増えた?
朝方、昨日の雨雲は成長し、スライムがいる木の周辺は雨が降っていた。
スライムはーーー困惑していた。昨日の夜、まったく眠らずにいても疲れなかったことに加えて、雨というものに。
ーーー雨が降っていた。そして、スライムは雨というものを知らなかった。
ぷる・・・ぷるる?
スライムは、体を震わせながら外に出ようか迷っている。
木の葉にあたる、雨粒がスライムに当たる。
ぷる!スライムは震えた。しかし、何も起こらない。
ーー数分後、スライムはおそるおそる這い出した。
体にポツリポツリと、雨粒が当たる。なかなか悪くない。スライムはそう思った。
霧雨は、優しくスライムを包んでいた。
しばらくして、スライムは自分の視界が気のせいか広がっていることに気づいた。
ぷる?!
あれ、なんで?スライムははてな顏で、答えを考える。そういえば、木から少し離れていたのにやけに近く感じる・・・もしかして、自分の体が大きくなってるのかも。
そう思い、もう一度木を見る。あれ、今度は目の前に木の幹が・・・ってこれすごい速さで体が大きくなってるじゃん!!
ぷるる!!
スライムは、いそいで木から離れるせっかくの我が家を潰さない為だ。
ぷるるる・・・
スライムはこの体では、洞にはいれない・・・それを理解していた。
霧雨は、いつの間にか土砂降りになっていた。
体積の増加はさらに加速している。おそらく、雨の勢いが関係しているのだろう。
このままどこまで大きくなるのだろう・・・スライムは途方に暮れていた。
止めかたがわからないのである。すると、今度は体が痒くなったような不思議な感覚を感じ始めた。
スライムは、もう諦めた。どこか、哀愁すら感じる。そんなスライムに成り下がっていた。
ぷる・・ぷるぅ・・・。
スライムの大きさは、さらに大きく・・・だが、そんなとき急にスライムは体に不思議な感覚が走るのを感じた。痒いような、少し痛いような。
ーーー刹那、『ぷっつるん』。
何かが、別たれた音がした。
スライムは、しばらく呆然としていたが、目の前に水色の物体がいることに気づいた。
ぷる?
スライムの困惑は極まっていた。
そして、水色の物体も同じように、ぷるっと震えるのであったーーー。