閑話⑤ 僕はグリちゃん
お知らせ
活動報告にも記載しましたが、しばらくは1日置き投稿に変更させて頂きます。
申し訳ございません。
僕の名前はグリちゃん。
僕のお母さん替わりは人間のマリア。
僕は産まれた時からマリアが本当のお母さんだと思ってた。
でも声出しても
「ピィー(ママ)」
としか言えないし、マリアにも通じてないみたいだった。
マリアには器用に動く「手」があるけど、僕にあるのは空を飛ぶ為の翼だ。
その時に僕は「人間」ではないと気づいた。
マリアは大切に育ててくれた。でも僕は魔物のいうもので、人間に害をなすからあまり外には出ないように言われている。
だけど、自由に飛びたい!
マリアは苦痛な顔をして
「グリちゃん、本当はこんなことしたくないけど、テイマーしていることにするね。」
と言われ、変な男どもに色々されたが我慢した。もしこいつらを傷つけたらマリアに迷惑がかかると思ったからだ。
まだ雛の時から、よく顔を見たのが、マリアの旦那さんでもあるザリブだ。あとは幼い馴染みのミチルダとフローラ。二人とも良く可愛がってくれた。
ミチルダは僕が雛の時にはもう結婚をしていて、子どもが既にいた。お腹の中には二人目がいると言っていた。
ミチルダの旦那さんである、ダンを見たときには恐怖しかなかった。殺されると思い僕はマリアのスカートに隠れて震えていた。
今だにやつは怖い!近寄りたくない!
ミチルダは優しくていいやつなのに、何であんな奴と結婚したのか分からん!
ミチルダが僕を撫でてるだけで睨んでくる!
だから奴が来たときには外に逃げるようにしていた。
やがて、ザリブとマリアが結婚し、二人の男の子を授かって、産まれた時は子どもの面倒も見てやった。例え羽を引っ張っられて引きちぎられようが我慢した。
最初に覚えた言葉が「ママ」でも「パパ」でもなく「グッ」だったのは僕の自慢だ。
二人とも「グリ」と呼ぶ、それをマリアがいちいち「グリちゃんよ!」と訂正しているが、正直僕はどっちでもいい。
グリピーツフォンは縄張りがある。
産まれてから一年くらいで狩りをし始めた。本能ってやつだな。自然に出きるようになった。半日は外の森ですごした。
そんな時に何匹かの グリピーツフォンに出会った。
僕よりも一回りは大きかったが、縄張りを荒らされたら闘うしかない。
ゲガを負いながらでも勝った。
死骸は持って帰りマリアに渡した。最初は驚いていたが、どうやらお肉は美味しい、羽は装飾に使え、高く売れると言うことで感謝されるようになった。
気づいたが、どの グリピーツフォンも僕より一回り、二回りくらい大きい。
僕は人間に育てられたから小さいのかな···少し落ち込んだが、小さいからといって弱い訳ではない!
それが自慢だ!
よくミチルダ、フローラとのお手紙というやり取りで、お使いに出ていた。
それは決まって夜。昼間に街を飛んでいると、間違えて襲われると勘違いする人間が出てくるからと飛行を禁止されてるからだ。
グリピーツフォンは目もいいので全然大丈夫さ!
ある日のこと、自分の縄張りを巡回していたら、一匹の グリピーツフォンがいた。
また懲りずにきたな。
僕は追い出す為、そいつに向かって行った。
そいつは僕に気づいてこっちに向かってくる。
うわ!
こいつ、今までのやつらより大きい!僕の三回りくらいはある!
さすがにビビったが、逃げる訳には行かない!やるしかない!
お互いに戦闘に入った。
死闘と言っていい。やはり大きい相手にきつかった。お互いにかなりのゲガをしている。
一旦上昇してから立て直して、攻めるかと思い上昇したら、木の一番高い所に一つの巣があった。
そこには グリピーツフォンのメスがいた。
····なるほど。あいつはメスを守る為に闘ってるのか····。
初めてメスを見た。メスは僕を見ていた。
とりあえず、あいつを倒さないことには何も始まらない!縄張りもあるし!
僕は一気に降下し、やつが足をこちらへ向けた瞬間に高速回転をし、やつの頭の上を取ることが出来た。
そして頭と首を捕らえることができ、潰しにかかったが、僕は両足ともに負傷しており痛みで潰すことはできなかったが、やつは墜ちていった。
それを見届けて、また上昇し、メスがいる所に行った。
メスは驚いた目をして、僕から目を反らした。
何故?僕は勝ったんだぞ!?
よく見てみるとメスは卵を抱え温めていたのだ。
本能がその卵を落とし、そして足で潰せといっている。
だが····
その時にメスは下に向かって
「クルルー!クルルー!」(私の子どもを殺さないで!早く助けにきて!)
と言った。
····このメスはあのオスが好きなんだな。多分、卵を壊してメスの所にいったら番になれるだろう。
····だが····
僕は賭けることにした。オスはまだ死んでない。逃げたり、もう少し待ってこちらへ来ないようなら、無理やり番になると。もしここまで来たら····
僕はじっと下いるオスを見ていた。そしてそのオスはメスに応えるように、フラフラとしながらでも飛んでこちらにやってくる。
そして停まっている枝の近くまでくると
大丈夫だな。
僕はそう思いその場から去った。
やはりせっかく番になったのに離すのは主義じゃない。卵も産まれてるし、こっちが諦めるしかないだろ!
ちょっぴり涙が出たが後悔はしなかった。
それからは、やつにはかなり深手の怪我を負わせてるので、守ってやることにした。
メスに飢えたオスはかなりいて、なかなか大変だったが、マリアには喜ばれた。
『お前、変なやつだな。闘った相手を守ってるなんて。』
『勘違いするな。そのメスがお前がいいって言うから退いてやったんだ。なのに他のオスに取られるなんてことあったら、我慢できないだけだ。』
『····。』
『安心しろ。お前の怪我が良くなったら、お役目ごめんでお前らの前には来るつもりはない。』
『····ありがとう。いいやつだな。お前にもいいメスに出逢えることを祈っておく。』
····余計なお世話だ!正直、メスに逢える確率は低い。別に独り身でも構わないさ。マリア達がいるから寂しく···ないやい!
暫くしたら怪我も良くなったので、そこへは行かなくなった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それから月日が流れた。
ある日、マリアの所にミチルダが娘を連れてやってきた。
マリアがミチルダと抱き合って泣いていた。
どうかしたのか?喧嘩でもしたのか?
いつものマリアが一方的に怒っているだけとは違うのか?
何故か、ミチルダと娘がいる馬車が去って行くのを、マリアはいつまでも見送っていた。
「グリちゃん。ミチルダが遠くまでどっかに行っちゃった。またいつか逢えるよね?ミチルダが笛でグリちゃんを呼ぶと思うから行ってね。」
マリアが僕を抱きしめながら言ってきた。
それから、ミチルダの旦那さんや色んな人間がマリアの元にきた。
「本当にしつこいわ!」
マリアが怒っている。僕はなるべく家に帰るときは、裏の森から帰るようにしていた。
ある日、かすかに僕を呼ぶ音が聞こえた。かなり遠くからみたいで聞き取り難い。
マリアが言っていた、ミチルダが呼んでるかもしれない。
とりあえず、僕はかすかに聞こえる方向へ向かって飛びたった。
音が止み、そしてまだ音が聞こえた。それを頼りに飛んでいく。
たまに同じ仲間を遭遇し戦闘になったが、なるべく隙を見て逃げた。無駄な殺生はしていけないと、マリアに言われている。今はこちらが縄張りに入り込んでいるならな!
逃げるのは嫌だが····。
夜には獲物を狩り食事をし、湖では水分補給をしながら、笛のする方向へ向かった。
どんどんと、音がはっきり聞こえてきた!あと少しだな!
僕は頑張って飛んだ。
だがかなり遠くからだが、前からワイバーンの群れがやって来ていた。
勝てないことはないと思うが数がいるのと、早くミチルダの元へ行きたかったので、森の中で低空飛行をすることにした。
するとゴブリンが数匹いて、こちらに気付き向かってきた。
あいつらアホだからな。
足で頭を潰して瞬殺して先に進んだ。
今度はオーク。面倒だが同じことをして瞬殺。
こいつの肉は旨いからかな。少し食事をして進んだ。僕が去ったあとにウルフが群がっていたが無視だ。
音がかなり近い!
ちょっぴりの血が翼と足についている。
久しぶりにミチルダに会うのにこれはダメだな。
僕はちょうど見つけた湖にザバーンと入り、身体を振るって水分と飛ばして、乾かしついでに飛行を再開した。
多分この辺だよなあ。ある家の上で旋回する。
音が止んだから分からない。このまま飛んでたら人間がびっくりして攻撃してくるかもしれないから、もう一度森に戻るかと思ったが、また笛が鳴った。
やはりこの家だな!下を見ると、窓を開けて笛を吹いているミチルダを見つけた。
ミチルダだ!
僕は急降下してミチルダのいる窓から部屋に入った。
「グリちゃん!わざわざ遠くまでありがとう。」
ミチルダが僕を抱きしめて頭を撫でた。
僕は
「クルルー」(いいよ!)
と返事をした。
視線を感じて見ると、ミチルダの娘も部屋にいた。
ミチルダにそっくりだな。じぃーと見る。
ミチルダが水と餌を持ってきてくれると言うので大人しく待つ。
その間にミチルダの娘が僕の頭を撫でた。
ミチルダと入れ替わるように娘は部屋から出ていった。
ちょっとしたら娘はまた部屋に戻ってきたが、娘の腕の中に何かがいた。
それはグリピーツフォンだった。
ミチルダの娘が話かけてきた。
「グリちゃん、この子は私のお友達のピィーちゃんって言うの。グリちゃんと仲間だから仲良くしてあげてね。」
僕の仲間···小さい!まだ産毛がある!何て可愛いんだ!しかもメス!?
緊張しているのか、こちらを見ようとしない。
僕はトテトテとその子の所までいき
『僕グリちゃんっていうんだ!ピイーちゃんよろしくね!』
ピィーちゃんはビクッとしたけど、挨拶をしてスリスリしたり毛繕いをしてあげた。
ピィーちゃんは途中逃げたりしたが、追いかけてスリスリした。
慣れてくれたのか、ピィーちゃんもスリスリをしてくれるようになった。
····まだ先になるけど番になって欲しいな。
僕は本能で、窓を嘴でつつき、ミチルダの娘に窓を開けてもらって外に出た。
求愛をする為に餌を探していた。
ピィーちゃんは小さいから、大きいのはダメだ!すると、木の上で走っていた小さいな生き物を見つけた。
あれによう!
小さい生き物は逃げる暇もなく、僕の嘴で頭をひとつきして生き絶えた。
それをピィーちゃんに持っていった。今度は外にいた。
ピィーちゃんの前に餌を置くが見向きもしてくれない。
·····これは断れたのだろうか···
少し落ち込んでいると、ミチルダの娘がやってきて、「これはピィーちゃんは食べない。これを食べる。」
と教えてくれた。
僕も小さい時に食べてたやつだった。僕はもう一度立て直して、探しまくった!いっぱい取れた。見ると、ピィーちゃんは既に食べていた!
急いで求愛行動をした!
『僕のお嫁さんになって!』
多分、分かってくれたと思うんだけど、ピィーちゃんは夢中で餌を食べていた。
僕の求愛を受けてくれたと信じることにした。
夜には蹴られたり、踏まれたりしたけどへっちゃらさ!
早く大きくなってね!僕の花嫁ちゃん!
お読みくださりありがとうございます。




