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意識が上昇し、目に明るさを感じる。
目を空くと見慣れない天井。
私はお茶会の途中で意識を失ったことを思い出した。
部屋には誰もいない。ここは王宮なのだろうか。
いや、それより私だ。
私が悪役令嬢とか嘘でしょう?
でも、考えても考えても前世の記憶と一致する。
ゲームは借りてさらっとやっただけなので、メインの王太子ルートしかしていない。
でも、婚約者であるキャサリン(私だ)は、王太子妃という立場になることに固執して、王太子が気に入ったヒロインを虐めて学園から追い出そうとした。
でも(というかやはり)王太子はヒロインを選び、王様を説得してキャサリンとの婚約を破棄、ヒロインは王太子妃教育を受けながら婚約式を待つばかりで幸せいっぱいな二人のスチルを思い出す。
キャサリン(私だ)はどうなるんだろう。そこまでゲームにはなかった気がする。
でも、この世界の現実的に考えて、婚約破棄された女性は、それがどんな理由に寄るものでも、普通の結婚は望めない。傷物と見られるのだ。それも王族からの婚約破棄。恐らく結婚は絶望的。そしてこの世界の女性の地位はまだ高くない。
結婚出来ないのなら、修道院に入るしか道はないだろう。
破滅エンドで死なないだけましだろうか?
でも私だって結婚したい!
政略結婚でも愛しあっている夫婦は沢山いるし、子供を生んで幸せに暮らしたい!
なんとか婚約者にならない方法は?
確か王太子は女性に偏見があって、結婚なんて誰でもいいと思っていたはず。
だから誰も選ばない。最有力候補のキャサリンと自動的に婚約してしまうのだ。そしてヒロインと出会って・・・。
考えても答えが出ない!
その時ノックの音がしてドアが開いた。
「ケイト、目が覚めたんだね。大丈夫かい?」
お父様が入ってくる。
「緊張で気を失ってしまったようだね。王妃様の好意で客間を用意して下さった。今日はこちらに泊めていただきなさい。明日迎えに来るよ。」
緊張で気を失ったのにその緊張する場所に置き去りとか酷い!と思ったけど、王妃様の好意を蹴ることは出来ない。
「わかりましたわ。お父様、今日は上手く出来なくてごめんなさい。」
今日の私は侯爵令嬢、未来の王太子妃としては失格だ。お父様は失望されただろうと謝る。
でも、皆がそう思ってくれたなら、婚約者にならなくていいかもしれない!私は光が見えた気がした。