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【超短編小説】Boys Room

掲載日:2025/12/18

 便所が汚い。

 なぁ、便所が汚いんだよ。

 職場の便所とは何故こうも不愉快に汚いのかね。どう思う?

 壁に掛けられた便器は知らない男、または見知った男の陰毛でデュシャンの泉になっている。

 そして床にはその泉に届かなかった飛沫が垂れて広がっている。

 便器まで遠いんだよ。

 女を抱く様に便器に接近して挿入でもしているかのように便器と距離が近い人間もどうかしていると思うがな。


 ションベンはよく跳ねる。

 誰だって知ってる。

 みんなが雑に使っている便器に接近したくないと言う穢れの概念に囚われているのだろうが、それならば女の様に座って用を足して欲しいね。

 臆病者の業が垂れた便所。

 俺たちは清潔な便所の奴隷だ。




 だから新入り、お前には便所の使い方を教えてやる。

 最初の一人は一番奥の便器で用を足す。

 次に入ってきた人間は一つ開けて用を足す。

 何故かって?

 4つの便器のうち、ふたつ開けたら3人目は必ずどちらかの隣に立たなきゃいけなくなるだろ?

 これは便所以外でも同じだよ。

 牛丼屋のカウンター席でもひとつ空けて座るもんだ。

 ふたつ開けて座る奴は仕事が出来ない、そう考えていい。

 どうしても距離を置きたい?席や便器が5つ以上あるなら、3つ開ければいいさ。

 その真ん中に誰かが収まる。



 話しが逸れたな。

 二人が使っている最中に三人目が来たらどうするのかって?

 一人目と二人目の間に入るのさ。

 用を足している最中に両脇のどちらかが居なくなる。二人が結石持ちじゃなけりゃ、順当にションベンは終わる。

 そこで四人目が入ってくる。

 汚ねえデュシャンを見ると2つは流されたばかりだ。

 そうなると四人目は一番手前の便器を使う。

 そうやってここの男子便所は回っているんだ。

 覚えたか、新入り。



 それと新入り、飲み会に行った時も便所の使い方に気を付けるんだぞ。

 お前が入った時より綺麗にして出るんだ。

 どうせ飲み屋の便所は汚い。

 飛び散った疲労と願いを拭いて流せ。

 それだけでいい。

 仮にお前の後にお前の上司が入ったとしよう。

 その時に汚い便所だと、もしかしたらお前が汚したと思うかも知れない。

 お前が出た後に入った便所が綺麗だったら、もしかしたらお前の評価が甘くなるかも知れない。

 少なくとも悪くなることは無い。



 何だ新入り、質問か。

 家の便所?そんなもんはどうだっていい、引っ越す時に誰かが掃除するんだからな。

 そうじゃない?俺の仕事?

 それはこうやって便所の使い方を教える事だよ。

 真面目に働け。

 そうしないとここでこうやって新入りに便所の使い方を教える役職に就いちまう。

 だがお前はなかなか見込みがある。

 そろそろ継いでもらわないとならないしな。期待してるぞ。

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