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一ノ瀬英一のおバカ譚  作者: 八野はち
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37話 インターン先は馬小屋でした①「馬房掃除は俺に任せろ。秘技 うんこ落とし(ジャスト・ザ・パワー!)」

 それから数日後の午前五時。まだ日も昇らず薄暗い中、学校から遠く離れた片田舎の牧場の前に俺は立っていた。


「おいおい犬ときて鳥ときてその次は馬かよ。動物園の飼育員じゃねえだぞ俺は。大体なんで製紙会社じゃねえんだよ」


 ていうかどうせなら猿にしとけよな。桃太郎知らんのか。


「あんたは生活態度も悪いし、河瀬先生のこと怒らせたんだから自業自得でしょ!問題はなんで私までここなのかってことよ!私は注意したのに!なんで私までこんな馬臭い田舎であんたの面倒見なきゃいけないのよ!今日何時に起きたと思う⁉四時よ⁉初日からブラックの臭いがプンプンするわ!どこのインターンシップで四時起きのところがあるのよ!」


 隣に立っていた二夕見がギャーギャー叫ぶ。そう。五時出勤のため四時半に学校に集合し、ここまで学校車で当直の先生に送ってもらったのだ。本当は四時集合だったが、流石に俺も二夕見も起ききれなくて、四時半に着き、空いていたため全力で飛ばしてきてなんとか間に合わせてもらった。


「うるせえなあ。どうせお前もなんかやらかしたからこうなったんだろ。人のせいにするんじゃねえよ」

「私がそんなことするわけないでしょ!河瀬先生からあんたの面倒見るのよろしくってメールが来てたの

よ!本来なら今頃小さい子たちに囲まれてほっこりしてたはずなのに!全部あんたのせいよこのクズ!あんた私の分も死ぬ気で働きなさいよ!」

「この時間ならベッドの中だから別にチビどもに囲まれることはないだろ」

「揚げ足取るんじゃないわよ!あんたのせいでこの時間にこんなところいるのよ!」


 そう言って睨みつけてくる。おお怖。猿枠こいつかと思ったけど鬼だったわこいつ。討伐対象でした。 


「分かったよ。俺が悪かったって。ちゃんと相手が男だったら俺が間に入ってお前がしんどくならないようにフォローするよ」

「え?あんたなんでそんなこと知ってるの?私そんなこと話したっけ?」


 驚いたような顔でこちらを見てくる。


「あー。蓮浦に聞いた。男に触れないんだろ?トラウマで。まああんま気にすんなよ。俺も中学生の時あまりにうんこ踏みすぎて世界が信じられなくなって、道を歩くのが怖くなり外に出られなくなった時があったが、今ではすっかり克服してちゃんと踏めるようになったぞ」

「あんたのしょうもない汚いトラウマと一緒にするんじゃないわよ!結局まだ踏んでんじゃない!何も克服できてないから!」


 一人で「あんたと話してると私の悩みがバカみたいに思えてくるわ」などとぼやいている。


「ま、まあでも、気使ってくれるのは嬉しいかも。あ、ありがと。今のも励まそうとしてくれたんでしょ?」


 などとそっぽを向いて言うが頬が赤く染まっているのが分かる。


「べ、別にそんなんじゃねえよ。お前が素直にお礼を言うなんて珍しいな。何を企んでる」


 珍しく素直にお礼を言う様子や看破されたことに少し戸惑う。


「何よ私はいつも素直よ!気を使わせて悪いなと思ったから言ったのよ!あんたの方こそこういう時くらい素直に受け取りなさいよ!」




「おめえらが今日から二日間ここで働くバイトだべか?」


 言い合っていると突然ライトが向けられやけに言葉がなまったおっさんの声がした。声の方を見ると作業服を着て大型犬を連れた五十から六十歳くらいのおじさんが立っていた。


「あ、そうっす。どうも初めまして。楽大高校からインターンで来ました。一ノ瀬英一です。今日からお世話になります」

「お、おはようございます。二夕見しおです。よろしくお願いします」

「おおよろしくな。ああそうだべそうだべインターンだったべな。まあなんでもええけど今従業員がみんな怪我やら風邪やらでダウンさしてて人でが足らんくてほんとに助かるべ。おらの名前は田中剛だ。じゃあおらについてきてくんれ」


 そう言うとおっさんは歩き出した。


「おい。あのおっさんバイトって言ってたぞ。使い殺す気満々だぞ」

「しかも従業員私たち以外いないって何?過労死させる気?」


 おっさん、田中さんの後ろでこそこそ話す。


「まあ割と小さい牧場だし何とかなるか。最悪俺は脱獄する」

「こんな何もない田舎に逃げ場なんてないわよ。来る途中バス停もコンビニも見かけなかったし。畑しかなかったわ。なんかスマホも圏外だし。私たちだけ未開地に左遷させられてきた気分なんですけど」


 ぶつぶつ言いながら田中さんの後をついて行く。五分程歩くと馬小屋、厩舎に着いた。


「厩舎の横に倉庫があるからそこで作業服さ着替えてきてくれるか?すまねえなあ。野郎ばっかりで更衣室さないから先に女の子から着替えさせてあげてくんれ」


「「わかりました」」




 倉庫の中から着替えた二夕見が出てくる。男しかいない割にはピッタリのサイズで意外と似合っていた。


「何ジロジロ見てんのよ。私の美貌に見とれちゃった?」


 などと冗談交じりに言ってくる。


「いや。農業高校で牛の乳つねってキレてそうだなって」

「作業着見ただけでどんな具体的な想像してんのよ!誰が牛の乳に嫉妬すんのよ!」


 次は俺が中で着替え出てくる。


「なんか似合いすぎて面白いんですけど。家畜の糞拾って運んでそうね。馬子にも洋服って感じ」

「それだと普段は裸みたいじゃねえか!馬子にも衣装だろうが!これ別に衣装でもねえけどな!普段どれだけ醜いんだ俺は!馬子バカにしすぎだてめえは」


 着替え終わった俺たちは隣の厩舎に向かう。中に入ると馬房にたくさんの馬が入っていた。茶色いのから白いの、黒いのまで色んな馬がいる。


「んだらまずは飼い漬けさしてもらおうかな」

「飼い漬け?」


 なんだそれは。


「馬の餌の飼料が入ったもののことだ。そのおけを入れてあげてくんれ」

「わかりました」


 俺と二夕見、田中さんとで手分けしてあげていく。しかし。なぜか俺が近づくとどの馬も嫌がって鳴きだす。


「あんた臭いんじゃないの?馬って繊細な生き物らしいわよ」

「こいつらよりは俺の方がいい匂いするわ!ふざけんな!」

「じゃあなんでこんなに嫌がられるのよ」


 二夕見が言ってみろと言わんばかりに問いかけてくる。


「あんれま耳さふせちゃってるだ。馬が耳伏せてる時は警戒してる時だから覚えとくといい」

「じゃあ兄ちゃんはあっちで飼いおけさ洗っててくれ。こっちは二人でやるべ」


 ちくしょう!嫌いだこいつら!ピカピカに洗ってやるからな!




 一人外でおけを洗う。


 

「洗う」という行為において俺より長けたやつはいないと言っても過言ではない。トイレ掃除、靴磨き。この二つの行為を俺は数えられないくらい行ってきた。水をかけ洗剤をつけてブラシでこする。こんな単純な作業だが実は奥深く、絶妙な力加減が必要だ。トイレの場合強すぎると汚い水や洗剤がはねてくることがあり、弱すぎると汚れが落ちない。靴磨きの場合強すぎると靴が傷ついてしまい、弱すぎるとこびりついたうんこは落ちない。


何百何千と洗い続けてきた俺だから到達した達人の領域、絶妙な力加減こそが「洗う」という行為のコツだ。これぞ秘技うんこ(ジャスト・ザ・)落とし(パワー)だ。無駄なことを考えながらおけを黙々と磨いていたが次から次へと食べ終わったおけが運ばれてきてどんどんたまっていく。おいふざけんな!


「手伝うわ。こっちはもうあげ終わったから」


 頭上から声がして見上げると二夕見だった。


「サンキュー。だがお前に秘技はまだ早い。このおけを全部洗ってみろ。そうすれば秘技ジャスト・ザ・パワー(うんこ落とし)の片鱗に触れられるだろう」

「そんなゴミみたいな技修得するわけないでしょ!適当な事言って全部押し付けようとすんな!」


 ちっ。バレたか。


「まったく。あんたそんなことよりどうすんのよ。あんなに馬に嫌われるんだったら何もできないじゃない。さっきかっこつけてフォローするとか言ってたくせに二人きりにしてすぐどっか行っちゃうし」

「悪かったよ。まさか開始一分で戦力外通達されるとは思わなかった。てか別に馬なんか触れられなくても馬房の掃除とか牧場の掃除とかはできるからいいんだよ」

「ふーん。だといいけどね」


 二人でおけを洗っていると田中さんが来た。


「おーい。ちょっと二人とも来てくんれ」

「「はーい」」


 ついて行くと再び厩舎の中に来た。


「飯も食い終わったしどうだ?うちのめんこい馬触ってみるべか。うちで一番気性が優しくて人間に甘えるのが好きなロベルトにするか。しおちゃんだったべな。まずはあんたから。触る前に目見てみ。綺麗で優しそうな目だろ?」

「ほんとだ!目が綺麗で優しい顔してる。ロべちゃん触ってもいい?」


 二夕見が近づくとロベルトは自分から顔をすりすりしにいく。


「きゃああ可愛い!毛並みも綺麗で穏やかで気品がある子ね!」


 などと言って頭を撫でている。


「だべだべ。よく見てるだな。気に入られたか」

「よしんじゃ次は英一だいうたべな。おめえはまず人参さあげてみろ。したら舌出して食べるから」


 俺は手のひらに人参を乗っけると差し出した。すると、恐る恐る口を近づけると人参だけ綺麗になめとって食べた。


「ほれロベルトもうまって言うとるべ。馬だけになっ。ぶわっはっはっはっはっはっ」


 などと一人寒いギャグを言って笑っている。


「「……」」


「あんれ?ウケねがった?これけっこう面白いと思ったんだがなあ」


 ロベルトが俺にお尻を向けた。


「よしよし。まあ最終日には触れるようになっとるはずだべ。おめえはそれできたら十分だ。あんまし気にすんなな。大丈夫だべ。兄ちゃん馬顔イケメンだからそのうち女の子にモテるべ」

「馬顔イケメンってなんだよ聞いたことねえよ」


 塩顔イケメンみたいに言ってんじゃねえ。馬面はイケメンじゃねえんだよ悪口なんだよ。

 二夕見が「ぷっ。馬顔…。ふふっ」などと笑いそうになっているこの野郎。


「まあ女の子っていってもメス馬だべがな」


 やっぱりそうかよ。結局どっちにもモテてねえよふざけんな。


「んだらおけ洗いの続きさするか」




 そしてさっきの場所に戻りおけを洗おうとすると、


「あんれ?おめえらホースあっただろ。あれなくなってるべ。ホース取ってくるからそれ使って水流した方が効率いいべ」

「さーせん」


 そう言って田中さんは厩舎の中に入って行った。


「ほれ連れてきたべ。ホースだあ」


 振り向くと馬を引いて後ろに立っていた。


「もういいんだよオヤジギャグは!」


 思わずツッコんでしまった。


「あんれえ。ウケねがった?これはちょっと自信あったんだげども」


 そう言って厩舎に戻しに行く。いちいち連れてくるの大変だっただろうに。


「多分馬連れてくるのってけっこう面倒よね。どんだけ体張るのよあの人」

「ギャグに命かけるタイプだなあのおっさん」


 二夕見も呆れている。ようやくおけを洗い終わったところで


「よし終わったか?あれまこんなにピカピカに磨いて。昼もまた使うから軽くでよがったのに。真面目な子だちだべなあ。したらオラが今馬たちを放牧地に出してきたところだから、おめえら馬房の掃除さしてくれ。綺麗な藁と汚い藁とに分けるんだげどもこれはちょっとコツがいるべ」


 馬房はしょんべんやボロ(馬の糞のことらしい)がついた汚い藁が混ざっていた。


「じゃあこれ使って分けてみてくんれ」


 そう言って先が三つに分かれた道具を渡される。これはいわばトイレ掃除だ。なら俺にできないはずがない。そうだろう?


 俺は道具を使いこなして瞬く間に綺麗な藁と汚い藁とに分け、ボロを綺麗にすくうと運搬用の一輪車に乗せていく。


「おお⁉こんりゃたまげただ兄ちゃん!上手じゃねえか!こんなに最初からうまいやつ初めて見たべ!兄ちゃんここで働く気はないべか?」


 田中さんが目を見開いて驚く。


「残念ですが僕を必要としているトイレは他にもたくさんあるので。僕は行かなければならない」

「何かっこつけてんのよ。あんたがトイレを必要としてるんでしょ」

「ああでも馬に嫌われるんだったな。だったら無理だ。忘れてくれ」


 おいおっさん?


「かわいそ」


 二夕見が隣の馬房からいちいち盗み聞きしてバカにしてくる。


「おいお前喋ってる暇あるのかよ?馬房掃除は終わったんだろうな」


 隣を覗いてみると全然進んでいないうえに藁を掴むのもままならず、ボロも隙間からこぼれ落ちてしまっていた。


「へったくそだなあ。お前いくら馬に好かれても技術がないとここじゃやっていけないんだぜ?愛じゃ腹は膨れねえんだよ!」

「うっさいわね!ちょっとトイレ掃除が上手だからって調子乗らないでよ!」

「まったくしょうがねえやつだ。俺が教えてやる。いいか?こう腰を使うんだ。やってみろ」


 俺が一度お手本を見せてやる。


「こ、こう?」

「違う違う違う!バカ野郎が!いいか!こうだ!こう腰を使ってぐっと、藁をかき分けてボロを掴み取るんだ!全身全霊でやるんだ!ダメだダメだダメだ!お前にはうんこに対する愛が足りない!汚いから早く終わらせてしまいたいという雑念が透けて見える!お前やる気あるのか⁉一度ボロを素手で掴んで握ってみろ!そうしたらうんこの気持ちが伝わってくる!」

「適当な事ばっか言ってんじゃないわよ!何がうんこに対する愛よ!そんなのあるわけないでしょうが!こんなの掴めるか!何の気持ちが伝わってくんのよ!あんたじゃないのよ!」

「大体なあ。お前は道具の掴み方からおかしい。こうやって―――」


 俺が二夕見の横から二夕見の手を掴み持ち方を変えさせようとした時―――


「いやあああ!」


 二夕見は大きな声を出して俺を振り払うと拒絶した。


「……」


 気まずい空気が流れる。





「あ、いや、い、今のは、その」


 二夕見が申し訳なさそうに何かを言おうとする。


「いや。悪い。今のは俺が悪かった。配慮が足りなかった。つい普通に触ろうとしちまった。次から気をつけるわ」

「え。あの。ご、ごめんね。せっかく教えてくれようとしたのに。別に嫌いだからとかじゃなくて男だとその…」


 気まずそうにそう言ってくる。


 何してんだ俺は。こいつが相手だとちょっと配慮がかけちまうというか気安くなりすぎるところがあるのかもしれない。例えば白銀が相手だったらこんなに気安く触ったりしないはずだ。さっきフォローするなんて言いながらかっこ悪いな。


「なんだあ?痴話げんかかあ?兄ちゃんが悪いべしたら」


「違います!」

「違うわ!」


 作業していたおっさんが近づいてきた。まあ俺が悪かったが。二夕見は俺が触れてしまった手を見て、首を傾げていた。




「すまん。できものできたのか?」

「それが、できてないのよね。なんでだろう」


 「パパ以外で初めてだわ」などとつぶやいていた。




 その後も馬房の掃除を行った。藁は想像より重く、汚い藁やボロを運搬用の一輪車に入れて運ぶのもけっこうな重労働だった。俺でこんなに大変ということは二夕見はもっとキツイだろう。


「これけっこうきついな」

「そ、そうね」


 やはりまだ気まずい。できるだけ荷運びなどの重労働は俺が行ったが終始気まずかった。



 


その後新しい藁を敷き詰めたりして馬房を整えると正午になっていた。


「よーしおつかれさん。初めてなのに二人ともよく頑張ってただ。弁当があるから食って休んでくれ。一時間後にまた呼ぶからなあ」


 そう言われ俺たちは宿舎の横の外で弁当を食べることにした。隣に二夕見が座っていて気まずい。


「二夕見。から揚げ一個やるよ。さっきは悪かったな」


 男の俺から話しかけることにした。俺が悪いしな。


「私の方こそ悪かったわ。むしろ私があげるから食べて」


 などと言ってから揚げを渡してこようとしてくる。


「いやお前は悪くねえだろ。いいからもらっとけって」


 俺は二夕見の箸を手で制す。


「あんただって悪くないでしょ。あんたがもらいなさい」


 しかし二夕見も俺の箸を押し戻そうとしてくる。


「だから俺が悪かったって言ってんだろうが!いいから黙ってもらえ!」

「私が悪いって何回言わせんのよ!口につっこまれたいわけ!かっこつけてんじゃないわよ!」

「お前こそしおらしくなってんじゃねえぞ!別に可愛くねえんだよ!この俺がから揚げをやるって言ってんだぞ!これがどれほどのことか分かってんのか⁉」

「あんたの汚いよだれがついた箸で触ったから揚げなんか食べたくないって言ってんのよ!いいから黙ってあっ」


 二人ともお互いに無理矢理相手の弁当箱に入れようとして攻防していたため、互いの箸がぶつかり両方のから揚げが地面に落ちてしまった。


「はいお前のせいでから揚げ落ちたー。おいお前くれるって言ってたよな?早くよこせ。あんなにあげたがってたもんな」

「はい?あんた要らないって言ってたでしょ。それにあんたの方こそあんなに早く食べろって言ってたんだから早くよこしなさいよ。まさか男に二言はないわよね?か・ら・あ・げ!」

「もちろんねえよ?ほらやるよ」


 俺は地面に落ちたから揚げを箸でつまむと二夕見の弁当箱の中に放り込んだ。


「きゃああ!弁当箱に入ったじゃない!あんた何してくれんのよ!あんたちょっと待ってなさいよ!」


 そう言って何やら厩舎の中に入って行った。すぐに戻ってくると


「ほらから揚げあげるわよ!欲しいんでしょ!弁当箱よこしなさい!」


 そう言って持って来たボロを挟んで掴んでいたトングでから揚げを拾って俺の弁当箱に近づけてきた。


「おおいてめえボロ掴んだもん近づけんな!ペッペッペッペッ!」


 俺は二夕見の弁当箱めがけて唾を飛ばす。


「きゃあああああ!汚い!あんたほんと殺すから!」


 そう言ってそばにあったホースを持ってくる。


「おおいそれは反則だろうが!ホースなんか持ってくんじゃねあばばばばば」


 ホースの出口を指で押さえ勢いを増した水が俺の顔面を襲う。


「あはははははっ!ばーかばーか!ざまあ見なさい!」


 結局俺の弁当はずぶぬれになり食えなくなった。こいつは絶対許さないことにした。

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