57話 勝利のその後
私はキディングス家にローラン様のお見舞いに行くことにしました。
そして今はキディングス家の応接間で、ローラン様に取り次いでもらっているのを待っている最中です。
どの貴族も戦争の後処理に追われていて、忙しそうにしています。
居残り組はその後処理をしに徐々に出発していました。
そして戦場に居た者たちも徐々に国に帰ってきています。
まずはランベルト様が帰国。
パレードしながら王城へ向かっていました。
盛大な拍手と歓声。ランベルト様は少し痩せた感じに見受けました。
アンナ御姉様も、つわりも終わり安定期に入りました。
アンナ御姉様は王城にてランベルト様を待っています。
しばらくはこちらの家には帰ってこないでしょう。
代わりにノーレン御姉様が帰ってきています。
カイル様が南の方の後処理へ向かわれたのです。
とは言っても、完全に安全って訳ではありません。やはり心配をしています。
それにノーレン御姉様の宣言通りに、ノーレン御姉様は妊娠しました!めでたいですわ!
しかし、お母様の子供は、産まれた瞬間から同い年の甥か姪が二人出来ることになります。ちょっぴり可哀想だと思いました。
そして、産まれてくる命もあれば、奪われた命もありました。
この戦争で我が国の軍は一万七千人出陣し、うち二千人が犠牲になりました。民衆を足せば約五千人です。
それでも前回の戦争に比べれば断然被害は少ないのですが、やりきれません。
1ヶ月後に追悼式を行う予定となっております。
シャベールお兄様ももう少しで帰国とのことでした。
後処理に残れと言われたらしいのですが、今回の英雄は間違いなく、シャベールお兄様とローラン様です。しかもシャベールお兄様は休みなしでカンチス王国に攻め込んでいきました。
なので、シャベールお兄様は
「嫌です。帰ります。これだけ活躍したからいいでしょう!私の役目は終わりました。」
と言ってさっさとカンチス王国を出発したそうです。
仕方ないので今はギオレットお兄様が後処理に追われているのです。
これからカンチス王国をどうするかとか人事とか、やらないといけないことが盛りだくさんです。お父様もカンチス王国に行く予定になっているみたいですが
「嫌だ」
と言い張っているみたいで周りを困らせているとか····。
行ったら当分帰ってこれないので、お母様とお腹の赤ちゃんが心配なのだと思いますが····。
堂々と断るところは、流石はお父様とシャベールお兄様は親子ですわ!
コンコン
ドアをノックする音が聞こえました。
「はい。」
「失礼いたします。」
キディングス家の執事が入ってきました。
「ローラン様が部屋へお通しするようにとのこですので、ご足労ですがローラン様のお部屋までお願いいたします。」
動けないんだから当然だわ。
「わかりました。」
私は返事をして執事の後をついていきました。
コンコン
「ローラン様、フレア様をおつれしました。」
「入れ。」
執事の方がドアを開けてくれて、入るように促してきた。
私はローラン様の部屋に入り、少し驚きました。
何とも殺風景でした。必要最低限はありますが、生活感がないのです。
「やあ、フレア。」
ローラン様は笑顔で話かけてきました。
「ローラン様、お帰りなさい。」
私はローラン様が寝ているベッドへ行き笑顔で挨拶しました。
「ありがとう。無事で····とは言えないけど、何とか生きて帰ってこれたよ。」
「ローラン様····。」
涙が浮かびます。
「こんな情けない姿は見せたくなかったんだけどね。仕方ない。」
ローラン様は苦笑しながら言ってきます。
「情けなくないですわ!凄く活躍したと聞いております!ローラン様が命を張って戦ったからこそそ勝利が出来たといっておりましたわ!」
「····みんな命を張って頑張ってたよ。沢山の人が犠牲になった。こんなことならもっと早く一騎討ちに持っていっておけば良かったと後悔しているよ。あんなに強いなんて思ってなかったから···。」
「······。」
「後の祭りだけどね。でも本当の活躍者はシャベールだろ。シャベールのやつそのまま敵国に攻め込むなんて····だがあいつらしい。シャベールだからこそ出来たと思う。あいつは本当に凄い!そんな奴に親友だと言われて光栄だよ。」
ローラン様は嬉しそうに語っています。
私も笑顔になります。
「ローラン様、身体の大丈夫ですの?」
「ああ。大丈夫だよ。早く動かしたいけど、医師から大丈夫と言われてすぐに動いたから怒られてね。無理をしたからまだダメだって言われた。」
お互いにクスクスと笑う。
そしてローラン様は真剣な顔して
「フレア、完治したら改めてアンドリエ家に伺うよ。出発前に言ったこと覚えてる?」
プロポーズのことですね····。
「····はい。」
「その時までに決めていて欲しい。」
「····わかりました。」
その後はお見舞いの品にローラン様の好きなクッキーを焼いて持ってきたのを渡しました。
それからすぐにおいとましました。
私にはやらなけばならないことがあるから·····。
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私はすぐに王城に向かう予定でしたが、ちょうどお父様が帰っていて、すぐにまた王城に戻るとのことでした。
シャベールお兄様が先ほど着いたらしいのですが···。
あれ?お兄様はこの戦争な立役者ですわ。パレードはありませんでしたよね?と言うか王城に近づいてきたら、早馬がきていつ頃着く予定と知らせがきてからパレードの用意をして待っているものなのですが····。
「あいつは部下を置いて自分だけ早馬で帰ってきたんだ。」
はいー!?シャベールお兄様!?
「早くフレアと会いたいから報告をすぐして帰ると言って聞かないらしい。私も帰ってきたばかりなのに、また行かねばならぬ。」
お父様はかなりお怒りのようで、眉間のシワが凄いことになっております。
「せっかくミチルダと····」
そっちで怒っておられますのね····。
うん?そういえば、出発前の約束·····。
「お父様!シャベールお兄様にみっちり、詳しく、物凄く詳しく報告を漏れのないように聞いてくださいね!」
お父様は私の必死さに驚いた顔をしていましたが、
「分かっている。いってくる。」
「いってらっしゃいませ!何なら今日はお疲れだと思いますので帰ってくるのは明日で!とお伝えください!」
私はお父様が乗っている馬車に手を振りながら叫びました。
····ヤバいですわ!シャベールお兄様が無事に帰ってくるのは嬉しいですがご褒美が!
本日は王城へ行ってリンクス王子様に会うつもりでしたが止めておきましょう。
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その日の夜。
「フレア!お兄様が無事に帰ってきたよ!」
もう寝ようかと思ってる矢先に、シャベールお兄様が帰ってきました。
「·····お帰りなさいませ。ご無事で何よりですわ。」
私の反応に
「あれ?フレア、私が帰ってきたのに喜んでくれないのかい?」
「そんなことございませんわ。とても嬉しいですわ。シャベールお兄様の活躍はお聞きしております。」
「そうかそうか!」
シャベールお兄様は嬉しそうに、うんうんと頷いています。
「ではシャベールお兄様、私はもう寝ますので····。」
そう言って布団に入ろうとしたら、ガシッと肩をシャベールお兄様に掴まれて阻止されました。
「フレア~。お兄様が大変な所から帰還したのに冷たいよ。今からお風呂に一緒に入ろう!」
シャベールお兄様はニコニコして催促してきました。
ですが
「嫌です!」
私はすかさずお断りしました。
「何で?」
「夜も遅い時間じゃないですか!私はもう寝る時間なのです!」
シャベールお兄様はがっかりした·····と思いましたが、
「分かった!では私は今からお風呂に入ってくるから一緒に寝よう!」
今度は一緒寝ようだなんて!
「え!?嫌です!」
「フレア、私は凄く大変な場所にいて、死と隣合わせて頑張ってきたんだよ····。しかもずっと一人寝だよ?寂しくて寂しくて···。フレアの約束だけを頼りに頑張ってきたのにひどいな·····。」
シャベールお兄様は悲しそうな顔してうつむきました。
「······。」
どうしましょう····確かに凄く頑張ってました。そんなこと言われると断れないじゃないですか····。
シャベールお兄様はまだうつむいてます。
「·····わかりました。今日は一緒に寝ますわ。」
シャベールお兄様は私の返答を聞いた途端にガバッと顔を上げ、
「本当に!?」
私に顔を近づけて聞いてきました。
「えっ····ええ。」
シャベールお兄様近いですわ!
シャベールお兄様はまぶしいくらいの笑顔になり
「では早速お風呂に入ってくるよ!」
急いで私の部屋から出ていきました。
部屋の外から
「あらシャベールお兄様帰ってたの?」
リリアン御姉様の声が聞こえた。
「リリアンか!帰ってきたぞ!」
「お帰りなさい!シャベールお兄様····」
「リリアン、私は忙しい!また明日な!お休み!」
シャベールお兄様はバタバタと階段を降りていきました。
「何あれ···」
リリアン御姉様は呆れたように言い、自分の部屋に入っていきました。
私はため息をつき、ベッドの布団の中へ入りました。
シャベールお兄様はそれからちょっとしてから、
「フレア!上がったぞ!さあ!一緒寝よう!」
と言うの同時に布団に入ってきました。
シャベールお兄様は私が仰向けの状態で横になり、逃がさんとばかりに両手両足でがっちり私の身体をガードし
「お休みフレア。」
嬉しそうに挨拶をしてくれました。
「····おやすみなさい····。」
そして明かりを消して目を閉じました。
·····シャベールお兄様、鼻息が荒くないですか?耳元に暖かい息が····
シャベールお兄様の硬くなったものが私の骨盤に当たってます····。
シャベールお兄様····本日は女性の元へ行かれた方が良かったのでは?
シャベールお兄様はクンカクンカと頭の匂いを嗅いだり、グリグリと下半身をくっつけてきたり、鼻息が荒かったりと、恐怖を感じずにはいられませんでした。
ピィーちゃんは隅の寝床の籠の中でこちらをじっと見てます。
今のシャベールお兄様にはピィーちゃんも近づけないかもしれませんが、
ピィーちゃん!私に何かあったら助けにきてね!
私はそう願いながら、眠りにつきました。
お読みくださりありがとうございます。




