刺すのはこれで何度目だろうか
力がない俺では、大きな剣を振り回すことはできない。
もし大きく重い剣を振り、首を跳ね飛ばすようなことができれば
苦しませることもなく、ナイフで肉を抉るような感覚を味わうこともなく
罪悪感を和らげることはできたのだろうか。
俺が今殺している相手が何かを言おうとしている
恨み言だろうか、でも聞く余裕はない。
少しでも苦しまずに殺してあげたい、
「――ないで。」
早く死んでくれ。
お願いだから、君を助けられなかったからせめて
「―自分を悪く思わないで」
ああ、やっぱり聞かなければよかった。
こう言うやつだった。自分より人のことを考えてしまうような
お人好し
「君の死を無駄にしない。次にどんな奴が現れても世界は俺が守るから」
そういうと、安心したような顔をして死んでいった。