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エリュシオン・オンライン  作者: 神城 奏翔
第2章 喜びの感情
22/29

Chapter21 試合観戦

「おー、やってるやってる!」

 会場の観客席へ足を踏み入れた俺を待ち受けていたのは、天地を割くほどの大歓声と、溢れんばかりの熱気だった。

 これがNPCを含めた街いっぱいのプレイヤーだというのだから凄い。

 NPCとプレイヤーを見分ける方法は簡単だ。いかにもな服装をし、武器を常に装備しているのがプレイヤー。武器を所持していないのがNPCだ。

「……てか、ホントに凄い奴らが集まってるな」

 試合のトーナメント表を視界に入れた俺は、規模の大きさに驚いた。トーナメント表に書かれているプレイヤー名だが、基本的に有名な人ばかりだった。

 中でも異質を放っているのが、『銀竜の逆鱗』アーサー、『七聖剣』グレンだろうな。

 アーサーはともかく、『七聖剣』は直接相手をしたことも協力したこともあまりないので、少しだけ楽しみであると共に、『七聖剣』の名はどうして付いたのか気になった。

 話題に出したくないが、『黒獅子』は黒尽くめの服を着て、獅子の如く……まぁ、獣のように暴れ狂ったことから付いた名だし、アーサーの『銀竜の逆鱗』は銀竜がドロップするレアアイテムを使用して特殊な方法で作成する鎧を着用することで、銀竜のようでいて、逆鱗に触れると凶悪になることから付けられたからな。

「……あ、あれ? キリュウ君」

「ん? あぁ、ティナか」

 アーサーとカリンの試合を見ていると、不意に声を掛けられた。俺を知っている奴は大量にいるが、躊躇いなく話し掛けてくる人は限りなく少ないから、誰なのかは大体わかっていた。

「来るのなら言ってよ。用事があるから来ないかと思ったよ」

「悪い悪い。まだ、用事は終わってないんだけどさ。ちょっと、試合が気になって」

 そういえば、俺、用事があるって言ってたんだったな。

 待機室が嫌で仕方ないからこっちに来たけど、やはり『キリュウ』として、ここにいるのは少し失敗だったかも知れないな。

 どちらかといえば、『リュウキ』を名乗り、こいつらからすれば敵として現れた方がマシだったかもな。

 色々と彼女らには思われるだろうし、目的自体が破断になる可能性が大きいが止むを得ない。

 あくまで俺が出場している理由は、自分本意の感情であって、こいつらは全く持って関係ない。

「そっか……。用事は早く済みそう?」

「うーん、どうだろ。死ぬ事はないけど、時間は掛かるかも知れない」

「ま、まぁ、死なない事を優先したら仕方ないよね」

 エリュシオン・オンラインに限らずどのゲームでもそうだろうが、早期決着と安全は相入れないもの同士だ。

 早期決着を付けるなら、攻撃力特化にし、体力値や耐久値を限りなく減らす必要がある。そんなリスキーな戦法と、時間を掛ける代わりに安全がある程度保証された安全牌な戦法。こちらの世界ではどっちが良いのかなんて理解出来る。

 命を賭けたデスゲームなのに、リスキーな戦い方は怖い。いざ、自分が死ぬと考えると、身体の震えが止まらない。

「でも、無事に帰ってきてね」

「おう、わかってるって。今日の夕食、楽しみにしてんぜ」

「うん! 期待しててね。腕によりをかけるから」

 楽しみにしてるよ。その一言を放ちながら、俺は隣に座り込む。

 『キリュウ』としてこの場に来たのに、直ぐに観客席を立つわけにはいかないため、当初の目的通り、『アーサー』の試合観戦をするとしよう。

 あいつとは共闘する事は多々合ったが、あいつオンリーの戦い方を俺は見た事が一度もない。俺が前線に突っ込んで、奴は俺の後ろでサポート役に徹するので、ほぼ目に入らないのだ。たまに生きているかどうかを確認する程度だが、それもパーティを組んでいる最中は左上の辺りに体力ゲージが表示されるので視界に入れる回数も少なくなった。一撃で体力を半分以上持っていくボスぐらいでしか見ないようになる。

 その攻撃力が半端ないボスこそが、アーサーが着用している防具に使われている白竜なのだ。そして、その辺りから武器を槍に鞍替えしたので、槍使いとしての実力は未知数だ。

 後ろで見学していたティナ達ならば、もしかすれば今のアーサーでも間違いなく強者の一人に挙げる、な。

 だが、相手のカリンも強者だと俺の本能が言っている。

「見ものだな。この戦い」

 トーナメント表を見る限り、この二人の勝者と俺が当たる事になる。

 それまで俺が勝ち進む事が出来れば、だがな。



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