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一ノ瀬英一のおバカ譚  作者: 八野はち
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68話 「一ノ瀬史の三大事件」

 夏のある日、補習の帰り道。道を歩いているとすぐ先にうんこが落ちていた。しかし、そのようだが、俺はいつも通り気づかずに、うんこの上に足を掲げ、そのまま下ろして踏m――――


「踏みませーん!」


 俺はしっかりうんこを避けてやった。そう。俺は今回珍しくすんでのところで気づけたのだ。


「はははばーかが!そう何度も何度も同じ手に引っかかってたまるか!夏のなのに生意気にできたてほやほやのうんこトラップなんかしかけやがって」


 そして避けてその先に足を置こうとした時、なんとそのすぐ先にもうんこが落ちており、それを踏m――――


「あぶね⁉二重トラップかよ!」


 なんと更にそれさえもまたいで避けてみせたのだ。


「はっはっは!見たかうんこども!俺様にはもうその程度のトラップは通じないのだ!貴様らごときに手玉に取られるような男ではないのだ!おとなしく雨にとけて土の肥料になれ!」


 俺がうんこの横でガッツポーズを取って高笑いしていると、何かが上から落ちてきた。


「ボトッ」


 頭についたそれを手で触ってみると、白い糞だった。


「あほ―あほーあほー」


 頭上をカラスが飛んでいく。


「このクソ鳥が!捕まえて今日の夕飯にしてやろうか!」

「ちくしょうせっかく避けたのになんて日だ。三重トラップだったとは。早く帰って頭からシャワー浴びてえ」


 すると今度は頭上を大量の蝉が飛んでいく。


「ミンミンミンミンミンミンミンッ」


 大量の液体が頭にかかる。


「……」


「どうなってんだこの町の空は!シャワー浴びたいとは言ったが蝉のしっこシャワー浴びたいとは言ってねえぞ!誰がうんこをしっこで流せって言ったよ!うんこは最早呪だから許せるがしっこだけは納得がいかねえな!許せねえなおい!」







「何してんだてめえはほんとに」


 後ろから声がして振り返ると、桜のようなピンクの髪を帽子に入れて、変装した月野さくらが呆れ顔でこちらを見ていた。隣には弟もいた。


「お姉ちゃんまた口悪くなってるよ」

「あ、ご、ごめんねカズ!お姉ちゃんつい」

「おおちょうどいいところに来てくれた。トイレットペーパー持ってないか?顔を拭きたいんだ。今日はすでに学校のクソボロザコ設備トイレで消費しちまってな」

「ごめん持ってないや」


 とカズ。


「おいおいカズ。男なら常にトイレットペーパーくらい持ち歩け。そして泣いてる女の子がいたら差し出すんだ。俺のようにかっこいい男になりたければな」

「クソみたいなこと教えんなタコ!トイレットペーパーじゃなくてハンカチだろうが!トイレットペーパーで顔拭くのも意味が分からねえしよ!いいカズ?この人ダメな人だから真に受けちゃダメだからね?」


 と急に優しい声音になり弟に話しかける。


「お兄ちゃんやっぱり面白いね!鳥のふん頭に落ちてくる人初めて見たよ!ねえ僕たちの家近いからシャワー浴びてく?」

「か、カズ!いいんだよこいつにはそんなこと言わなくても!こいつは公園の砂で吸い取って固めたり、水たまりで顔洗ったりして何とかするからほっといてあげて!ね?」

「どんな野蛮人だよ。解決方法ホームレスレベルじゃねえか。お前が俺をどう思ってるのかよく分かったよ」 

「でもお姉ちゃん、お兄ちゃん困ってるよ?困ってる人を見かけたら助けてあげないと。お姉ちゃんはそれでいいの?」


 と純粋なまっすぐな瞳で月野を見つめる。


「うっ」


  そのまぶしさに言葉につまる月野。


「おい別に俺は―――」

「はあ。分かったよカズ。たしかにこのままだと可哀想だもんね。おい。ついて来い。いいか?シャワー浴びたらすぐ帰れよ?」

「いやでもなあ。アイドルの家かあ。まずいんじゃねえかなあ。ん?待てよ?こんな有名なアイドルの家だぞ。トイレもすごい設備なんじゃないか?おいおいワクワクしてきたなあ」


「ぶりゅ」


「あ、やべ避けたうんこ踏んじまった。風呂場で靴も洗っていいか?」

「今すぐ帰れてめえは!この全身うんこ人間が!アイドルの家に行くのにトイレしか眼中にないのもなんかムカつくしよ!」


 月野がさっきの弟の注意も忘れてぶちぎれる。


「冗談に決まってんだろ。流石にな。人様の家で靴を右左二つも洗うなんて。右足の靴しか洗わないさ」

「それうんこ踏んだ方だろうが!なんで気使ってる感出してんだよ!全然使えてねえからな⁉右だけも両方も一緒なんだよ!厚かましいんだてめえは!」


「ぶりゅ」


「あ、もう一個も踏んじまった。やっぱ両足洗わせてくれ」

「結局避けたうんこ全部踏んでんじゃねえか!しかも左右別々に!どうなってんだてめえは!」


 髪を乱らせて怒る月野。


「このお姉ちゃん面白えな。ほんとはアイドルじゃなくて芸人なんだぜ」

「違え!適当な事ほざくな!大体てめえがしょうもねえことしか言わねえからだろうが!」

「うーん。こっちのお姉ちゃんも楽しそうで好きだけどいつものお姉ちゃんの方が好きだな」


 と複雑な表情のカズ。


「ご、ごめんね。ほんとこいつのせいだから」


 と睨みつけてくる月野。




 少し歩くと普通の大きさの一軒家の前で立ち止まった。


「え?ここなのか?」

「なに悪い。あたいはそれなりにもうかってるし家にもお金入れてるけど実家はそこまで金持ちでもないんだよ」

「ふうん。いいじゃないの。質素・倹約は日本人の美徳だぜ。金に物言わせて物欲満たしてる金持ちはあまり好きじゃない。そういうやつらがレジでお金渡すときに手に唾つけてお札数えるんだ。あれまじでやめてほしい」

「なにその金持ちに対する酷い偏見は。たしかに嫌だけど」


 月野がドアを開ける。


「靴を脱げ。あたいが庭先のホースで洗っておくから頭洗ってこい」

「そこまでしてもらうのはさすがに悪い。風呂入った後自分で洗うから置いといてくれていい」

「こんな汚いの庭に置いてたらシャワが可哀想だ。いいからさっさと行け」


 玄関横の犬小屋で寝ている犬に目を向ける。


「一つだけ言わせてくれ」

「なんだ?」

「靴洗いを甘く見るなよ?お前に擦って洗い落とした後に靴の裏の臭いをかぐ覚悟があるか?」

「この靴で頭引っ叩たかれてえのか。ありがとうございますだろうが。ある程度は洗ってやるから気に入らなかったら自分で洗え。なんだったらここで頭洗わせてもいいんだぞ」


 早く行けと手で合図されたため、靴を脱いで月野に渡すとカズに風呂まで案内してもらう。


「お父さんの服着るといいよ。置いとくからゆっくりどうぞ」

「ああ、ありがとな。迷惑ついでにもう一つ言わせてくれるか?」

「なに?」

「お姉ちゃん女の子だからさ、靴の隙間のうんこ削ったりとかさせるのはやっぱり忍びなくてな。でもやるっていうから、できればカズがうんこある程度取ってやってくれないか?お兄ちゃんも上がったら行くから」


 大分おこがましい頼みではあるが。


「お兄ちゃん優しいね。分かった!僕がやっとくからゆっくりでいいよ」


 と快諾してくれた。


「ありがとな。頼んだ」

「うん!」


 俺は服を脱いでシャワーを浴びる。綺麗に頭の汚れを落として風呂から出た。





「いやー助かったよ。悪いな服まで借りちまって」


 風呂から出てリビングの方に行くと、奥の座敷で二人で宿題していた。


「靴乾かしてるけど、どう?あれでいいのか?」


 俺は靴の臭いをかいでみる。


「ああ大丈夫だ。助かったよ」

「何か飲むか?」

「じゃあ紅茶を頼む」

「わかった。言っておくが靴が乾くまでだからな」


 そう言って台所に向かった。





「ねえねえお兄ちゃん、宿題教えてよ!」

「カズ!お姉ちゃんがいるからいいでしょ!この人はすぐ帰るんだから」

「お姉ちゃん頭いいから言ってることよく分からないんだもん。お兄ちゃんだったらレベルが近いから分かりやすそう」

「おい?急に鋭い刃出してきたな?それが人にものを頼む態度か?」


 素直な子供ってときどき怖いな。


「分かったよ。じゃあ靴乾くまでだからね。はい紅茶」

「どうも」


 一口口に含む。


「おいおい冷てえじゃねえか!お腹冷えて下したらどうしてくれんだよ」

「うるせえなてめえは。じゃあ飲むんじゃねえよ。こんな暑いのにホットの飲み物なんか出すか」


 俺を流して向かいに座る。


「お前は宿題は終わったのか?」

「宿題?なんだそれは。ああ、そう言えばそんな風習が東の果ての島で行われていると聞いたことがあるな」

「違う文化圏の人間のふりをすんじゃねえよ!そんなやつに何が教えられるんだよ!」

「安心しろ。今日授業でやったから」

「そのレベルからやってんのかよ!お前アホすぎるだろ!」


 月野が驚いて目を見開いて見てくる。


「冗談に決まってんだろうが。まあ任せろ。まずなにからやる?」


 俺は月野の隣のカズに問いかける。


「国語のプリントから。漢字とフリガナの問題なんだけどちょっと難しいんだ」

「じゃあこの漢字はなんて読むと思う?」

「えっと、修行はしゅぎょうで、苦悩はくのう?かな」

「すごいじゃんカズ!正解だよ」


 横で月野が嬉しそうに褒める。


「まあ表向きはな。いいかここからが本題だ。お前は素質がありそうだから教えておいてやる。よく聞け?大人たちはそう教えるし教育委員会はそういう読み方で子供たちを洗脳しにくるんだ。


だがな?漢字には本当の読みというのがあってな、正しくは修行と書いてうんこと読み、苦悩と書いてトイレと読むんだ。これは一部の覚醒者たちにしか教えられていないこの国の闇だ」


「何に覚醒したらそう読むようになるんだよ!てめえらアホだけがそう読んでんだよ!そんなしょうもねえ陰謀論聞いたことがねえよ!教育委員会を闇の洗脳カルト機関みたいに言ってんじゃねえぞ!」


「だがな、うんこを漢字にするとだ、修行ではなく運が来ると書いてうんこと読む。トイレは問うに綺麗の麗と書いてトイレと読むんだ。この矛盾に世の中の学者たちは頭を悩ませている。今世界中でこの謎を解き明かそうと研究されている」


「科学者はそんな暇じゃねえんだよバカが!てめえと一緒にすんな!めちゃくちゃなこと教えてると外に投げ捨てるぞてめえ!」


「お姉ちゃん口悪いよ」


「あたいをお姉ちゃんって呼ぶんじゃねえ殺すぞ!」


 キレて台パンしそうな勢いだ。


「ええっ⁉そうだったの!」

「違うからねカズ⁉このお兄ちゃんふざけてるだけだから!真に受けないで!もうお姉ちゃんが教えてあげるからこのお兄ちゃんのこと無視していいからね。気を取り直して他のやろうよ」

「じゃあ算数かなあ。計算問題は終わったんだけど、この文章問題が難しくてわかんなかったんだ」


 と俺を無視して二人で勉強しだす。


「水が3リットル体の中にあります。1リットル体から出て行きました。残りは何リットルですか?じゃあカズは今三リットルこのお茶を飲んだとするよ?そしておしっこして一リットルなくなりました。じゃあどのくらい体の中に残ってると思う?」

「えっと、そうか!3―1で2リットルだ!」

「そう!できたじゃん!賢いねカズ!」


 とハイタッチしている。


「いいや違う。この問題は大前提としてそもそも場合分けしなければならない。バナナうんこと下痢と便秘の三通りで考える必要がある。バナナうんこの場合2リットルで正解だ。だが下痢の場合は2リットルも出て行ったらどう考えてもこんなに下痢状になるわけがない。だからこの場合下痢は経験と勘から照らし合わせると1・5リットルが正解だ。そして便秘の場合は2リットルではあんなにかたくならない。よって2・5リットルが正解だ。惜しかったな」


「小学生の算数でそんな汚い場合分けするわけねえだろうが!何を急に滔々と語り出してんだてめえは!どこを深読みしてんだバカが!だいたいなんで授業もろくに聞かねえくせに場合分け何か知ってんだよ!」


「今日補習でやった」


「黙ってろてめえは!口を挟むな!」


「お兄ちゃんほんとは頭いいの⁉」


「カズが信じただろうが!お前まじで殺すぞ!いい加減にしとけよ!」


 月野がぶちぎれそうになっている。


「ねえねえお兄ちゃん社会教えてよ」

「か、カズ、この人ダメな人だから早く帰ってもらおう。ね?」

「社会は俺に任せとけ。歴史なんか得意よ」

「えーそうなの!教えてよ!」

「嘘つくんじゃねえ!てめえに何が教えられんだよ!早く帰れ!」

「お姉ちゃんさっきから口悪いよ。お兄ちゃん可哀想」

「うっ、ご、ごめん」


 肩を落とす月野。


「いいか?社会はこの三つの歴史を押さえておけば間違いねえ」

「うんうん!」

「一つ目は五一五事件だ。これは5月15日に起こったと言われている事件だ」

「なんだ一ノ瀬くんにしてはまもとなチョイスかも」

「そうあれは数年前の5月15日のことだった。その日はプールの授業があった。うちのプールはなぜか室内にあり、日が当たらないうえに水温も低いという最悪のものだった。しかもそこのトイレは汚く、なぜか男女共同というイカれた旧時代的なトイレだった。


暗黙の了解で男はそこのトイレを使うことは許されておらず、俺はクソ寒い中一時間近くトイレを我慢し続けた。授業が終わった瞬間トイレに駆け込もうと思って何とか気力だけで我慢し続けた。


しかし何とその日はチャイムが鳴らず、先生が時間を間違えてしまい、着替えて走って教室に戻ったらトイレに行く時間はなかった。しかもよりによってその時間はテストで、解き終わらないとトイレに行かせてくれない先生だった。さらに教室はクーラーが効いており、追い打ちをかけてくる。


死ぬ気で終わらせた俺は、やっとのことでトイレに行き、次の授業が終わるまでそこから動けなかった。あの時の腹痛は今でも夢に見るほどきつく、漏らさなかったのは奇跡だとしかいいようがない。ああまじで辛かったあ。これが俗にいう五一五事件だ」


「どんな事件だよ!それお前の話じゃねえか!そんな汚え五一五事件聞いたことねえよ!何をしょうもねえことに大それた名前つけてんだ!」


「まあまあ最後まで聞け。二つ目は半田沢の戦いだ」


「聞いたことないけど歴史っぽいかも」


 ととりあえず続きを促す月野。


「これは中学三年の夏の話だ。長いこと悪い姿勢でトイレに座りすぎてしまったことや、お尻に負荷をかけすぎた結果、痔になってしまったんだ。それが悪夢の始まりだった。初めての痔に戸惑いながらもなんとか学校に行った帰りの日。並々ならぬ腹痛に襲われすぐ近くの半田沢デパートに駆け込んだ俺は用を足そうとした。


しかしその時。腹痛にも劣らぬほどの凄まじい痛みが臀部を襲い、俺は便を輩出するのを止めざるを得なかった。だが、この並々ならぬ腹痛から逃れるには便を出すしかない。


しかも下痢のため大量に出るわ出るわ。結果俺は両方の激痛に襲われ泣きながら用を足したのだった。あれは今思い出しても鳥肌が立つ。人生で一番つらかったと言っても過言ではない。この事件はあまりの凄惨さから書物から消されたと言われている。日本史に残る名勝負だったのに」


「またてめえの汚えトイレの話かよ!何をただうんこしただけの話に戦国時代の戦みたいな名前つけてんだ!ややこしいんだよ!どっちかというと汚すぎて存在が消されたんだよ!」


 と怒りながらクッションを投げてくる。


「あまりの刺激の強さからR1指定されている。ちゃんと用意して話を聞くように」

「R1指定ってなんだ!年齢制限みたいに言ってんじゃねえぞ!お腹痛くなるから用意しとけってか⁉」

「まあまあお姉ちゃん。ずっと勉強するのも楽しくないし、お兄ちゃんの話聞こうよ。面白いし」


 となだめるカズ。


「カズがダメになってきてるきがするのはあたいだけなのか?」


「最後の一つは、紙幣改鋳一揆だ」


「あれ?紙幣改鋳とか一揆とか歴史っぽい単語だな。改鋳ってあれだろ?江戸時代に金貨や銀貨の品質とか重量とか改めて新しい貨幣を流通させたことだろ?一揆も江戸時代でよく聞いた言葉だったと思うけど」


 カズに向けてなのか独り言なのか説明をしている。


「あれは俺が中学三年の秋の頃だった」

「もういいわ。もう聞きたくないわ」


 無視して続ける。


「ある日。いつも通り学校のトイレでうんこをしてけつをふこうとした時。俺はあることに気づいた。そう。なんとトイレットペーパーがいつもより長いのだ。ワンロールあたりの量が増えていた。脳内でランランスキップをするような気持ちで、トイレットペーパーをちぎったとき、俺の表情は無に帰した。


そう。長さが増えた代わりに、厚さが減っていたのだ。つまり。薄くなっていた。もっとわかりやすく言うと、ダブルからシングルになっていた。俺は激怒した。ふざけるなと。この程度の厚さでけつがふけるか。先生に抗議した。しかし当然取り合ってくれない。飯の数よりトイレの数が多い俺に、こんなものでけつをふけだと?


まさに江戸時代に行われた貨幣の改鋳と同じやり口。金や銀の含有量を減らし、質を下げることで、より多くの貨幣を流通させる。絶対に許さない。俺はその腐った根性に反発することにした。そう。一人厠一揆だ。俺は教員トイレを中から閉鎖すると、一日中閉じこもりストライキすることにした。当然先生たちは困り俺を説得し出すが、俺の要望は一つだけ。トイレットペーパーをダブルに戻せ!


しかし俺一人の力ではバリケードはあっけなく破られ突破された。しかしそこでへこたれる俺ではない。次は学校中の男子トイレに大量のトイレットペーパーを流し、すべてを詰まらせ、使用不可にした。


業者が来ても意味がないようにすべてのトイレットペーパーを奪い隠した。俺のこの反発はおよそ半年にもわたって続き、とうとう俺は勝利した!代わりに内申はボロクソに書かれ、全校生徒に嫌われ卒業したがそんなことはどうでもいい。俺は学校と言う独占国家に勝利したのだ!」


「お前は本当にしょうもないことしかしてねえのか!何が紙幣改鋳だバカが!紙幣じゃなくてただのお尻拭く紙だろうが!しかも一人だから一揆でもなんでもないしよ!結局全部お前のしょうもねえ話じゃねえか!一つたりとも歴史に関係ねえ!いっちょ前に歴史の一大事件みたいな名前つけやがって!てめえはもうしゃべんな!」


 キレた月野が今度はティッシュの箱を投げてくる。


「お兄ちゃん面白い」


 とニコニコしているカズ。


「はっ!まずい!お前なんてことを!カズが影響を受け始めている⁉解散だ!今すぐ出て行け!」


 慌てた月野が俺を追い払おうとする。


「お姉ちゃん待ってよお。まだ靴乾いてないし可哀想だよ。僕一揆とかよく分からなかったけど今の話聞いてなんかイメージしやすかったし、五一五事件も数字が覚えられなかったけど、お兄ちゃんの話衝撃過ぎて覚えちゃったよ。だからもう少しだけ。ダメかな?」

「わ、わかったよ。でもいいカズ?真に受けないでよ?ほんとにそんな内容の歴史なんかないからね?靴が乾くまでだからね?」

「うん!」


 どうやら話はまとまったようで俺はまだいてもいいことになった。

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