追跡者
物心ついた時にはそいつがいた。
奴は何処にでも現れる。
明るいとこだって、暗いとこだって。
時間さえも関係ない。
驚くことに身体だって大きかったり小さかったり。
どんなに小さくとも僕の下にはそいつがいるのだ。
怖くなって逃げ出すが、奴はぴたりとついてくる。
時には驚かそうと僕の前に現れる。
でも、そいつは何もしてこない。
たまに驚かそうとするぐらいだ。
実害なんてないに等しい。
そんなだから、僕はこいつの存在なんて気にもしてなかったのだ。
でも、なんで...どうして。
何故こんな時に現れるんだ。
こんな大事な時に。
人生を左右するような時に。
僕を囲むように何人もの君がいる。
濃かったり薄かったりするが形は一緒。
僕が驚くと君達も驚いた。
それを見た僕はおかしくなり笑ってしまった。
ははっ。
何だ、お前達もおもしろいのか?
声は聞こえないけど、皆笑ってるじゃないか。
なーんだ。
僕達は似た者同士だ。
だって同じ動きをするんだから。
はぁ、何だか緊張して損しちゃった。
さぁ、見ていてくれ。
僕のずっとすぐ側で。
影があるなら光りがあるんだ。
一番の親友の影ちゃん!
こわくなーいこわくなーい!