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その旅人、壊れ性能につき  作者: 猪口茂
第一章 フィルツ王国
17/22

17:その移動速度、音速越えにつき

9800PV突破!!

ありがとうございます!!!!

ーーーここで、この世界について、簡単に説明しておこう。

この惑星ラーには大きく分けて七つの種族が存在する。

天使族、エルフ族、亜人族、魚人族、人族、魔人族、そしてーーー神族。

この神族を除いた六つの種族たちがこの惑星の領土を分け合い、それぞれに国や地域、集落を形成しているのだ。


ーー天使族は天空都市を。

ーーエルフ族は森林都市を。

ーー亜人族は移動集落を。

ーー魚人族は海底都市を。

ーー魔人族は魔国領を。


そして、人族は多くの国に分かれることとなった。

と言うのも、人族と亜人族以外は他の種族に比べ圧倒的に数が多いのだ。

天使族はその総数が100にも満たないのに対し、人族は未だに増え続け、その数およそ30億人。

その全員が一つの国に収まるなど到底不可能であり、彼らは三つの大国とその属国に分かれていった。

その三つの大国と言うのが、アインツ帝国、メルク聖教国、そしてここフィルツ王国だ。

勢力は他二つの大国に劣るものの、領地内で生活に必要なものがほとんど手に入り、領地を『危険区域』に囲まれているため、ここ十数年間、一度も他国との戦争がない、比較的平和な国である。

ただ、その豊かさゆえに、王国のすぐ南に位置するアインツ帝国とは水面下での争いが長きにわたって行われていた。

そのため、フィルツ王国では『第二王女はアインツ帝国に嫁がせる』伝統がある。

しかし、彼らをアインツ帝国に送る際にはかなりの時間が必要となる。


その理由が、『赤き森』だ。

比較的王都に近い位置にあり、かつ、アインツ帝国領とのはざまにあるそこを通ることは自殺行為であるため、大きく迂回していかねばならない。

だが、フィルツ王国は先述の通り、周りを『危険区域』に囲まれている。

南から東にかけては『赤き森』。

北は『イグニア山脈』。

そして、西にあるのが『アムシャ海』だ。

イグニア山脈と赤き森の間を抜けるとそこはもうメルク聖教国の領土だ。

だから、彼らはアムシャ海を抜けて、アインツ帝国へと向かうこととなる。



ーーーーでは、なぜ今この話をしたかと言えば。



「----きゃあああっぁぁぁあああああああああああ!???」

「口開けてると舌噛むぞ」

「ぃぃいいいいいいいいいっ!??」


一組の男女が、王都から『赤き森』に向かっているのだ。

それも、走って。

だが、その速度は人のそれではなく、もはや音速どころか光速に近いものであった。

本来であれば、向かってくるーーと言うよりも、ぶち当たるーー風に首が折れてしまうのだが、一誠はレベルMAXだ。そんなやわな体ではない。

それに、アリスには防御力アップの呪文をかけている。

まさにファンタジーな二人は、地球の物理法則をガン無視しながら進んでいるのだった。

ーーちなみに、今アリスが着ているのは『一誠が貸した服』で、『王女の休日』と言うクエストの報酬アイテム、『ドレス』だ。

なぜこんなアイテムがーーーしかも、男性でも着ることが出来るのはどういった意図がーーーとも思うが、新しく追加されたクエストとなれば挑戦したくなるのがトップランカーの悲しい性であった。


そんなわけで、今のアリスは風の抵抗による骨折死の心配はない。

では、なぜ彼女が悲鳴を上げているかと言えばーーー




「だって、い、いま、ごっーーーゴブリンーーー!!」

「黙ってろ」

「んーーーーーっ!!」



草原を集団で移動していたゴブリン達。

光速に近い速度で走っている物体を、ゴブリンごときが避けられるはずもなく、蹴り殺され、吹き飛ばされーーーおよそ十数匹の群れは壊滅。

その血が、死骸が舞うのを見てしまったアリスが悲鳴を上げているのだった。



結局、そのあとも恐らく魔物であろうナニカを蹴り殺しながら彼らの移動は続いた。

途中、一誠の忠告通りアリスは舌を噛んでしまったのだが。


  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


それからほんの一時間後、二人はそこにいた。

目の前は一面『真っ赤』な世界。

足元の草が綺麗な緑色をしている分、余計にそれらが不気味に見える。


「----本当に、ここにお姉さまが?」


舌の痛みに耐えながら、そう尋ねてしまうのも無理はない。

一誠を信頼してはいるが、マーベルがここにいるという証拠はどこにもない。

なにせ、彼女たちにはマップを見ることはできない。

だから、やはり一誠の言葉を信じるしかないのだが、それでも『赤き森』を目の前にすると、不安にもなる。


「あぁ。間違いない。---ほら、行くぞ」

「は、はい」


そこは『危険区域』だというのに、全く臆することなく進む始める一誠。

アリスはそんな彼に遅れないよう、慌てて彼の後を追った。

だが、この時彼女は気が付いていなかった。



ーーーーラーズグリーズルと言う男が、どれほどの力を持っているのか。

その力を少しでも解放すれば、どのような結果が待っているのかを。

さて、明日は今年最後の更新です。

と言うわけで、再び現実世界でのお話です。


愛梨ちゃんと一誠くん(と遼生くん)の12月31日をお楽しみください。

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