三途の川
目を開けると、そこは草原だった。
ポカポカと太陽の光が当たり、あたたかく、爽やかな気分になる。
桜は、ただ純粋に幸せだと思った。
「生かされてるんだよね。私たち魂は。」
おばあちゃんは、桜の気持ちを感じ取っていた。
「神仏の愛で、私たちは生かされてるんだよ。
だから、本当は、どこにいてても、すぐ幸せになれるんだよ。」
おばあちゃんの言葉を桜はじっくりと心で聴いた。
「おばあちゃん、私、こんな幸せな気持ちになったの、久しぶり〜。とっても安心する。」
桜は、太陽を見上げて、笑顔になった。
「そうだね、本来の心に戻ったら、みんなそんな気持ちになるんだ。」
おばあちゃんと桜は、しばらく草原に寝そべって、幸せな時間を大切に過ごした。
「桜、三途の川、見てみるかい?」
「え、本当にあるの?」
「あるとも!古来から三途の川の話が伝わっているだろう?それは、本当にあったから、見てきた人がいるから、伝わってきたんだよ。」
おばあちゃんは、桜の手を握って、目を瞑る。
桜も目を瞑る。
すると、あたたかなポカポカした場所から、少し涼しい場所に移動したのが肌感覚で分かった。
目を開けると、目の前に大きな川が広がっていた。
「わ〜!!これが、あの三途の川!」
桜は、昔話の世界にやって来たようで、ワクワクした。
「桜、三途の川ってね、渡ったら、本当にあの世の住人になるんだ。って言っても、それは、三途の川を渡り切った時に、霊子線という線が切れて、完全に魂と肉体が切り離されるからなんだよ。見てごらん。」
おばあちゃんは、三途の川を渡り切った人たちを眺めた。
桜も同じ方向を見る。
三途の川を渡った人たちの頭の上から透明な、しかし銀色っぽい線が繋がっている。




