本当に神様になってしまいました。
目を覚ますと、やっぱり自分の部屋。
自分:「やっぱり夢か、俺はこの社会を否定する。」
ポーズをとってある種自分の決めゼリフを叫ぶ。
そしてそれをまじまじと見つめる女性。
夢で見た確かケルビムとかいうキャリアウーマンだ。
自分:「なんでおりゅん?」
赤面しつつポーズを解除しながら変なイントネーションで訊ねる。
ケルビム:「なんでと言われましても、まだご案内の途中ですので。」
良かった、まだ夢の続きみたいだ。
この年で黒歴史をつくるのは本気で泣けてくる。
中学生ならまだしも良識的な判断ができる年齢での黒歴史は本格的に心に響く。
自分:「確かエオンの神界に案内するって話だったんですけど、ここ自分の部屋なんですけど?」
少し落ち着きを取り戻してやっと言葉が出た。
ケルビム:「確かにこちらがエオンの神界になります。
神界はその世界の神の思い通りの空間です。
初期設定では最も落ち着く空間で設定されていますので、あなたの場合は自室になったようです。
とりあえず、何か欲しいものを思い浮かべてみてください。」
本当なら便利過ぎる空間だな。
とりあえず、お腹も減ったしハンバーガーでも食べたい。
そう思った瞬間目の前に本当にハンバーガーが現れた。
とりあえず、口にしてみる。
自分:「おいしい、というか夢の中なのに味覚まである?!」
ケルビム:「こちらは夢の中ではないので五感はありますよ?」
さらっと衝撃の事実が明らかになる。
夢じゃない、本当に神様になっちゃったの?
ケルビム:「それでは業務の説明に参りますがよろしいでしょうか?」
呆然としている自分をよそに訊いてきた。
自分:「はい、お願いします。」
ケルビム:「神としての業務には基本的に制約はございません。
ただ定期的に神が集まって報告会が開かれます。
その時までに自らの世界の様子を10分程度のパワーポイントにまとめてプレゼンしてもらいます。」
急に社会人っぽくなってしまった。
というか神様もパワポ使うんですね...
ケルビム:「神と言っても千差万別です。
積極的に世界に関わって信仰を集める神。
神界に引きこもってぐうたらして過ごし放任主義を貫く神。
神の在りようは自由です。
ちなみにあなたの世界の神、つまり私の産みの親は初めのうちは我々を地上に派遣し積極的に介入していました。
そのうちなんか違うとおしゃって飽きたみたいで、現在はご存知の通り放任主義という名の引きこもりになられました。」
知りたくなかった、自分の世界の神様のそんな近況は...
ケルビム:「とりあえず神の業務に便利なアプリをインストールしているタブレットをお渡しします。
そこにユーザーマニュアルがあるのでそれを見れば大抵のことはなんとかなります。
ここで案内を終了しますが、何か質問はございますか?」
質問なら山ほどあるけど一つ一つ訊いていったらキリが無い。
自分:「特にないです。」
面接で言えば確実に不合格決定な返答をする。
ケルビム:「それでは案内を終了します。
平日の10時~19時まではコールセンターに連絡すれば可能な限り協力いたします。
こちらが連絡先になりますので、それでは。」
名刺を渡された。
というか神様のコールセンターってフリーダイヤルなんですね...
名刺を見つめながら呆然自失としていた。
とりあえず、物語が一段落するまで連投します。