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第26話 元勇者のおっさんは仲間を信じて進むそうです

 一方その頃、アーリシア達も敵と遭遇していた。


「妨害妨害妨害。ホント嫌になるわね!」


 アーリシアはあからさまにイライラした様子を醸し出している。


「あの男のことだ。やられはしないだろうが、何をしでかすか分からないから心配だ」


 シーを担ぎ、リッカは呑気に小言を漏らす。

 二人のこの場に似つかわしくない態度にエルノは焦った様子で状況を指摘する。


「お二人共、敵がいるんですよ! お喋りしている時間はありません!」


 ノルバが討ち洩らしたか、それともビビって隠れていたか。

 十中八九後者だろう。アーリシア達は剣士の大群に包囲されていた。


「シーさんは返してもらうぜ。大事な金づるなんでな」

「おい、いい女じゃねぇかよ。ズタズタにしてから遊ぼうぜ」

「いいな賛成だ」


 女だ女だと、いかがわしい目を向ける輩にリッカは唾を吐き捨てる。


「反吐が出る。害虫が」

「いいな、ねぇちゃん。俺と遊ぼうぜ!」


 斬り掛かってくる男にリッカはシーを捨て、両手で剣を構えた。


「あの男に負けてから私は更に強くなった。もとよりキサマの様な輩には負けん!」


 一撃。リッカの剣は敵の剣ごと持ち主を両断する。


「何だコイツ、つえぇぞ!」

「な、何言ってやがる! 所詮は女。しかも三人だ! 一斉にやれば負ける訳がねぇ!」


 実力さから目を反らす発言にアーリシアは思わず苦笑し、エルノに聞く。


「エルノ、アナタ殺れる?」

「はい。殺れます。こんな非道を許す人達をワタクシ、許せません」


 師匠から任された。何よりこんな悪行は許せない。

 ダンジョンに同行して成長した。けれどまだまだだと実感した。今ここでもう一度成長しなければ望むものは手に入らない。

 エルノは杖を強く地面に突き立てた。


「ガイアフォース!」


 叫びと共に、杖を中心に淡い光が一帯に広がっていく。そして剣士達の視界は一瞬にして暗闇に沈む。

 エルノ達の周りには突出した地面が囲っていた。彼女の魔法が外敵を岩ですり潰したのだ。


「上出来よ」


 人が人を殺すことは罪だ。だがその手を罪に汚さなければ守れない時がある。

 エルノはまた一つ殻を破った。

 こんな時にと自分でも思ったが、アーリシアは雛が巣立つ親鳥の気分を味わう。

 しかしそんな気分も早々に切り替える。


「ノルバと繋がったわ。行きましょう」


 アーリシアは道を塞ぐ岩に、魔法で穴を空けるとそこを進んでいく。

 その時だった。突然壁の中から黒い手が現れ、アーリシアの腕を掴み、壁の中に引きずり込む。


「お師匠!」


 エルノの手がアーリシアに伸びる。

 だがアーリシアはその手を強く払った。


「アナタ達だけだ進みなさい!」

「お師匠ー!」


 どうなっているか分からない場所にエルノも巻き込む訳にはいかないというアーリシアの判断。

 魔法を使う暇もなく、アーリシアは壁の中の暗闇へと姿を消してしまった。


※※※


 ブツリと念話が消えた。

 また妨害か。

 ノルバは周囲を見渡すが敵の気配はない。ならば何が。


「アル! 返事をしろ! 何があった!」


 今回は先程のような砂嵐が混じった遮断のされ方とは異なっている。

 直感的にアーリシア達の危機を察知したノルバは名を呼んだ。だが返る言葉はなく無音だけが響く。


「クソッ……」


 三人の元に戻ろうにも、アーリシアの指示を受けて進んでいたノルバには戻るべき道が分からない。


「アル、お前なら大丈夫だよな」


 それならばこのまま進むべきだ。

 かつて共に魔王を倒した戦友がこんな所で倒れる訳がない。

 仲間を信じ、ノルバは前を向いて走った。

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