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天才と変態は紙一重...

一日のうちに二度も刺されるという稀有な経験をした濃厚な一日を終えて、朝を迎えた。

防御力を上げているとはいえまた襲撃されるのも怖いし結局徹夜になった。

いくらダメージを受けないとは言っても、襲撃を受けて睡眠をとろうという気にはならなかった。

幸いにも自分で体力のステータスを下げない限り睡眠は必要ないみたいだし。


エイタ:「そういえば、適当に作った薬品だけどそんなに価値があったの?」

所持アイテムの中から適当に調合した薬品だったけど。

ふと、今日の換金所の反応を思い出してAIさんに尋ねてみた。


AI:「調合できる薬品の種類は術者の生まれ持った才能と熟練度に由来します。

エイタ様の所持する特殊能力<完全調合師>はこの世界で調合可能な全ての薬品を調合できる能力です。

おそらく国宝クラスの薬品が調合されたようです。」


さらっととんでもないことを言い放つ。

迂闊だった自分の行いを悔いながら朝食を食べに向かった。








昨夜のお詫びも兼ねているみたいで、朝食は凄まじく豪華なコース料理だった。

ちなみに体力ゲージが高い上に、特殊能力<自然回復>の影響で食べなくても生きていける。

つまり体力全回復の状態でポーションを連続使用するような状態だったけど、美味しかったから良しとしよう。


朝食の後は町に出て、衣服を仕立ててもらった。

と言っても貴族のような豪華な服ではなく活動しやすいスーツみたいなものを仕立てた。

昨夜の襲撃もあるし、あまり派手過ぎずかつ質素すぎない普通の服装を目指した。

三日を目安に完成を目指すらしく、完成すれば宿に連絡を入れてくれるらしい。


仕立て屋を出て町を散策していると突然、馬車が目の前に留まる。

馬車から降りてきたのは身なりの良さそうな銀髪の男性。

ちょうど洞窟であったあの子にそっくりな髪のような。


銀髪の男性:「君がこの薬品を調合した調合師で間違いないか?」

昨日換金所に持って行った薬品を手に問いかけてくる。


エイタ:「はい、そうですけど...」

言葉に出した後に後悔した。

面倒ごとに巻き込まれないためにもごまかすべきだったかな?


銀髪の男性:「素晴らしい、私はジェンセン・ポートランドと言う。

この町の町長をしている。

是非お話を訊かせてもらっても良いか?」

子供のように目を輝かせながら訊いてくる。


エイタ:「はい...」

勢いに押されてOKしてしまった。


さぁさぁと馬車に乗せられて向かったのは町の中央に位置する広大な屋敷だった。

馬車が到着するとそのまま屋敷の応接間らしき部屋に案内された。

すっごいふかふかなソファに腰かけるとすぐに紅茶が差し出された。


エイタ:「美味しい...」

あまりにの美味しさについ口に出してしまった。


ジェンセン:「おお、この紅茶のすばらしさが分かるかね。

このブレンドは私が旅をしながら調合したものなのだよ。

調合のために怪しげな毒キノコを食べて生死の境をさまよったのも良い思い出だ。」


ものすごくどこかで聞いたような話だ。

もしかしなくてもこのチャレンジ精神はあの子とそっくりだ。


エイタ:「実はこの町に向かう途中で、洞窟で銀髪のサーシャという女の子と出会ったのですけど、もしかして?」


ジェンセン:「おお、サーシャに出会ったのか。

元気にしていたか?」

少し寂しそうな表情を一瞬だけ見せたと思うとすぐに切り替えて訊いてきた。


エイタ:「元気に実験していたみたいです。」


ジェンセン:「ははは、やはり血は争えないものだな。

サーシャは私の娘だ。

ゆえあって今は洞窟で生活しておる。」

やっぱり家出だったみたいだ。


エイタ:「もう一人ユーナという女の子もいましたけどその子も娘さんですか?」


ジェンセン:「知らん!」

突然強い口調で否定する。

気まずい沈黙が続いた後にごほんと咳払いをして話題を切り替えた。


ジェンセン:「ところでこの薬品を調合できる調合師に初めて会えた。

王国の調合師はに会わせてもらえず、話さえして貰えないのだ。

一応私なりの調合法で試したことはあるのだがこんな完成度の薬品は初めて見た!」


こっそりAIさんに教えてもらったところ、どうやらスキルで直接調合できない薬品も他の薬草の調合などを経て最終的には調合しうるらしい。

そこは自分の世界の薬と同じで、調合技術で足りないものは材料の工夫や調合のタイミングで補えるみたいだ。

ジェンセンさんもおそらく人並み以上の努力でスキル以上の薬品を作ってきた努力家らしい。

単に性格の影響のような気もするけど...


ジェンセン:「実は君の調合技術を見込んで試してみたい調合が254通りあるのだが頼めないだろうか?」

これは本気の目だ。


応えに窮してしると、赤髪のいかにも貴婦人のような女性が現れてジェンセンさんを窘める。


貴婦人:「あなた、お客様が困っているでしょう。

主人が申し訳ありません。

主人はこの通りの人ですから、良く言えば熱心、悪く言えば周りが見えません。

すぐに帰りの馬車を用意しますのでお逃げください。」


ぶつぶつと文句を言っているジェンセンさんをよそに執事らしい男性に案内されて馬車に向かった。

屋敷から聞こえてくるジェンセンさんの奇声に驚きながらも屋敷を後にした。



ちなみに奇声は夜も続いて、町民の間で町長が変な生物を屋敷で飼っていると噂が流れました。

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