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病は気から

 ――亜矢子は、周囲の人間からたくさんの愛情を注がれて育った。彼女の人なつこさはこれに由来し、彼女の生まれ育った環境が人間形成の場において大きく影響していた。

 亜矢子は、誰にでも優しい。それ故に誰からも優しくされ、誰をも好いて誰からも好かれる。小、中学校と、亜矢子は世間一般において理想とされる様な学校生活を送る。ただ、その上顔も悪くないとされる亜矢子に中学生の時以来彼氏が出来ないのは、彼女のその一途な性格が原因だと言わざるを得なかった。

 2008年、七月。高校に入学した亜矢子には、新しいクラスでもすぐにたくさんの友達が出来た。もっとも、それはそもそも全体的に仲の良いクラスだったのだが、特に亜矢子はその中で中心人物となっていた。

 ただ、何もかもが新鮮な世界で暫くは恋愛に目は向かず、高校の勉強の忙しさも手伝って亜矢子に彼氏はいなかった。

 しかしその年、初めて迎える学園祭で、亜矢子は川越康介がボーカルを務めるバンドのライブを目にする。

 バックライトに映える美形、バンドのメンバーの中でも頭一つ抜けた長身。それでいて、服の上からでも分かる細身。滴る汗を弾きながら熱唱する川越に、亜矢子は一目で心を奪われてしまっていた。

 亜矢子は、夢中になった。友達から川越康介という名を教わり、クラスを知り、事ある度に川越の姿を目で追う様になってしまっていた。その間亜矢子は他の男子から交際を申し込まれる事もあったが、そこには毛程の余地も無い。

「もし、ちょっとでも他の人に気持ちが移っちゃったら、もう一生川越くんと付き合えない気がするから」

 亜矢子が唯一恋の相談をしていた相手には、こうも話している。

 亜矢子は、本気だった。その想いは極まり、翌年、亜矢子は告白を決意する。みなまで言わずとも全てが伝わる、二月十四日のチョコレートを手にして。手作りのそれと手紙を枕元に、前日朝五時半まで眠れなかった事は今でも覚えている。


 一生分の勇気を振り絞って学校に行くと、川越は笑顔で綾子からチョコレートを受け取っていた。

 亜矢子はその日、具合が悪い事を理由に早退した。目の前が真っ暗になるという表現を、亜矢子は心から理解する。

 こうして、亜矢子と川越は言葉を交わす事なく二月十四日は通り過ぎ、チョコレートは亜矢子の胃袋に溶けて消えた。


 ――そして、その数ヶ月後。

『突然ごめん。あやって今彼氏いる??』

テストが終わりました。

今思えば、予め報告しておけば良かったなあ、と後悔。言い訳ですが、更新が滞っていたのはこういう理由です。

まだまだ人知れぬ作品ですが、それでも日々訪れてくれている方には、ご迷惑をおかけしましたことお詫び申し上げます。

これから、また毎日頑張ります。

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