久しぶり
「高山だ」
聞こえるか聞こえないか、いやほぼ聞こえないくらいの小さな囁きだった。
はい!!高山です!!皆さん僕が高山ですよ!!
君が名前を呼んでくれたのはそれが最初で最後だったから、山頂から思いっきり叫びたいくらい嬉しかった。
これは2年の時同じクラスだった松田くんと、3年になって初めて会った時の話だ。
ドッチボールが白熱した体育終わりで、汗はかいてるし、髪の毛はぐちゃぐちゃだし、顔は真っ赤だし、メイクも崩れてるし。最悪のコンディションだった。
だけどそんなこと考える暇もないくらい、頭が真っ白になって、ドキドキして、緊張していた。
「ワ!松田くん久しぶり!お、お元気でしたか?」
僕はいきなりに弱い。聞こえないくらいの小さい声だけど、初めて名前を呼ばれた直後だ。気が動転して、自分でもなんだそれって思うくらい意味のわからない挨拶をしてしまった。
『元気…… では、なかった』
2年の時と何かが違うと思ったがそれは髪型だった。前髪をかきあげてて真っ白なおでこが眩しい。それに今は体操服で、よりレア感の強い松田くんに感激していた。
え?待って今すごい見惚れてたけど、もしかして今元気じゃないって言った?
「え?元気じゃなかったの??病気とか??風邪とか??」
『いや。』
「もしかして精神的に辛いことでもあった?大丈夫?」
『大丈夫じゃない』
「何があったの?」
『何があったんだろう』
松田くんはそう言うと、すぐ男子の更衣室に行ってしまった。
僕は何が起こったのか整理できなくて暫くその場に立ち尽くしたんだけど、ひとつの答えに辿り着いた。
松田くんは今日も顔が良い。