僕の話
僕は存在そのものがややこしい。
僕の性別は女だ。だけど、気持ちは男だ。
だが、好きなのは男の松田くんだ。
だから、女の私が松田くんのことが好きなのはごく普通のことで、傍から見てもただの片思いで、
だけど僕は、男として、松田くんが好きだ。
今までは女の子の洋服やスカートを着ることに抵抗があったし、好きになる人も女だった。
だから僕はレズビアンなんだって。そう思っていた。
中学生の頃、親友と恋バナで盛り上がった時に自分はレズで女の人が好きなんだって打ち明けたことがある。
本当に信頼している親友だから、きっと受け入れてくれると思ったから、初めて人に打ち明けた。
親友は一瞬固まって、すぐ笑顔になって「人を好きになる気持ちに性別なんて関係ないよ!」と励まされた。
別に落ち込んでるわけじゃなかったけど、受け止めてくれる人が居たことは本当に嬉しかった。
だけどいつからか、僕がレズビアンであることが噂になっているようだった。丁度もう卒業の時期で、虐められるとかは無かったけど、女の子に少し避けられている気がしたし、いつも距離が近い女友達と距離を感じるようになった。
生きにくい。本当に生きにくい。
高校では絶対にレズビアンだってことを隠し通そう。
自分のこと僕って呼ぶのも辞めよう。
だって僕は僕だけど女だから。