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日記の抜粋より

作者: C・ハオリム

暫くの間、お付き合い頂ければ幸いです。

「1998年7月12日(土)に確認された、一家の遭難に際しての捜索活動において収拾された事項等について(覚書き)」


 状況:同年7月6日に■■■キャンプ場にキャンプに来た親子4人が消息を絶った。帰宅予定の7月10日をすぎても帰宅しないことに気づいた、この家族の父親の父からの連絡により、警察等が捜索を開始したが、あまりにも錯雑した地形のため、12日、知事より捜索のため、陸軍弟◇師団弟×歩兵連隊に捜索命令が発令された。


 当該キャンプ地の特性:1978年2月6日に「C中隊消失事件」が発生した演習場(現在も立ち入り禁止地域と指定されている。)から、北に17キロメートル離れたキャンプ場

 また、当該キャンプ地は1995年春より、閉鎖されていた。当該家族は、無断で同地においてキャンプをしていた模様である。


 「C中隊消失事件」との類似点:

〇 同キャンプ地内で発見された痕跡【写真が添付されている。それに写っているのは

 CDぐらいのドーナツ状の痕跡】

〇 テント、車両等が原型を留めており、熊等の大型の生物に襲われた可能性は低い。

〇 捜索の初日に、捜索に加わった警察官が、下水の様な異臭を感じている。

  (硫化硫黄系か?)


 遺留品について:人間以外は全くこの場に手付かずで残っている。ただ、下記の項目について、不審な点が見受けられる。

 〇 テントから、約1キロメートル離れた、台上で発見された石組み【添付された写真

  には、小さな祭壇のような、ストーンサークルのような石組みが写っている。】これ

  は、古代遺跡ではなく、ここ数日のうちに造られたものと見られる。この石組みの近

  くに、引きちぎられた、犬の首輪【添付された写真には、巨大な力で引きちぎられた

  ような大型犬用の首輪】が発見されている。

 〇 テントの位置より、街の方向に5キロメートル山道を移動した箇所にある、廃屋跡

  のポストから発見された、行方不明になったと思われる、少年の日記【添付された写

  真には、随分汚れている、子供用の日記帳】


以下に、発見された日記から、事件に関係あると思われる日付の部分を抜粋した。


〇 7月6日(日)  きょうから、お父さんとお母さんと妹と犬のハウザーとで、キャンプ

          に来ました。まわりには、ぼくたちしかいません。とても、しずかな場

          所です。でも、ハウザーがここに来てから、なにかにこわがっているみ

          たいです。お父さんは「かんきょうがちがうから、びっくりしているん

          だよ」と言いました。はやくなれてくれるといいなと思います。


〇 7月7日(月)  ハウザーはまだこわがっています。きのうの夜もずっと鳴いていまし

          た。うるさかったです。それと、ここはとてもきついキリが出るみたい

          で、ぼくたちがどこにいるかわからなくなることがありました。妹も、

          ハウザーのようにこわがっています。「なにがこわいの」と聞いても、

          「わからない」としか答えません。お父さんは「小さなこどもや動物は、

          びんかんだから」とせつめいしてくれましたが、なににこわがっている

          のかはおしえてくれませんでした。きのうもハウザーはよく鳴いていま

          した。


〇 7月8日(火)  きのうの夜、トイレに行きたくなって目をさますと、お父さんがいま

          せんでした。ちかくの木の根元におしっこしていたときに、奥の方から、

          お父さんの声がしました。ぼくは、その方向に行こうと思いましたが、

          へんなにおいがするのと、なにかこわい感じがしたのでそのばしょでじっ

          としていました。お父さんが「わが、といにこたえたまえ、そのすがた

          を」とか、なにかのじゅ文みたいなことを言っていたのでこわかったです。

          その夜はよくねむれなかったです。


〇 7月9日(水)  きのうのことをお父さんに聞こうと思いましたが、こわくて聞けません

          でした。お母さんにも話せませんでした。ハウザーはここに来てから、エ

          サも食べないのでずいぶん弱ってきました。しんぱいです。妹もテントか

          らでなくなりました。お母さんもこわがっていみたいです。お父さんは

          きょうも「つりに行って来る」と言って朝からいません。きのうから、キ

          リがよく出るようになりました。それと、お父さんはきのうも夜はいませ

          んでした。ぼくもこわくなってきました。


〇 7月10日(木)  きょう帰るよていでしたが、自動車がこしょうして動きません。

            【車両発見当時、何処にも異状はなくエンジンは簡単に起動した。】

           お父さんは、「しかたないから、しばらくいよう」と言いましたが、お母

           さんは「歩いてでも帰る」と言ったので、ぼくと妹とハウザーはお母さん

           といっしょにかえることにしました。でも、とても町まで遠いので、歩い

           ているうちに夜になりました。妹が泣いて歩こうとしないので、お母さん

           がおんぶしました。ハウザーがとちゅうでいなくなりました。なんかいよ

           んでも出てこないので、そのままにしておきました。

            【犬の首輪は、石組みの場所で発見されている。】

            これを言うと、お母さんにおこられるので言いませんでしたが、なにか

           がつけてきているような感じがします。


〇 7月11日(金)  この日記をだれかが見つけたなら、ここからにげてください。きのうの

           夜、妹がつれて行かれました。お母さんがおんぶしていたのに、気づくと

           いませんでした。お母さんとぼくはさがしまわりましたが、見つかりませ

           ん。へんなにおいもします。おとうさんがじゅ文を言っていたときのにお

           いです。キリもきついです。【この後少し空白】


〇           お母さんがいなくなりました。つれて行かれたと思います。お父さんの

           声がします。ぼくをさがしているみたいです。おとうさんはあれのせいで、

           おかしくなったと思います。ぼくをさがしているおとうさんのよこに、あ

           れがいました。あんなもの見たことがありません。こわいです。

            【この後、1ページ空白】


〇           【乱れた字で走り書きのように書かれている。】

            あれがきました。ぼくをさがしています。あれは、目でさがしません。

            こわいです  これをよんだら、すぐににげて

             【日記はここで終っている。】



 じ後の処置:上記の日記を発見した後、濃霧がかかり始めたため、二次遭難を警戒し、全捜索関係者に対比を勧告した。警察もこの件について、何らかの情報を得ているようであり、我々の指示に疑問を提示せずに勧告に従った。


 発見された、各種の状況から、この件については、これ以上の捜索を実施しない。また、「C中隊消失事件」と鑑みて、立ち入り禁止地域をさらに広げる必要があるもの思料する。


 マスコミに対しては、狂犬病に似た病気に感染した熊による襲撃として、現場一帯を汚染地域に認定したと通知した。(マスコミ各社にはこれ以上の介入をしないように要請した。)

お読み頂き、ありがとうございます。

これからも、不定期になんだかんだと書き散らかしていく予定です。

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