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ぐーたらメイドと無能なお姫様〜無自覚スキンシップで女の子陥落大作戦〜  作者: りんご飴ツイン


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第三十話 よし、宣戦布告しよう

 

 ヘグリア国からの使者と名乗る魔女と無表情女は王妃との謁見に通された。あんな危険人物を見逃すなど悪手にもほどがあるが、実際に彼女はヘグリア国国王からの書状を携えた正式な使者であった。それを殺せば、アリシア国の外聞が悪くなるとの判断だろう。


「あ……ファルナちゃん」


「ミリファさんっ!」


 今日はもう帰ったほうがいいと第七王女に言われ、ミリファが大人しく帰路についているのはそれだけかの魔女を恐れているからだろう。一刻も早く逃げたかった。できるだけ遠くに離れたかった。情けない話だが、良くも悪くも本質的にはただの村娘でしかないミリファにはこの恐怖を押さえつけることができなかったのだ。


「わ、わわ、ミリファさん!? なんだか今日はいつもよりも熱烈に抱きしめ……ミリファさん?」


「ごめん。少しだけこのままでいさせて。お願いだから……もう少しだけ」


 ファルナの身体に回した腕に力を込める。怯えは震えとなって現れていた。今にも泣いてしまいそうなほどに恐怖が止まらない。


 あの魔女はミリファを見ていた。

 標的と定めていた。


 あれだけの殺しをばら撒き、あれだけの悪趣味を披露した怪物がただの村娘をできるだけ苦しめて殺そうとしているのだ。


 そんなの耐えられるわけがなかった。

 怖いに決まっていた。

 逃げ出すに決まっていた。


「あの、その、私はいつでもミリファさんの味方だよ。何があったのか、えっと、わからないけど、元気出して、ね!」


 痛いほどに強く強くミリファを抱きしめ返すファルナ。友達が何かに苦しんでいるのならば、彼女は無条件で味方となりそばに立ち続ける。出来ることなんてこうして抱きしめてあげることくらいしかないかもしれないが、己にできることは何だって尽くすことだろう。



 ーーー☆ーーー



 魔女は玉座の間に集まった『ご馳走』を前に舌なめずりをせずにはいられなかった。


 美貌の第一王女クリスタル。

 人脈の第三王女オリアナ

 魔法の第四王女エカテリーナ。

 武力の第五王女ウルティア。

 政治の第六王女ミュラ。

 無能の第七王女セルフィー。


 引きこもり気質な魔導兵器の第二王女リゼは姿を現していないが、それにしても豪華な顔ぶれであった。


 後は玉座に座るお飾り王様のそばに立つ王妃を見つけ、魔女はニタニタと笑いをこぼす。


 ……他にも宰相など上層部の面々が存在していたが、魔女は視界にすら入れていなかった。


「あらあら。ガラクタの陰に隠れていたお人が本日は何の御用でしょう?」


「にひ☆ だからヘグリア国の使者として来たんだって。というわけでさっさと読んでよーっ!」


 取り出した手紙を王妃へと投げる魔女。ヘグリア国の国印で封をされたそれを開き、読み、王妃は不審そうに眉根を寄せた。


()()()()()()()()()のは予想通りですが、第一王女を渡せば侵略をやめにするとはどういうつもりですか?」


「どうもこうも字面通りだよー。で、どうする? 第一王女を渡して戦争を回避するなんて空気読めない真似するなら()()()()()()しかないんだけど。まぁこっちとしても『今日』はそーゆーノリはなしでいきたいとだけ言っておこうかなー」


「あらあら」


「おほほ! お母様、何があらあらですの!? 向こうが仕掛けてくるというのならば、返り討ちにするのみですわ!!」


 魔法の第四王女エカテリーナの言葉に異を唱えたのは政治の第六王女ミュラであった。


「魔法しか取り柄のないお馬鹿さんは黙っていてほしいのです。戦争なんて起こらないなら起こらないのが一番なのです。ここは政治を駆使する場面なのですよ」


「なっ! 姉に向かって……っ!!」


「別にいいんじゃなーい? こいつらぶっ壊してやりたいし、仕掛けるってんなら粉々に粉砕してやるだけだしー」


「人脈としては第一王女という人財をどう使うつもりかが気になりますのでごぜーますが」


「…………、」


 武力の第五王女ウルティアは殺意をむき出しに、人脈の第三王女オリアナは興味深そうに、美貌の第一王女は冷徹に魔女を見据えていた。


 そして、魔女は王妃しか見ていなかった。

 結局は彼女の意見が国の意見となることを知っていたために。


「で、どうするー?」


「そろそろ『運命』を本格的に進めたいと思っていたところです。戦争、始めましょうか」


「にひ☆ 流石は王妃様、話がわっかるうー」


 死肉は笑う。

 死を纏う怪物は心底楽しいと言いたげに。



 ーーー☆ーーー



 肌からしてつるりとした無機物的な質感であった。表情からして作りものめいていた。魔女と共に使者として訪れた女は話の推移をまったく気にしていないようだった。


 だから細身の剣を腰に差し()()()()()()()()()()ダークスーツに身を包んだ無表情女は謁見が終わり、『攻め』を司る王族直属の白露騎士団団長含む精鋭十数人に迫られても表情一つ変えなかった。


 代わりに魔女は楽しげに表情を歪めていたが。


「お送りする」


「にひ☆ 白露騎士団の団長さんじゃん。健気だねー。上からの命令で監視に出てきたんだー」


「使者をお送りするだけだ」


「そう答えるしかないんだよねー分かるよー」


 きっちりと磨き上げられた銀のフルアーマーの女であった。頭の先から爪先まで鎧で包み込んだ彼女こそが白露騎士団団長である。眼帯の男が真面目ちゃんと称していたことからも分かる通り、真面目に職務を全うしているのだろう。


「まーなんでもいいけどねー。にひ、にひ、にひひっ☆ たのっしーなー。生き返った甲斐があるってものだよっ」


 ぐちゃりと腐った口元を綻ばせ、スキップでも弾ませるように正門から主城を出る魔女。魔女の悪趣味はここからが本番であった。



 ーーー☆ーーー



 その日、ノワーズはある医療機関を訪れていた。その手で両腕を切り落とした女の子のお見舞い……なんて立派なものではない。己が罪の確認。逃げずに立ち向かう、そのための通過儀礼であった。


 その女の子は医療ギルドの構成員に付き添われ、中庭のベンチに腰掛けていた。塞ぎ込んでいるという話であったが、こうして病室から出てくれているだけでも一歩前に進めているようだ。


「顔も見たくないと拒絶されるものだと思ってたんすけどね」


「そう……」


 どこか投げやりな声色だった。

 どうでもいいと言外に告げるような。


「確かジュリちゃんでしたっけ。私はノワーズ=サイドワーム、鳳凰騎士団の団員っす」


「ふぅん」


「……っ」


 天真爛漫な女の子であったはずだ。

 ノワーズはほんの二、三言葉を交わした程度であったが、それでも年頃の女の子らしい明るい子だということは感じられた。


 見る影もなかった。

 伏せられた瞳も力なく投げ出された足も疲れ果てたような声色も、あの時の女の子の面影なんて微塵も感じさせないものだった。


 ノワーズがこうした。

 彼女の力が及ばなかった結果がこれだ。


 焼きつけろ、と少女騎士は言い聞かせる。これが弱さの導いた結末だと、お前のせいでこうなったのだと、もう二度と繰り返すなと。


 ただし。

 そんな自己満足を表に出すような性質を持っていないのか、女の子の両腕を切り落とした時のように嘲笑で()()()()()いたが。


「母親は死んだっす。だからってそうやって腐っていても何にもならないっすよ」


「騎士様っ!」


 そばに控えていた医療ギルドの構成員が咎めるように声をかけていたが、こんなやり方しか思いつけない騎士は止まらなかった。


「殺された母親の影を追いかけるのはやめにしたらどうっすか?」


『それ』だけは触れてはならない部分だった。

 分かっていて、ノワーズは土足で踏み込んだ。


「……っ! お、まえが……ママを守れなかったお前がぁ!!」


 勢いよく立ち上がって、しかしふらりと体勢を崩す女の子。咄嗟に医療ギルドの構成員が抱きとめる。ギリギリと歯を食いしばる音が少女騎士まで届いていた。


 感情むき出しな憎悪を前に少女騎士は嘲笑を消すことはなかった。


「なんだ、まだまだ死んでないじゃないっすか。投げやりになるのは早いっすよ。母親を死に追いやったクソ野郎はこれからも騎士を名乗って悠々自適に生きていくんすから。だったらジュリちゃんだって生きないといけないっす。私を殺すもよし、幸せを追い求めるのもよし。ああでもあのクソ野郎は私が殺すっすから、そっちに喧嘩売るのはやめといたほうがいいっすよ」


「人殺しが……っ!!」


「そうっすね。恨んでくれて結構、殺してやりたいならいつでも勝負を受けるっす」


「殺すための腕を奪ったのはお前だろうがぁ!!」


「そうっすね。それがどうかしたっすか? 腕がないなら足で蹴り殺したっていいし、口で噛み殺すのもありだし、頭で殴り殺すのもありっす。腕がないから『未来』を諦める理由はどこにもないっす。ないなら代用すればいいだけなんすよ。だから──やりたいことをやればいいっす。もちろん私だって騎士っすから、そう簡単には殺されないっすけどね」


「偉そうに言いやがって。わたしは聞いたもん。あの時わたしたちを追いかけていた魔導兵器は騎士でもない人が壊したって! わたしよりも少し年上の女の人にも倒せるくらいだったってことを!! そんなのにも勝てないほどに『弱い』くせにぃ!!」


「……そうっすね」


 おそらくこんなのは間違いだ。

 他に賢い慰め方だってあったはずだ。


 だけど、ノワーズにはこんなものしか思いつけなかった。それでもせめて彼女だけは幸せに生きて欲しかった。


 だから、その憎悪はノワーズが請け負う。少女騎士に押しつけ、叩きつけ、いつの日か殺せるほどに成長してくれるのを──両腕がなくとも不自由しないくらいに成長してくれることを願って。



 と。

 その時だった。



「にひ☆ 元気そうだねー騎士様。『今日』は殺しはなしの刺激少なめ平和日和なんだけど、せっかく『この肉体』手に入れたことだし、存分に楽しみにきたよー」


 それはフラグメントとやらを操っていた女の声だった。魔導兵器越しではない肉声のものだということは本体が姿を現したのか。


 風に乗って漂う()()()に顔をしかめる少女騎士。バッと振り返り、腰の長剣に手をかけた少女騎士はそこで悪趣味の極みを目撃する。


 白露騎士団の精鋭どもや無表情のダークスーツ女はどうでもいい。それらを引き連れた『死肉』にこそ魔女の悪趣味は凝縮されていた。


「あ、あ……」


 すっかり腐った『死肉』は、しかし生前の名残りを残していた。せめて完全に腐りきって顔の判別がつかないほどであれば、気持ち悪いと思うだけで済んだというのに。


「ママ……?」


 それはジュリの母親の『死肉』であった。

 心臓に魂を内包した魔石を組み込んだゲテモノはぶぢぶぢと口の端を引き裂きながら、笑みの形を作る。


 あの母親が決して浮かべない、暗い悦楽に満ちた笑みを。


「どうもどうも。『今日』はお礼にきたんだよー。キミの母親を殺した張本人たる私がその肉体を好きに使ってまーす。にひ☆ 本当感謝してるんだよ? これがなかったら流石の私も死んでたからさー!」


「あああ、ああ、いや、やだ。もうやめてよ。ママをそれ以上傷つけないでよぉ!!」


 殺すだけでは足りないのか。

 女の子から母親を奪うだけで満足していなかったのか。


 喪失が底だと思っていた女の子に更なる絶望を突きつけるためだろう、魔女はぶぢぶぢと口の端を右の指に引っ掛け、引き裂き、笑みの形を作る。


「にひ、にひひっ、にひゃははは!! わざわざ使者なんて請け負った甲斐があったよねー。この死肉使ってるんなら、やっぱり有効活用しないとっ」


 ああ、やはりあの死肉の中には『奴』が蠢いている。この悪趣味さは先の事件でも散々見せつけられた。


 魔導兵器の使用者。

 先の事件の首謀者。


「こんのクソ野郎が! ぶっ殺してやるっす!!」


 なぜ白露騎士団の面々が奴に付き添うように展開されているのかなんて知ったことではなかった。腰の剣を引き抜き、地面を蹴り、一直線に魔女めがけて駆け出す。


「待ってくれ! 今この場でヘグリア国の使者を殺すのは対外的に見て……っ!!」


 何やら前に出たフルアーマーが喚いていた。無視して突っ込んだ。『くっ』と悔しげに息を漏らし、仕方ないと腰の剣を抜くフルアーマー。


 だが、そう、少女騎士は最初から『無視していた』。応じるように剣を振るうフルアーマーだが、少女騎士が剣を構えもせずに無防備に突っ込んでくるものだから、首を切り落とす寸前で止めるしかなかった。


 完全に無視していた。

 その硬直の隙を縫うように横を通り抜ける。


「ああもうっ。止めろ!」


 返事はなかった。

 ゾッバァン!! と凄まじい轟音が返ってきた。


 団長と違い多少の損傷は許容すると言いたげに剣を向けてきた騎士の群れをノワーズが放った『気剣(スラッシュ)』が根こそぎ薙ぎ払った音だった。


 直属の上司たる鳳凰騎士団団長との訓練の賜物である。その天才的戦闘センスはすでに王族直属騎士を物ともしない領域に到達していた。


「ハァアアア!!」


 真っ直ぐに心臓めがけて突き出される切っ先。不可視のエネルギーに底上げされた突き、すなわち『気突(スピア)』。仮想敵たるフラグメントだろうが一撃で刺し貫くほどに鍛え上げた技を前に魔女は指先一つ動かすこともできなかった。


 あまりの速度に反応できずにいるのだろう。現に魔法陣すら見せていないのだから、ここから魔法での反撃は遅い。


(仕留めたっす!!)



 ドグシャアッッッ!!!! と。

 ()()()()()()



 果たしてそれが圧縮された空気を上から落とされた結果だとノワーズは気づけたか。魔法陣を必要としない力、『魔力技術(フォトンアーツ)』にも似た高速戦闘技術。


 だが、そもそも魔法陣が必要なのは魂が亜空間に存在するからだ。魂が具現化した魔法を亜空間から現実世界へと召喚するために必要なのだ。逆に言えば現実世界に魂が存在するのならば、わざわざ魔法陣を召喚せずとも魂が魔法を具現化したそばから解き放てばいい。


 そう、心臓に埋め込んだ魔石に魂を内包している魔女にとって魔法陣は無用の長物と化している。


「やっぱり騎士様はちょうどいいにゃー。間食にぴったりな食べ応えだよねー」


「く、そ……野郎がァ!!」


「うんうん、ナイス『演出』☆」


 そこからは一方的な蹂躙であった。

 起き上がろうとしたノワーズの頭を圧縮空気で覆い硬度を付加した足で踏み潰す。ミシメシッ! と頭蓋骨が軋んだと思えば、少女騎士が横たわる地面が盛り上がり土の槍が突き上げられる。胸板を強打され宙を舞ったところでその肉体を無造作に掴み、そのまま地面に叩きつける。


 もちろん抵抗しようとした。その手に握った剣を振るおうとした。その前に手首を踏み潰され、腕が地面に噛み潰されるようにめり込む。


 呆気なく武器を封じられれば、もうどうしようもない。踵が額に落ちる。割れ血潮が飛んだ。目に入り視界が赤く染まる。額だけにとどまらない。何度も何度も落ちる硬質化した質量が身体を打ち据える。


 地面に取り込まれた腕とは逆の腕を動かそうものなら、その都度風の槍や炎の剣がはたき落とす。


 魔女が馬乗りになる。その頰を張り、腹を指で千切り、喉を殴り潰す。子供が虫の足を引き千切り無邪気に楽しむようにだ。


「ぐ、おああああ!!」


 その叫びにはどんな感情が込められていたのか。意味はない、暴力がねじ伏せるのみだ。


「そこまでだ! それ以上続けるようであれば、こちらも相応の対応を行う必要がある!!」


 フルアーマーの団長が魔女の首筋に刃を突きつけた瞬間、『待っていた』と言わんばかりに彼女は両手をあげてみせた。


 悪趣味はここからだ。

 恐怖とは苦痛とは絶望とは、こうやって引き出すのだ。


「ごめんなさーい、もうしませーん。騎士様が弱っちいものだから調子に乗っちゃったけど、こちらのフルアーマーな団長さんが出てくるなら大人しく退散しまーす」


 ああ、それは。


「いやあ、強くなってたねー。前よりも断然強かったよー。まぁ前と同じで騎士様の行動なんて結末にまったくこれっぽっちも影響与えていなかったわけだけど。ねえねえ誰かを守る立場の騎士様が他の騎士に守られるってなにそれー? ただの足手まといじゃん。ああ、そうか。そんなので騎士を名乗れるんだ、騎士の価値ってそんなものなんだ、誰かを守る力がなくたって構わないんだ。──そんな役立たずに存在価値あるのかなー???」


「……ッッッ!!!!」


 肉体的な損傷なんて気にならないほどに、その言葉は精神を砕く暴虐に満ちていた。



 ーーー☆ーーー



 散々楽しむだけ楽しんだ魔女は医療機関を離れていた。白露騎士団の精鋭たちや無表情女を伴って首都を出る。防壁に囲まれた街を見つめ、欲望がとめどなく溢れてくる。


「今度来る時は恐怖も苦痛も絶望もしっかり絞り出してから滅ぼしてあげるからねーっ! それまで待っててよ☆」


 だから。

 だから。

 だから。



 ドッバァン!!!! と。

 炎の流星が魔女の頭部に突き刺さった。



 グヂュリッ!! と肉が弾け骨が砕ける嫌な音を響かせ、死肉が薙ぎ払われる。地面を転がる。そんなクソ野郎を見据え、炎と風を纏う流星(エリス)は静かに拳を握り締める。


「やあ、クソ野郎。随分と顔を変えたみたいだけど、その醜悪で腐りきった『魂から響く声』や吐き気を催す『魔力(フォトン)』は忘れないわよ」


「がふっ、べぶばふっ。だから、『今日』はそーゆーノリじゃないんだけ──」


 最後まで言わせてやる理由はない。地面に横たわる魔女を縫い付けるように炎の槍が叩き込まれ、風の槌が両足を叩き潰す。


「ご、が!?」


 首都に漂う魔力を辿り魔女まで到達したエリスは真っ直ぐに殺意を力と変える。


「殺し損ねていたようだし、今度こそ殺処分してやらないとね」


 そのまま醜悪に顔を歪める魔女へと拳を叩き込んだ。

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