安直だけど・・・
太陽がだいぶ傾いた、そんな夕方。
スライムは、ゆっくりと思考を開始していた。
ーーさて、この状況は一体なんなのだろう?
・・・ぷるぅ?ふにふに。
スライムは、水色の物体にーーーめっちゃ懐かれていた。
なんだろう、これが萌えというやつなのだろうか?
ふと、そんな考えが浮かんだ。
ーーーん?、そもそも萌えとはなんなのだろう?
スライムは、知らない単語が強烈に頭を駆け巡るのを感じながら、自然と触れないでおこう、と決めた。
ぷるー、ふに ふに ふに。
そんな思考の海に溺れているスライムは、水色の物体に現在進行形で付着されていた。可愛い。
さて、このままでもいいのだが、むしろそうしてほしいが、そうもいくまい。
木の洞は、自分とこの水色の物体では入れる気がしないし、そうなると自動的にこのままになるわけだが・・・さて、やることが草を食べることに限定されてしまったわけだが・・・。
ーー暇だな・・そうだ!自分に名前をつけてみよう。
ぷる!
スライムは、元気よく少し弾んだ。
ーーあれ、名前なんて概念いつ知ったのだ?まぁ、いい。
そうだなー、できればいかす名前がいいな。
考えながら、円を描くように、スライムは這い回っていた。
んー、何かいい名前はないかな?
すると、
ぷるぅ?
水色の物体が、自分に張り付いたまま不思議そうに鳴いた。
ふむ、自分はぷるぷる良く鳴くから、プルーなんてどうだろうか。なかなか、いや、かなり、いいんじゃないか?
スライムのネーミングセンスは、安直だった。
そうだ、ついでにお前さんにも名前をつけよう。
そうだな、ルゥーなんてどうだろうか。
特に意味はないが、感覚的に。
ぷる?ぷる!!
水色の物体あらため、ルゥーは嬉しそうだ。どうやら、名前が気に入ったらしい。
・・・・・・もうやることもないし、スリープモードといこうか。
プルーは自分に、ルゥーを張り付かせながら、しばしの休憩に入った。
いつのまにか、木の周りは暗闇に落ちていた。