↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

学園 王道? 魔法少女

作者: アカイクツ
掲載日:2016/09/09

タイトル通りに検索し、欲望のまま書き綴った。

よくある魔法少女誕生の学園風。

こんな魔法少女誕生の話がよみたいなと思って書きましたから、魔法少女に思い入れが強い人は気をつけて下さい。


誤字脱字、表現がおかしいは募集中です。

 少し昔を語る。


 全ての始まりは、本来の月の半分程もある赤い月が突然出現した事に起因する。

 突如として出現した赤い月に当時の人々は恐怖し騒いだが、本当の恐怖は始まってもいなかった。

 人々が本当に恐怖したのは、赤い月より姿を現した赤き魔物たちが世界中で暴れ始めてからだ。


 赤き魔物たちに通常兵器は通じなかった。


 それでも各国の人々は戦い、徐々に国として保てない国も現れてもそれでも戦った。人々の絶望が支配したのは、人が使っては成らない兵器を使い。

 それでも赤き魔物を倒せなかった時だ。


 最終手段だった。

 それでも赤き魔物を倒せなかった。

 人々が絶望し敗北を感じたとき、奇跡は舞い降りた。


 五人の魔法少女。


 光り輝く鎧を身にまとい、彼女たちは降臨した。

 後に、運命の始まりと呼ばれる最初の魔法少女たち。

 魔法少女システムと呼ばれる、人が作り出した赤き魔物用の決戦兵器。

 その最初の使用者たち。


 彼女たちは、一切の兵器を受け付けなかった赤き魔物たちを次々に倒していった。

 だが、赤き魔物たちも黙って倒されるだけではなかった。

 赤き魔物と魔法少女。

 一進一退の攻防は、遂に最終戦を迎えた。


 赤き魔物たちの本拠地である赤い月落とし。


 赤き魔物たちは赤い月を地球へと降下させ始めたのだ。最大戦力にて魔法少女たちを足止めした状態での突撃。

 それに対して魔法少女たちが取った行動は、魔力暴走に魔法の共鳴。傷ついた二人の魔法少女を残し三人の魔法少女が赤い月へと舞い上がって消えた。


 世界を黄金の光が包み、赤い月は二つに砕け落下は阻止された。


 世界を救い、三人の魔法少女は地球へと帰還した。


 生き残りの赤き魔物たちは、壊れた赤い月へと後退し。

 最終戦は人々の勝利に思えた。


 「その時にあの映像が流れたのよね」


 プレカードという。スマホに変わって人々の情報ツールとなった銀色の板で、映像や文字を空間に投影する事が出来る。そして、空間に投影するのは、終わりの映像と呼ばれる瞬間。


 帰還した三人の魔法少女が、人々を見て微笑みながら光の粒子と成って消えていく瞬間を映した映像。


 その後、残された二人の魔法少女が泣き崩れる場面で映像は消える。


 「むぅ、また見てる」


 「これは覚悟の映像だからね」


 甘栗色の髪をツインテールにした少女と黒髪をボブヘアにした少女は、教室の机を挟んで休み時間らしく喋っていた。


 だが、その教室の風景は普通の学校とは違っていた。

 少女たちが話しているのは三階の教室、窓の外には空高く舞う少女たち。


 「皆、頑張っているよね」


 「他人事?」


 「それはないよ、じゃなければ、こんな学園には来ないよ」


 「それもそうね」


 二人の少女は椅子を立ちベランダへと向かう。

 外では白い服に身を包んだ少女たちが、広大なグラウンドを人を越えた速度で走り。数十メートル、数百メートルと飛び上がっている。


 セント・クリスタル学園。

 次代の魔法少女を育成する機関として存在し、そこにいる少女たちは次代の魔法少女となる可能性を秘めている者達だった。

 最終戦を行うも、未だ、赤き魔物たちの脅威は終わっていない。


 「行くよ、ミク」


 「うん」


 二人の少女はベランダから飛び出す。


 「「ホワイト・ベール」」


 魔法少女が身に纏うドレスは現在三段階に分類されていた。

 ホワイト・ベールは魔法少女候補生たちに下着とも呼ばれ、魔法少女候補生となるには、この第一段階のドレスを纏える事が必須条件となる。


 二人の少女は光りに包まれ、白いドレスを身に纏う。


 「今日は何をするの?」


 「そうだね、マラソン!」


 ボブヘアの少女はグラウンドに降り立ち走り出し、ツインテールの少女ミクがその後を追う。それは、マラソンと言えるスピードではない。

 短距離走の用な速度でグラウンドを走り抜けていた。









 「あ~、疲れたよ」


 「お疲れ」


 ボブヘアの少女は、ミクの頭をポンポンと叩く。


 「私って、カラー・ベールっていつ起動出来るのかな?」


 カラー・ベール。

 ホワイト・ベールの次の段階とされ、ホワイト・ベールの進化系になる。ホワイト・ベールからカラー・ベールへの進化条件は示されておらず、また人によってその色は違うが、カラー・ベールこそが魔法少女となる条件のになる。


 「一年生で起動出来た人は、現魔法少女でもいないからまだ無理じゃない?」


 現魔法少女。

 運命の始まりの五人の魔法少女の後に誕生した魔法少女。

 現在、世界に八人がいるが、八人ともセント・クリスタル学園の卒業生であり。

 三段階式の魔法少女使用者だ。


 「運命の始まりではない魔法少女か」


 現在の魔法少女と運命の始まりの魔法少女とは、魔法少女としての在り方が違うと言われている。

 運命の始まりの五人の魔法少女にはホワイト・ベールもカラー・ベールもなく。魔法少女へと至ったとされ、存在の根本から違う。


 「彼女たちは本当に奇跡よ。その運命も力も」


 運命の始まりと現在の魔法少女が区別される要因として、二つの事が上げられる。

 力と奇跡。

 力、それは身に纏う魔法少女のドレスの事。

 現在の魔法少女に成るには、ホワイト・ベール、カラー・ベールと来て魔法少女へと至る方法が取られている。これは運命の始まりの魔法少女たちとが直接魔法少女のドレスを身に纏うのとは違い。安全性も魔法少女へと至るのに必要な補佐も行ってくれる。

 ただし、一つ問題があり。

 運命の始まりの三人の魔法少女が行った魔法の共鳴が実現できていない。

 残された運命の始まりの二人では実験で共鳴が起きていることから、現在の魔法少女システム事態の欠点とされ、未だに解決はされていない。


 もう一つの奇跡。

 運命とも言われる偶然であり必然。

 それは五人の少女が、魔法少女へと至った運命としか言えない奇跡に由来する。

 一人は、輸送途中だった魔法少女システムを赤き魔物が襲撃。たまたま、その現場にいて実験で誰も発動させられなかった魔法少女システムを発動させ。魔法少女へと変身した。

 一人は、放棄された魔法少女研究所に食べ物を求めて忍び込み。隠されていた魔法少女システムを見つけて、発動させた。

 そんな話が五人共にあり。

 故に、運命の始まりと呼ばれる。

 まさに奇跡。


 「その奇跡が学園に来ているらしいわよ」


 二人の会話に割り込んで来たのは、眼鏡に三編みの少女だった。


 「え、本当に?」


 「クニアお姉さまと一緒にね」


 「クニアお姉さままで!」


 クニアお姉さまは、現在の八人の魔法少女の一人。

 新緑の魔法少女のドレスを身にまとい。幻影、幻想の魔法を得意として、必殺魔法、新緑の牙は全てを飲み込み砕く。


 「ところで奇跡の方はどっちが来ているの?」


 「蒼き薔薇さま。全ての魔法少女の初りの魔法少女」


 ミクとボブヘアの少女に緊張が走る。

 これがもう一人の生き残りである魔法少女であれば、二人とも騒いだだろう。だが、蒼き薔薇の二つ名に二人ははっきり言ってビビっていた。

 

 「でも、見てみたいよね」


 「怒られるわよ確実に」


 「だよね、アハハ」


 ミクはわざとらしく笑い項垂れる。

 蒼き薔薇と呼ばれる最初の魔法少女は厳しいと噂されている。特に、最終戦でパートナーであり一番仲の良かった魔法少女を失ってからは更に厳しくなったと言われていた。


 でも、見てみたいな。


 魔法少女候補生達にとって魔法少女はまさに憧れ。

 そして、ミクはミーハーだった。

 ミーハーだが小心者でもある。

 怒られるのは嫌だった。


 




 「やっぱり、行けば良かったかな?」


 放課後、何時もなら賑やかな放課後の校庭をミクは一人、トボトボと歩いていた。

 何時も一緒のボブヘアの友人は、情報をくれた三編みのクラスメイトと来校した魔法少女を見に行くとは、まさか思ってもいなかった。

 意外にミーハーだった我がルームメイト。

 この静かな校庭も、皆さまたぶん二人の魔法少女を見学に行っているのだろう。


 「はぁ、何をしているんだろう。私」


 つい愚痴が出る。

 生まれてから平凡を絵に書いたような生き方をしてきた。

 学校の成績は何時も中間、顔や運動能力も平均的。

 身長は少し低いが、やっぱり中間より。

 そんな私が、魔法少女の素質があって変われると思っていたけれど、学園に来てみればやっぱり中間。

 良くも悪くもない。


 顔や体型は仕方がないけれどね。

 その点に関しては諦めている。


 でも、訓練だけは努力をする。

 それは仲の良いボブヘアの友人も認めてくれているが、小心者のせいか、初めての実戦だと体が動かなくなると聞いて、初期訓練を中心に鍛練を積んだりもしている。

 初期訓練とは、設置された機関銃の前に立ち動き回る訓練。

 ホワイト・ベールを身に付けているとはいっても、それなりの傷は追う。

 それでもどうにも上位には行けない。

 ボブヘアの友人など、ミクの三分の一の時間で楽に上位にくい込んでいたりする。


 二学年になればカラー・ベールを発動させるのも直ぐだろう。


 カラー・ベールを二学年で発動出来るのは、上位の数人とされている。最終学年になれば、ミクもカラー・ベールを発動させる事が出来るかも知れない。


 「やっぱり嫌だよね」


 最終学年でのカラー化は嫌だと、ミクは何時ものように反応訓練施設に入る。

 少しでも早くカラー・ベールを身に付ける為に、魔法少女と成るために。

 才能がないから、ミクは訓練を重ねることにした。


 「銃撃音?」


 施設は防音だが、流石に建物に入れば少しは漏れて聞こえてくる音もある。

 だが、その音は何時もよりもかなり大きい。


 「へ?」


 ホールへ向かい観覧場から訓練所を見て、ミクは驚きに固まった。

 ホールに設置されている機関銃の数が以上だ。最大数の十機が動いている。

 それを難なく避けている姿は、生身。

 ホワイト・ベールでもカラー・ベールでもない。ただの服。


 「蒼き薔薇さま?ひ!」


 今の呟きが聞こえたとは思えないが、銃弾の雨の中を避けていたその人はミクを見た。

 銃撃音が止み土煙が収まっていくと、その人はゆっくりとミクに向かってきた。


 「訓練にきたのかしら?ごめんなさいね、つい懐かしく成ってしまって使ってしまったわ」


 その人はやはり蒼き薔薇さまだった。


 「こ、こんにちは、蒼き薔薇さま」


 「ふふ、きちんと挨拶も出来るのね。こんにちは、それにしても貴女は私たちを見に行っていないのね?」


 言われている意味が分からない。

 蒼き薔薇さまはここにいる。ここにいる人を見に行ける筈もない。


 「蒼き薔薇さまは、ここにおりますが?」


 「あら、私はクニアと一緒なのよ?」


 「クニアお姉さまとですか?あ!」


 何を言われているかが分からなかったが、ようやく意味に気がついた。クニアお姉さまの得意魔法は幻影、つまり蒼き薔薇さまはクニアお姉さまと一緒なんだと。


 「やっと気がついたのね。と、からかい過ぎたかしら、ごめんなさいね。ふふふ」


 「い、いえ!とんでもないです!」


 「そう?それにしても貴女真面目なのね。私たちを見に行かずに訓練なんて」


 「それは、私、才能がないからで」


 ミクは自身の事を話す。

 小心者で訓練をしていないと不安になる事を。


 「ふふ、そうなの?だったら少し見てあげるわ」


 優しく微笑む蒼き薔薇さまの提案に、ミクは何を言われたのかが分からなかった。






 ・・・・・・・・・・・。


 「あ、ありがとうございました」



 ミクはボロボロな姿で頭を下げる。

 蒼き薔薇さまの指導は僅かな時間だったが、スパルタだった。

 いつもは何機で訓練しているのかと聞かれ、最近、二機に増やしたと言ったら五機を準備された。しかも、避けるだけでなく反撃訓練まで行わされ。

 ミクは自分の普段の努力が、砂糖の蜂蜜漬けのように甘甘だったと教えられた。


 「努力とも言えない訓練では努力ではないわ、後は、貴女しだいだから頑張りなさいね」


 「はい!」


 贅沢な蒼き薔薇さまの直接指導を受て、時間が来た蒼き薔薇さまにお礼を告げたミクは、もう一度訓練へと戻り。


 それを蒼き薔薇は、魔法で覗き見て嬉しそうに笑った。





 「真っ暗」


 何時も以上にボロボロで、体が痛むがミクは暗くなった校庭を眺めていた。


 「間に合うかな?」


 つい訓練に夢中になり時間を忘れていた。

 プレカードに、頼んでいた本が入荷したと連絡が入っていて慌てて時間を気にした。

 ミクも通常は電子書籍を使っているけれど、お気に入りは態々紙の本を買っている。

 時間を見てみれば、どうにか街まで行って本を受け取って戻ってきても、寮の門限には間に合いそうだ。


 ミクはプレカードで呼んだ二人乗りの小型無人タクシーに乗り込み行き先を設定する。

 無人タクシーはモーター音を立てて街へと向かう。

 赤い月出現以前は、車の渋滞という風物詩があったらしいけれど。赤き魔物との戦いで人口が大幅に減った事もあるが、基本的に車の自動化で渋滞なく。タクシーは街まで進む。

 目的の書店まで来るとミクは直ぐに飛び出し、書店のカウンターへと向かった。


 「えへへ」


 少しだらしない顔で本を抱き締めたミクは、帰ってからの至福の一時を妄想しながらタクシーへと乗り込もうとして、それに気がつく。


 赤い光がスポットライトのようにタクシーを照らしているのだ。


 「まさか直上!」


 ミクが夜空を見上げれば、砕け半壊した赤い月が禍々しく輝いている。


 悲鳴が街に響き渡る。


 「赤き魔物?!」


 それは赤い月からの光りに照らされゆっくりと姿を現した。

 体長は五メートルはあるだろうか、赤よりも固まった血のように赤黒く。

 四枚の羽を広げ、体にも負けない巨大な腕を振り上げ。

 降り下ろす。


 「ホワイト・ベール!戦闘空間展開!」


 動けたのは訓練の賜物か、ミクはホワイト・ベールを出現させ。戦いの為の空間を広げ。赤き魔物と対峙する。


 が。


 『%&¥▽△◎※&○!』


 赤き魔物から光が溢れるとミクの張った戦闘空間はあっさりと消滅し、赤き魔物はタクシーを踏み潰していた。


 「戦闘空間が破られた?!まさかS級」


 もしくはただ単にミクの能力不足もあるが、どちらにしてもミクの能力での戦闘空間は役立たずなのは間違いがなかった。


 「だったら!」


 既に街には警報がなり人々は避難を開始している。

 しかも、この街の側には魔法少女育成学園があり、今、二人もの魔法少女が来校している。

 ならば、ミクのやるべき事は一つ。

 時間稼ぎ。


 「相手してあげる!」


 既に警報により学園にも赤き魔物出現の一報は行っている筈だから、二人の魔法少女が来るまで持てばいい。

 タクシーで学園からここまで四十分。空を飛べる魔法少女なら五・六分。でも、出動するまでに数分かかるとして、目安はやっぱり十分か。


 「十分間!持てばいいなら全力防御で乗り切る」


 自分は時間稼ぎ、ただの囮と割り切り。ミクは赤き魔物の前に立ち、全てを防御に回すが赤き魔物の一撃はミクを叩き潰す。

 たった一撃で、ミクの体を守るホワイト・ベールはミクの血に染まる。


 ホワイト・ベールごときの魔法防御なんて無意味なの・・・・。


 「だったら!」


 今の一撃であばら骨がいった。

 治癒をかけながら、今度は正面から受けずに素早く動きながらの防御に変えるが、赤き魔物はミクの動きを上回り。

 まるで蝿のようにミクを叩き潰した。


 「十分、十分でいいの・・・もってよ!アイスアロー!」


 初期の氷魔法での攻撃。当然、赤き魔物には通じないが、ミクにとっての目的は時間稼ぎ。

 僅か十分という時間が以上に長く感じられる。

 ミクはあの手この手で時間を稼ぐ。

 全てが赤き魔物に通じなくとも、ミクはただただ時間を稼ぐ。

 それしか出来ないから。

 それしか方法がないから。


 「ぎゃぁぁぁぁぁ!」


 赤き魔物の今までにない鋭い一撃は、ミクの左肩を潰していた。

 時間稼ぎも出来ないの?

 痛みに意識が奪われようとする時、夜空に蒼き一閃が走った。


 ミクの攻撃も防御も通じなかった赤き魔物が、白い血を吹き上げ咆哮する。


 「貴女、大丈夫なの!て、貴女?!」


 崩れるミクを抱き締めたのは、蒼き薔薇さまだった。


 「アオバさま、お知り合いですか?」


 「さっき話した面白い子よ、それよりもどうして戦闘空間を展開しないの貴女は!」


 ミクに治癒をかけながら、蒼き薔薇さまは怒っていた。

 戦闘空間を展開すれば、こんなにボロボロに成りながら時間稼ぎをする必要はなかった筈だから。

 治癒が効いて、ミクは自分で治癒を始めながら戦闘空間が壊された事を告げた。


 「そう、なら魔法少女の本気の戦闘空間なら破れるのかしら」


 幻想の魔法少女クニアお姉さまの戦闘空間が展開された。

 だが、それさえも赤き魔物は破壊してしまった。


 「間違いなくS級!しかも、現在未確認の赤き魔物!」


 「最近大人しいと思っていたけれど、面白いモノを用意していたようね」


 「そうですね。貴女」


 「は、はい」


 赤き魔物を見ていたクニアお姉さまは、突然ミクの方を見る。


 「誇っていいわよ。こんな化け物相手に一人でここまで戦ったこと」


 クニアお姉さまと蒼き薔薇さまは微笑んだ後、赤き魔物に攻撃を開始した。


 「スゴい」


 二人の魔法少女は次々と攻撃を繰り出す。

 どうやら短時間で勝負をつける積もりのようだが、赤き魔物も負けてはいない。

 ミクは二人の援護に回りたいが、それさえ邪魔に成りそうで躊躇している。


 『◎△□□¥○&』


 「不味いわ、子を放った!」


 「まだ、サポートが来ていないのに!」


 「サポート入ります!」


 魔法少女に慣れなかった魔法少女候補生たちは学園卒業後多くが、魔法少女たちのサポート部隊に入隊する。

 魔法少女のサポートは様々だ。カラー・ベールならば多くは実戦に参加する。赤き魔物は子と呼ばれつ小型の赤き魔物を生み出す力を持つものがおり、実戦サポート部隊はそれら子の対応や一般人の避難等を行う。

 本来はホワイト・ベールが出る幕ではない。


 「お願いね」


 「学園に里帰りだからて、サポート部隊置いてきたの失敗ですね」


 「そうね、思った以上に今の生徒の質が悪いわ、まだ来ないなんて」


 「学生ですし、その辺は多目に見ましょう。良い娘もいますし」


 魔法少女の二人は、傷を直しどうにかこうにか二人をサポートしようと頑張っているミクを見る。


 一人であのS級の赤き魔物に時間稼ぎをして、今も一人でサポートをしている。


 「では、それならば、雷弓」


 「こっちを片付けないとね。天剣!」


 二人の魔法少女はその手に使い慣れた武器を持って、赤き魔物と対峙した。

 戦闘空間が役に立たない為、周囲の被害を考慮していたが止めたようだ。

 二人の魔法少女は、それぞれの最強の技で一気に勝負をかけた。

 剣の一閃はビルを切断し、放たれた矢は切断されたビルを砕いていく。それでも赤き魔物は立っていた。


 「何て化け物!」


 通じていないわけではない。

 赤き魔物は剣の一閃で二つに切り裂かれ、放たれた矢でいくつもの穴を空けられた。それでも瞬く間に再生していく。

 空けられた穴は塞がり。刻まれた傷は元へと戻っていく。


 決定打が入れられずに、二人の魔法少女は次の手を出しあぐねていた。そこに、学園からカラー・ベールの少女たちが到着し援護を開始する。

 生み出された子の方は確実に数を減らしていく。

 それを見て、蒼き薔薇の魔法少女は決断する。


 二人の魔法少女の一撃と複数のカラー・ベールたちのいっせい攻撃。

 だが、今度は赤き魔物も大人しくはしていなかった。

 的割りつく蝿が煩いと叫ぶように衝撃波を自分が生み出した子までも巻き込んで解き放つ。

 赤き魔物の子も魔法少女たちも衝撃波に吹き飛ばされた。


 「あっく!」


 ミクが少々の打ち身ですんだのは、対峙していた赤き魔物の子がクッションになったからだ。


 「この!」


 クッションになった赤き魔物の子を打ち倒し、周囲を見れば蒼き薔薇さまが横に倒れていた。

 ミクのようにクッションになったものは無かったのだろう。ビルのコンクリートが無数のヒビで丸く凹んでいる。


 「大丈夫ですか?」


 「心配ない、防御は張ったから」


 ミクとは違い戦い慣れた蒼き薔薇さまは、ダメージを最小限に食い止めていたようだ。

 それでも赤き魔物の攻撃は、最も側にいたであろう蒼き薔薇さまにかなりのダメージを与えている。


 「あ」


 ミクのは、ふらつきながらも立ち上がり再び剣を構えた蒼き薔薇さまが倒れていた場所に、オレンジ色の宝石を見つける。


 「落とし物です!」


 ミクの声に僅かに視線を向けた蒼き薔薇は驚愕する。

 何故と思う。

 どうしてアレが落ちているのかが分からない。

 どんなに酷いことに成ろうとも、アレだけは肌身から離れないように工夫して持っていたというのに、それは当たり前のように落ちていた。


 それを一人の少女が拾おうとしている。


 その少女を、蒼き薔薇の魔法少女は知っている。

 出会っている。

 まるでそれが与えられた役の様に。


 止めなくてはと心が叫ぶが、言葉は口に出てこない。

 ダメ。

 ダメ。


 「ダメェェェェェ!」


 オレンジ色の光が落ちていた宝石から溢れ天を貫く。


 「・・・・運命の始まり・・・貴女なの、貴女があの子を呼んだの?ミカン貴女はあの子を選んだの?」


 オレンジ色の光は輝きをまして、蒼き薔薇の魔法少女が出会った。

 未熟な、魔法少女候補生を包み。

 収束し、オレンジ色の輝きは黄金の輝きとなって弾け。


 そして・・・・。





 新しい運命が始まる。

お読みいただいた方へ。感謝。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。