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一ノ瀬英一のおバカ譚  作者: 八野はち
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6話 中二病少女 「すいませんでした!こういう設定だったんです!二度とためぐちききません!」

 翌日。学校に着くと下駄箱で二夕見と会った。


「よう」


「…おはよ」


 二夕見はらしくなく、なにか言いたそうにもじもじしている。


「なにもじもじしてる?」

「え、いやその、一昨日の怪我大丈夫かなって…」


 俺の顔の傷をチラチラ見てくる。


「ああそのことね。大したことなかったよ。よくなってきてるし来週には完治してると思うぜ」

「そか。ならいいんだけど」


 表情をパーッとさせてまたもじもじしだす。


「おう」

「あの…」


 二夕見はなぜか顔を赤く染めながら何か言いたそうにもじもじしていた。


「お、一昨日はその、私のせいでごめんなさい」

「なんて?」

「な⁉」


 二夕見が顔を真っ赤にさせたまま固まる。


「いや悪い。普通に聞こえんかったわ」

「だ、だから!助けてくれてありがとうっ」


 恥ずかしそうになんとかそう言い切った。そういうことね。


「ああいいよ別に気にすんな。お前に感謝されてもなんか気持ち悪いし」

「はあ⁉人がせっかくお礼言ってんのに気持ち悪い⁉ありえないんだけど!」


 心外だとばかりに声を荒げる。


「まあお礼なんて食えねえから要らねえよ。貸しにしとくわ。必ず返せよ」

「むかつく!だったらお礼なんて言わなければよかった。女の子を助けるのはあたりまえだろくらい言えないわけ?」


 そう言ってこちらを不満げな顔で見据えてくる。


「は?俺の知ってる女の子は初対面の相手を罵倒したりファブリーズぶっかけたりしねえんだよ。女の子扱いしてほしかったら自分を見つめ直すんだな」


 俺はそう言って鼻を鳴らす。


「はーい出た根に持つやつ。嫌いなのよねー。男のくせにいつまでも擦ってくるやつ。陰湿。あんたみたいなやつがDVした後に優しくして負の連鎖を生むのよねー」


 意味の分からない偏見を押し付けてくる。


「はーいはい出ました男女差別からの偏見女。ダブルコンボ!自分が悪いくせに逆切れからの陰湿な男に対する偏見ダメ出しごちそうさまでした!はい満腹ー!」

「あ!今自分が陰湿ってこと認めた!はいDV男!暴力ダメ!絶対ー!」


 などと言って腕をクロスさせて主張してくる。


「陰湿なやつはDVしませんー。陰口か嫌がらせしますー」

「はい詳しいー。陰湿ー。だからじめじめした性格してるー。なめくじー。アフリカマイマイー。部室の生態系も破壊するー」


 アフリカマイマイが外来種であることから煽ってくる。


「いたたたたたたっ。あーなんか腰痛くなってきた。なんでだろめっちゃ痛い!なんか自転車にぶつかったときくらい痛いなー。なんでだろ不思議だなー」


 俺は腰を押さえて顔をしかめてみせる。


「あ、あんたそれせこすぎだから!信じらんない!」


 二夕見があたふたしだす。


「ん?なんて?ほらなんて言うの?場合によっては治る気もするなー」

「くっ。こいつ絶対許さないから」


 まるで敵に捕まった女騎士みたいなセリフと表情をする。


「いたたたたたたっ。あやっべ背中も痛くなってきた!これはガラスにぶつかったときくらいの痛さだわー。あーなんか今俺が聞きたい言葉が聞けたら治りそうな気がするー」

「ぐっ。ご、ごめんなさい」


 二夕見が屈辱的な顔で嫌々謝る。


「ん?なんて?全然聞こえんなー」


 俺は耳に手を当て再度謝罪を要求する。


「文句言ってごめんなさい!」

「そうだよね?で?最初に会った時にも悪いことしちゃったよね?それについてはどう思ってるの?」

「あ、あれも私が悪かったです。初対面の人にファブリーズ噴射して申し訳ありませんでした」


 心底悔しそうに顔を真っ赤にさせながら言葉をひねり出す。


「うんうんそうだよね。すなおにあやまれてえらいね?よくできまちたー。あー気持ちいいー!すいませんでした気持ちいいー!」

「くうううううううう!悔しいいいいい!こいつ許さん絶対許さん!ほんっと最悪!あーもう今日最っ低!死ね!」


 俺に陵辱された怒りを叫ぶことで発散する。


「よーしじゃあそろそろ教室行きましょうかね」

「はあはあはあはあっ」


 怒りすぎて息切れしてる二夕見を見てあることに思い当たる。


「ん?ていうかお前もしかして俺が来るの待ってた?」

「は、はあ⁉ままま、待ってないから!なに勘違いしてんの⁉」

「…まあ何人かに聞けば分かることなんだが」

「聞いたら殺すから」

「お、おう」


 突然冷たい声音で真顔で言ってきた。


「なんで私がんこ踏むようなやつを朝から待たなきゃなんないわけ。バカじゃないの。靴洗って出直してきなさい」

「うるせえよ。ピカピカに磨いてきたわ。靴磨きとトイレ掃除において俺の右に出るものはいない」

「理由が悲しすぎるわ」


 昨日病院から帰って来た後にすぐ洗ったのだ。


「とにかく、体は本当に大丈夫そうなわけね?」

「ああ問題ねえよ」

「それならいいんだけど。じゃ放課後ね」


 そう言って階段を昇って行った。


 にしてもこいつ意外と義理堅いところもあるじゃねえか。生意気だけど。



 俺も教室に着き、寝たりさぼったりたまに授業を聞いたりしていたら、気づけば六時間目の授業が終わっていた。放課後になり帰る準備をすると蓮に話しかけた。


「帰るか?マックでも寄って」

「いや俺もそう思ったんやけど、流石にこれ以上河瀬先生の善意を無下にするのは悪いなと考え直してん。初日も逃げてるしな。あと昨日寿司も奢ってもらったし」

「俺は卵しか食べてないがまあ確かにその通りだな。あの人の顔を立てるつもりで行きますか」


 蓮と一緒に部室にいくとすでに二夕見と蓮浦は来ていた。二人の向かいの席に座る。


「よ」


 俺が軽く挨拶する。


「もう怪我はええの?」


 蓮浦がこちらに目をやってきた。


「おお。大した事なかった」

「そか」


 そういえば今日は何も言ってこないなと思い二夕見を見る。


「何よ。私は挨拶しないわよ」


 二夕見がいつもの不愛想な態度で接してくる。


「いや別にそういうつもりで見たわけじゃねえよ」

「じゃあ何なのよ。怪我のことなら今朝謝ったでしょ」

「だから別にそんなつもりもねえっつうの」

「ていうかもうあんたの怪我は今朝のことで一切気にならなくなったから、同じ手は食わないから。私があんたに感謝したり謝ったりすることなんて二度とないからね」


 やはり今朝のことをまだ根に持っているらしい。


「あー謝罪気持ちよかったなー。録音しとけばよかった」

「死ね変態が!」

「まったく可愛げのない女だ」



「コンコン」


 ドアをノックする音が聞こえ振り向くと、右目に眼帯をした小さな女子生徒がドアをスライドさせ立っていた。


「ここで世界の方針を決める円卓会議が行われていると聞いてきたのだが。本当だろうか」


 身長140cmほどしかないその小さな女の子は意味の分からないことを言う。


「なんだそりゃ。ここは寂れた偽善部活動だぞ」

「何が偽善部活動よ。れっきとした慈善活動よ。しかも寂れてないし!」


 二夕見がすかさずツッコむ。


「なんと。ここではなかったか。しかしこれも何かの縁。神の思し召しかもしれぬ。せっかくだから少し寄り道していこうか。余は忙しい身だから長居はできぬが」


 少女は尚もロリボイスで仰々しく、怪しいことを言う。ていうか確定だなこいつ。やばいやつのにおいがする。昨日隣に引っ越してきた女が頭にちらつく。


「んぎゃー!」


 俺の正面ではなぜか二夕見が身をよじりながら小さい声で叫んでいた。なんだこいつ。


「さてでは茶菓子を頂こうか。余は長旅で疲れておる。それくらいの気遣いがあってもいいだろう」

「そんなもんねえよ。それで?何の用で来たの?冷やかし?」

「ち、違うし!冷やかしじゃないし!」


 俺の言葉に焦って素が出る。


 おや?そこまでではないか?だが二度も同じ過ちは繰り返してはならん。俺には昨日の失敗がある。最初に甘やかすからつけあがるのだ。心を鬼にして接するのだ。ここは厳しい先輩でいこう。


「じゃあ何?何なのそのしゃべり方は。ふざけてるよね?バカにしてるよね?」


 俺は厳しい先輩を真似て詰問する。


「ふ、ふざけてなどおらん。余は少し特別ゆえこの世界とは違う世界で育ち生きてきたのだ。だから少し凡人には鼻につくしゃべり方かもしれぬがここは少し我慢して頂きたいのだ」

「ふーん。てか君一年生だよね?俺二年なんだけど。なんでため口なのかな?俺のことバカにしてるのかな?」


 更に問い詰める。


「ちちちちち違う!けっしてそのようなことはない!余は馬鹿にしておるのではなくあくまで普通に話しているのだ。そ、それに余は一応千年も前から生きているし余の方が年上まであるから、敬語はちょっと難しいというかなんというか…」


 俺の厳しい口調に焦りだす。


「ふーん。まだ直さないんだ。そっかそっか。じゃあちょっと今から俺の友達の怖いお兄さんたち呼んでくるからちょっと待っててくれるかな」

「あの本当にすみませんでした!調子乗ってごめんなさい!お願いします乱暴しないで!こういう設定だったんです!二度とため口ききません!勘弁してください!」


 少女は涙目で土下座して勢いよく謝り始めた。


 やべちょっと意地悪しすぎた。あの女がちらつきすぎて言い過ぎてしまったか。あの女なら「なんですかやるんですかいいですよ。私のゲロゲロ波をくらわせてやりますよ」くらい言ってくるだろうからこの程度でいいと思ったが、どうやらこの子はあいつとは違うただの中二病らしい。


「ちょっと!いじめないでよ可哀想でしょ!あんたほんと最低!クズ!」

「大丈夫だからね?そのしゃべり方でいいよ。気持ちわかるから。ね?あのお兄ちゃん追い出したら安心するかな?ほら立って、中入って椅子に座って」


 二夕見が女の子を立たせると椅子に座らせた。長方形の机の狭い方の辺に座った女の子は俺の方をびくびく見ていた。やっべまじやりすぎた。


「今のはやりすぎやったで一。どしたん」

「うん。今のは意地悪やった」


 蓮と蓮浦にも言われる。


「いやまじごめんな。あんまり意味わからん事言うから隣に住んでる女がちょっとちらついてしまった。冗談だったんだ勘弁してくれ」


 俺は手を合わせて謝る。


「あんたはもう喋んないで。名前は何ていうの?何て呼んだらいい?」


 二夕見が少女に優しく話しかける。


「あの…黒森(くろもり)りんごと言います。ほんとすいませんでした。調子乗ってすいませんでした」


 黒森は涙目で謝る。うん本当にすいませんでした。全部隣に住んでる女が悪いんです。


「いやいやいやいいから!ため口でいいから!さっきのしゃべり方でいいから!無理しないでいいから!お姉さんりんごちゃんの真名とか聞きたいなー」

「真名?でもそんなこと言ったら怖い人たち来るかもしれないし…」


 俺の方をチラチラ見ながらびくびくする。


「いやいやいや来ないから!さっきの冗談だから。俺もりんごちゃんの真名聞きたいなー。どんなかっこいい名前なんだろ」


 俺はすかさず否定するが。


「ちょっとどうすんのよトラウマなっちゃってんじゃない!」


 二夕見が小声で俺を非難してくる。


「いやあやっべ。これやらかしたか」

「中二病っていうのは時間が経てば勝手に治っていくものなのよ!周囲は優しく見守ってあげればいいの!まったく余計なことして」


 やけに詳しく中二病について説明する。


「はい。すいませんでした。反省してます」

「りんごちゃん!このお兄ちゃんほんとは怖くないんだよ?いっつもトイレに籠ってるだけのいわばひきこもりみたいなもんだから。ただのニートだから」

「あ!」


 とここで黒森が何かを思い出したかのようなリアクションをした。


「思い出した!そっちゅう昼休みに一年生のトイレを使っているトイレッノカミではないですか!」

「何それ?トイレッノカミ?てかあんたなんでそっちゅう一年生のトイレ使ってんのよ」

「いや、二年のトイレはトイレットペーパーすぐきれるんだ。清掃のジジイがぼけてるから数かぞえきれねえんだよ」


 てかトイレッノカミてなんだよ。


「なんだ先輩も私と同じ陰のものんんっ。おぬしも余と同じ神の名を持つ者だったのか。まったく少し驚いたぞ。驚いたあまりそこらの低級霊が乗り移ってしまったようだ。まあ驚いたと言っても少しだけだけど」


 何やら急に元の話し方に戻り始めた。いやよかったよかった。焦ったわー。


「そっかそっかりんごちゃんも神様だったんだね。真名は何ていうのかな?」

「真名は誰にも言ってはならぬのだ。だから余の仮の名であるりんごと呼ぶがいい。ちゃんはやめるのだ」

「うんうん。そっかそっか。じゃあトイレッノカミっていうのは何なの?」


 二夕見がうまく中二病を扱う。


「トイレッノカミとは昔からトイレを綺麗に保ちおしりの怪我などを癒す神だ。まあ神と言っても存在する神の中では底辺に位置する雑魚の部類ではあるがな」

「ぷっ。くくく。そ、そっかー。まあ一ノ瀬だしねー。そんなもんだよねー。ざ、雑魚、くくくっ」


 ほーう。ちょっとイラっとしちゃったなー。


「ちなみに余の位は本来秘密だがおぬしは話が分かるから教えてやろう。余はこの世界を創った創造主の血を引く七人の神のうちの頂点に位置する唯一神アッポーだ」

「唯一神アッポーてなんやねん。それ絶対名前からとったやろ。流石にダサすぎるやろ」


 黙って聞いていた蓮がついツッコむ。


「だだだだだださくないし!別に名前からとってないし!」


 黒森が今までで一番激しく焦り出す。


「あすまん。単直すぎてついつっこんでしもうたわ」

「…田舎者」


 黒森がボソッとつぶやく。


「誰が田舎者やねんクソガキ!関西弁バカにしよったらいてまうぞこら!」


 蓮が田舎者扱いされてキレる。ちなみに蓮浦は気にしてないようだ。


「まあいなかもんには余の崇高さは分からん。余の魔眼でおぬしの前世を見てみたところ、前世はフンコロガシだったようだしな。今世が初めての人間にはまだ余のすごさは理解できん」

「ぷっ、ふんころ…」


 二夕見が吹き出しそうになる。


「ぎゃははははは!蓮お前言われてんぞ!」

「あはははははは!いやあんたおもろすぎや!確かにこいつ今世でも糞大好きやしそれ間違いないわ」


 蓮浦が心底嬉しそうに乗っかる。


「何笑ってんねんアホども!こんのクソガキが…!」


 どうやら黒森は蓮に名前をバカにされたのが相当悔しかったらしいな。


「おいフンコロガシ。茶はまだか。余は喉が渇いたぞ」


 黒森が調子に乗り出す。


「あるかボケえ!どついたろかガキこら!」

「ふん。仕方のないやつめ。どこまで話したか。そうだ余が七人の神のうちの一人だというところまでか。実は余の父である救世主がこの世界を想像したとき一匹の悪魔がこの世界に入り込んだのだ。


そいつが諸悪の根源としてこの世界を滅ぼそうとする悪の秘密組織を裏から操りかつてそいつが滅ぼした星々のごとくこの星までも滅ぼそうとしているのだ。そして余たち七人の神々は世界を旅し見どころのある人間に力を授け、悪の組織を倒すために必要とされている神器を回収して回っているのだ。だから余は忙しい身なのだが…」


 あいたたたたたたたたた。これは重症だ。二夕見は話している途中から顔を真っ赤にして悶絶し始めた。変な女だ。「もうやめてっ」などと小声で叫んでいた。


「はいはいはい質問です。なんでそんなすごい人がこんなへんぴな島国のしょっぼい学校なんかに通っているんですかあ」


 蓮がいちゃもんをつけようと質問を開始する。


「ふむ。いい質問だ。余の力は世界を滅ぼしかけないほど強力ゆえあらゆる組織から追われているのだ。だから普段は正体を隠し一高校生としてこの学校に隠れている」


 そう言って眼帯を指でなぞる。


「じゃあこの学校は普通の学校で特別な場所でもなんでもないんですねえ?」

「そうだ。だから余はここにおるのだ」

「あれーじゃあなんでさっき世界の方針を決める円卓会議がこんなへんぴな場所で行われているとか言ってたんですかあ?」


 蓮が設定のほころびを見つけ嬉々として攻める。


「あっ。そそそそれはあの、その、そう!ある決まった日にのみランダムで教室のどこかがその空間とつながるからだ!」


 黒森が蓮の指摘に素直な声を漏らし、焦り出す。


「じゃあなんでそんなすごい人が教室の場所間違えたんですかあ」

「そ、それは、そう、この場所からも強い磁場を感じたからだ。こういう神のいたずらを余は運命と書いてディステニーと呼んでいる」

「クソガキが、手強いな」


 蓮がうなる。


「ふふふ。決戦の時は近いぞ。世界が大きく変動しようとしている。衝撃に備えよ。新しい時代がやってくるぞ!」


 うまく誤魔化せて調子に乗り始めたな。


「じゃあ千年くらい生きてるって言ってましたけど実際の歴史は教科書に載っている内容と同じなんですか?」

「否。歴史は悪の組織によって改悪されている。隠された真実を知るものたちはこの世界には七人の神々とその弟子たちのみだ」


 なんか二夕見がビクンビクンしてるからもうやめてやれ。共感性羞恥か知らんが。


「はいはいじゃあ実際の歴史はどんなことがあったんですかあ。どうやって今の世界ができあがったんですかあ」

「えっ。それは…。その、あの、えっと」


 突然具体的なことを掘り下げられ言葉につまり目を泳がせる。ていうか「えっ」て言ってましたけど。


「この国に来る前はどこにいたんですかあ。日本以外の国でどうやって生活してたんですか。お金はどうやって稼いでいたんですか。外国語話せるんですか」


 怒涛の質問攻めだ。


「あああ、その、えっと、余は外国語は何でも話せるし、ご飯は食べなくても生きていけるし…」


 黒森が苦しそうに言い訳する。


「じゃあ洋服代とか家賃はどうやって払っていたんですかあ。今外国語話してみてくださいよお」


 蓮が詰め寄る。


「あっ、えっとその、外国語は今は話せないというか話したくないというか…」

「なんで話せないんですかあ。本当は話せないんじゃないんですか?ていうかぶっちゃけ全部嘘なんじゃないですか?設定なんじゃないですかあ?新しい時代がやってきたらどうなるんですかあ?嘘じゃないんだったら今その力ってやつを見せてくださいよ」

「ぶええええええええん!う、嘘じゃないもん!余は特別な力あるもん!びええええええええ!全部本当だもん!設定じゃないもん!」


 蓮に論破された黒森は子供のように泣き出した。

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