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一ノ瀬英一のおバカ譚  作者: 八野はち
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22話 「くそじじいトイレ清掃員」

翌日。休み時間に久しぶりに二年のフロアにあるトイレに籠っていると、いきなり上から大量の水が降って来た。


「うおッ⁉何だあ⁉誰だ水ぶっかけやがったやつはあ!びしょ濡れだろ!」

「はて?どこかから声がするのう。厠の神さんが喜んでくれているのかのう」


 ドアの外からとぼけた声がする。


「またてめえかクソジジイ!誰が厠の神さんだこら!鍵が閉まってんのに掃除始めようとすんじゃねえ!」

「ほうほう。神さんじゃなくて妖精さんでしたか。こりゃ失礼。むこうに行く前に声が聞けてわしゃあ幸せもじゃ」

「耳どうなってんだジジイ⁉予定より先にあの世に送ってやろうか⁉」

「そいじゃ、今から綺麗にしますからねー」


 ジジイはなおも掃除を続けようとする。


「やめろってんだジジイ!俺が入ってんだよ!」


 ドアを開け個室から出ると清掃服を着たジジイがバケツを持って立っていた。




「ありゃ?こりゃ随分醜い妖精さんじゃ。たしか最近映画で見たのう。あのおしゃべりなロバと一緒にいる緑の怪物。なんて名前じゃったかのう」

「どうやらそんなに星になりてえようだな!てかそりゃシュレックのこと言ってんじゃねえだろうな⁉そりゃてめえだジジイ!」

「誰がハリーポッターじゃ!」

「誰もそんなこと言ってねえから!お前はどっちかというと屋敷しもべ妖精だから!」


 今のどこにハリーポッターの要素があったんだよ。


「ん?貴様よく見るといつもの不良ではないか!またこんなところで授業さぼっとったのかこりゃ!」

「だからさぼってねえって毎回言ってんだろうが!お腹痛えの!てか今休み時間!こいつ全然話かみ合わねえよ」

「ええい言い訳など聞きとうないわ!このトイレの寄生虫が!駆除してくれるわ!」


 なぜか突然キレだしたジジイが洗剤をぶっかけてくる。




「ああッ⁉てめっ!洗剤かけんじゃねえ!制服シミになんだろが!ジジイ!入れ歯引っこ抜いたろか⁉」

「毎度毎度人の案便を邪魔するわ水はかけるわ洗剤はかけるわ、絡んでくるわ、なんちゅう厄介なジジイだ!」


 俺が害悪すぎるジジイに文句を言っていると誰かがトイレに入って来た。






「あー腹張って気持ちわるいわー。ん?何叫んでるんや?一」


 蓮は俺のすぐ目の前にいたジジイの存在に気づいた。


「あ!おまえは!ボケジジイ!」

「んー?なんじゃ貴様は?…そうじゃ!貴様は!出たなトイレに住み着く害虫2号め!2匹そろって駆除してくれるわ!」

「誰が害虫やジジイ!ウォシュレット顔に噴射されたいんか!文句があるんわこっちや!お前がいつもトイレットペーパーの代わりにキッチンペーパー置くせいで俺のケツはズタズタや!


お前のせいで俺の痔が治らんと言っても過言やないわ!何度言っても通じへんし、やっと通じた思たら次の日にがもう忘れてるし、さっさと引退しろこの老いぼれが!」


 蓮が日頃の恨みをぶつける。


「やかましい誰がベジータじゃ!」

「誰もそんなこと言うてへんわ⁉冗談はM字ハゲだけにしとけ!お前はどっちかというとドクターゲロや!もしくはただのゲロや!」


 ジジイのボケっぷりに蓮も声を荒げる。


「そーだこのジジイ!てめえが一番むかつくところは女子トイレは毎日掃除するくせに男子トイレは週一でしか掃除しねえところだ!てかジジイのくせに女子トイレ入ってんじゃねえぞクソジジイ!」

「やかましい!わしはトランクスよりブルマ派なんじゃ!」

「微妙にかみ合ってそうな返事するんじゃねえ!ていうかそれ最早ドラゴンボール関係ねえだろ⁉ただのパンツだろ?ただのてめえの性癖だろ⁉」


 このエロジジイが!


「ええいやかましい!貴様らのようなヤンキーがトイレにたばこを捨てるんじゃ!わしがいつもどれだけの数の吸い殻を処理しとると思っとるんじゃ!髪も勝手に伸ばしおってからに!男子は丸坊主だと散々言われておるのに!」

「俺たちは頻繁にトイレに来るが、たばこの吸い殻なんか見たことねえよ!しかも丸坊主なんて校則は昭和だボケ!いつの時代の学校と間違えてんだジジイ!今は令和なんだよアホが」

「さっきから口答えばかりしおってからに!便所虫どもが!口で言っても分からんやつにはこうじゃ!ほああああ!」


 逆切れしたジジイが奇声を発しながらゴキブリスプレーを俺たちに向けて噴射する。


「「うおおおおおおっ」」


 ジジイの突然の奇行に俺たちは瞬時に距離をとる。


「おいてめえ頭いかれてんのか⁉そんなゴキブリさえも殺す恐ろしいもん人間に向けんじゃねえ!」


 こいつ二夕見よりやべえぞ。俺たちは老害すぎるジジイから逃げるようにトイレから出た。




「なんやあいつヤバすぎるやろ。クレームも悪口も一切効かんうえに、最後まで一方的に話しとったぞ」

「あいつは効かないんじゃなくて聞こえねえんだよ。今度会ったら三途の川まで連れてってやる」

「俺はトイレットペーパーとキッチンペーパーの違いが分かるまでヤギみたいに口につめて食わせたるわ」




 二人でクソジジイの文句を言い合う。




「俺ちょっと服着替えに更衣室行ってくる」

「了解。先教室戻っとくわ」




 俺は蓮と別れると、びちゃびちゃに濡れた制服からジャージに着替えるべく更衣室に向かった。

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