霊子線
三途の川を渡り切った人たちは、誰か家族や知人など、お迎えに来ている人たちの元に集まる。
その時、頭の上の霊子線が切れた。
その時があの世の住人になったという瞬間。
桜は、自分の頭の上を見上げる。
桜の頭には、まだ霊子線が繋がっていた。
「あれ?私、まだ繋がってる?」
「桜、桜が自分の家でお父さんとお母さんと一緒にいる間、お葬式あげなかっただろう?」
「そういえば、私、それどころぢゃなかったから、気づかなかった。」
桜は、思い出した。死んだはずなのに、お通夜もお葬式もあげているのを見ていない。
桜の身体が事故に遭った後、どうなったのか、知らない。
「桜の身体は、まだ病院のベッドの上にあるんだよ。焼かれていないよ。今、植物人間になって入院しているのさ。」
桜はビックリした。
病院にいるなんて、知らなかった。
家と学校だけにずっとしがみついていたから、その他はどこにもいかなかった。
「桜が戻りたいと思えば、戻れるのさ。」
おばあちゃんは、桜に意味ありげな目を向けた。
「私、戻れるものなら戻りたい!
.....でも、まだ霊界のことが知りたい」
桜は、おばあちゃんに許可が得られるだろうかと、恐る恐る見た。




