表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一ノ瀬英一のおバカ譚  作者: 八野はち
20/68

19話 「男にはかんちょう、女にはセクハラ。それが俺のあいさつっす」

 部室に着くといつもの定位置に着き、ダラダラと過ごしていた。蓮は今日は遅いな。


 どうやら無理して踏ん張ってるか今日はたまっていたものが解放される日なのかもしれないな。果たして学校のトイレごときで受け止められるかどうか。



「コンコン」


 心配しているとドアがノックされる音が聞こえてきた。


「ども~。こんちはー。ここが悩み解決してくれるっていう部室っすか?」


  どこかチャラそうな印象の男が入って来た。二夕見が眉をひそめる。


「初めましてっす。俺一年の土井孝太(どい こうた)っす。うっひょー可愛い先輩が二人も!ぐへへ来て良かったあ!」


 何やら低俗そうなやつが来たな。あ、やべ。二夕見の表情が無だわ。蓮浦は指をパキパキ鳴らしている。



「何の用で来たんだ?とにかく椅子に座りな」


 誰も対応しようとしないのでなぜか新入部員の俺が対応した。


「うお!Dカップか!えっろ!」


  近づいてくると蓮浦の胸を見て鼻血を垂らしながらギンギンの目で最低なことを言い始めた。蓮浦がすかさず自分の体を抱きしめるようにして胸を隠す。


「無駄無駄!俺のイーグルアイにかかれば服の上からでも手で隠しても丸裸だぜ」


 蓮浦が立ち上がって土井の顔面を無言で殴った。ナーイスパンチ。これは自業自得。二夕見がガッツポーズする。


「ぐはっ。な、なんだこの衝撃は!こ、これが恋⁉」


  こいつは強すぎる。土井は長方形の机のドアから近い短い辺の方、俺たち三人を見渡せる席に座ろうとし、そこで初めて俺に気づいたようだった。




「なんだ野郎もいるんすかあ。ちょっと席外してもらっていいっすかね」


 あからさまに下がったテンションを取り繕いもせずに言ってきた。


「今のところ俺しかしゃべってないのになんで気づかなかったんだよ。てか何でだよ。理由を言え理由を」


「そんなの俺がハーレムになりたいからに決まってるじゃないすか」


 真顔でこの国の総理大臣を答えるようにすらすらと当然といった顔をして言ってくる。


「バカが。そんな理由で席外すか」

「そうよ。それと同じ部屋で三人だけなんて身の危険を感じるわ。一ノ瀬はここにいなさい」


 ここで初めて二夕見が口を開いた。しかもそれ呼びだし。


「あー。Aカップすかー」

「はあ⁉び、びびびBカップだし!」


 突然の核心を突いた言葉に二夕見が言いよどむ。


「悪いすけど俺はサイズ偽ってもすぐに分かるすよ。そして俺にはブラのサイズまで分かる。なるほど。ブラのサイズはBみたいっすよ。ダメっすよ。身の丈にあったサイズのブラつけないと胸垂れちゃいますよ」

「Aの胸はそもそも垂れねえだろうが」

「あっ。たしかに。でもAかあ。はあ。どんまいっ!いいことあるっすよ!」


 などと言って親指を立てる。


「う、ううううがああ!こいつら追放よ!こんな変態とこれ以上同じところいられないわ!誰かいますぐ追い出して!」


 初対面の変態に自分の秘密を暴露された二夕見が発狂する。え?俺も?



「まあ落ち着けAカップ」

「Aカップって呼ぶなあ!ぶっ殺すわよ!」


 暴れそうになる二夕見を蓮浦がなだめる。




「そうだ先輩。なんかこの椅子の足おかしいんですけどちょっと見てもらえないっすか?」

「ああ?何でおれが。まあいいけど。どれどれ」


 俺は土井の座っていた椅子に近づくと腰をかがめる。


「隙あり!ほあたっー!」


 俺の後ろに立っていた土井が突然かんちょうしてきた。


「はっはっはー。どうすか俺のかんちょうは!男にはかんちょう、女にはセクハラ。


 それが俺のあいさつっす。沈めた男は数知れず。撃沈した女の数も天井知らず!石より硬い俺のかんちょうをくらえ!


ってあれ?お、俺の指が動かない⁉というか、手ごたえがない⁉ま、まさか!筋肉で止められている⁉な、なんだこのけつ筋は!こんな硬いけつ初めてだ!」



「ふっふっふ。バカが。俺が今までどれだけトイレで数々の戦いを繰り広げてきたと思っている。その激しさは北欧神話の神々の戦いラグナロクにも匹敵するほどだ。そこらの軟弱どものケツと比べるんじゃねえ。こちとら毎日戦っとんじゃ!なめんじゃねえ!」



 俺の便座に座り続けた日々が俺のけつ筋を構成している。そう。努力が変態のかんちょう(デススピア)を止めた。


「な、なんだと⁉こんなに手ごわいやつは初めてだ…。俺のかんちょうで倒せないやつがいたなんて。弟子にしてください!兄貴と呼ばせてくださいっす!」

「はっはっは。いいだろう。と言いたいところだがお前のような変態はごめんだ。勘弁しろ」

「そ、そんなあ!なら勝手に慕わせてもらいます兄貴!」


 そんな俺たちのやり取りを見て、二夕見と蓮浦はごみを見る目で俺たちを見ていた。


「男ってほんと最低」

「それな」


 あ、あれ⁉なぜ俺まで?




「それで。どんな相談なわけ。どうせつまんないことなんでしょ」


 二夕見がしゃべるのも嫌そうに聞く。


 ちょっと前の二夕見ならヒステリー起こしてるところだが、俺とのリハビリのおかげか抑えられているようだ。俺って医療従事者とか向いてんじゃねえの。また可能性を広げてしまったか。


「いやいや、真剣な悩みなんすよ。実はですね、俺、こんなに女の子が大好きなのに、なぜか全然女の子にモテないんすよ!」

「やっぱつまんねえことじゃねえか。理由も明白だしよ」

「そうね。これで問題は解決ね」

「そうやな」


 二人もうんうん頷く。




「「「気持ち悪いからだよ」」」




 三人とも同意見だ。




「そんなことないっすよ!いったい俺のどこが気持ち悪いって言うんすか!」

「すべてだよ。まず存在が変態だろ。どうせあちこちで下ネタ言ったりセクハラしたりしてるんだろ」

「そんなことしてないですよ!むしろ俺は女の子のことを守ろうとして日々頑張ってるんすよ!」


 土井が冤罪だ!不名誉だ!と言わんばかりの顔を浮かべ、否定してくる。


「何してるんだよ」

「変態が女子トイレにいないか定期的にチェックしたり、更衣室に覗き魔がいないか見回りに行ったり、スカートの中に怪しいやつがいないか確認したりしてるっす」

「変態も覗き魔もてめえのことだよ!あとスカートの中に怪しいやつがいないかってどういうことだよ!」


 とんでもない変態だった。


「じゃあ話は終わりね?続きは警察で話すといいわ」


 二夕見がいい笑顔で言ってスマホを取り出そうとする。しかももうあいつの顔は見たくないみたいで俺に向かって笑顔を向けて言ってきた。


「全然終わってないっすよ!ちゃんと停学になったんで勘弁してください」

「てかお前モテるモテないか以前の問題だろ。男にはかんちょうして女に痴漢とかいじめられてるんじゃねえの?」

「そんなことあるわけないじゃないっすか兄貴。むしろ最近は女の子の方からスキンシップしてきますよ」


 しれっと兄貴呼びしてくる。


「そんなわけあるか。何だよスキンシップって」

「歩いてたら俺の足に足を絡ませてきたり、転んだ俺に唾を吐きかけてくれたりします」


 土井が得意そうにへへっと鼻の下をこする。


「それ足ひっかけていじめてんだよバカが!」

「え?違いますよ。だって転んだらパンツ見放題だし、しかもその後みんなでキャーキャー叫びながら俺のこと罵って蹴ってくれるんすよ。あ、やべ。思い出したら興奮してきた」

「お前ヤバすぎんだろ。害悪すぎるだろ。どんだけしぶといんだよ。お前の優勝だよ。二夕見が無言で窓全開にしに行ったよ。あの二夕見が何も言わんとは。お前とはもう口も利きたくないらしいな」


 意に介さず土井は続ける。


「それにあいつら照れ屋だから昨日からみんな離れて俺のことチラチラ見てるんすよね」

「いやもうキモすぎていじめすらされなくなってんじゃん」


 超大型ルーキーだよこいつ。億越えルーキーも裸足で逃げ出すよ。


「どうやったらモテるようになるんすか?先輩教えてくださいよ!」

「いや無理だろ。ていうかどうやったらそんな平気な顔でいられるのか逆に教えて欲しいくらいだよ」

「先輩モテそうじゃないですかー」


 なんだこいつクズだけど男を見る目はあるらしいな。


「一ノ瀬はモテないわよ。ね?」

「何でお前が答えたの?しかもそのドヤ顔腹立つからやめてくんない?」





「ガラガラ」


 ここで蓮が入って来た。長い戦いから凱旋してきたようだ。英雄の帰還だ!


「うっす。あれ?もしかして相談者?」

「あれ。まだ男がいるんすか。ここは一発かましてやりますか」


 土井が椅子から立ち上がる。


「あ、やべ、おいやめろお前!」


 しかし俺の声も空しく、言い終わる前に土井はすばやく蓮の後ろに回り込むと、かんちょうをお見舞いした。




「こんにち破!」



 しかし。



「ぎゃああああああ!いだああ!指があああああ!」


 ダメージを負ったのは土井の方だった。


「ん?なんや?お前」

「いきなり失礼なやつやな。けど残念やったな。俺のけつは毎日の鍛錬によって鋼より硬いんや。出直してこい」


 蓮がお尻の筋肉をピクピク動かす。


「あーあ。だからやめろって言ったのによ。蓮のけつは俺よりも硬いんだよ。固い便に、毎日いきり続けた結果発達したそのけつ筋の硬度は鋼のごとし。小学生の頃、かんちょうが流行った時についたあだ名は『鋼の便秘術師』だ。突き指ですんでよかったじゃねえか」


 小学校ではこいつのせいで怪我人が続出しかんちょー禁止令が施行された。普通かんちょうされた方が怪我して問題になるんだがな。


「硬すぎるでしょ!この俺のかんちょうが今日だけで二回も止められるとは…。あんたたち一体何者すか!」

「バカたれが。俺たちをそこら辺の軟弱どもと一緒にするんやない。俺たちは普通の人間が遊び歩いている時もトイレで修行して幾千の修羅場をくぐりぬけてきたんや」

「兄貴と呼ばせてください!一ノ瀬の兄貴と蓮の兄貴!まさか一ノ瀬の兄貴よりケツの硬い人間がいたなんて!尊敬します!」


 蓮を畏敬の念を抱いて見ている。


「その前にてめえ二度とかんちょうしないと誓え。ええか。世の中にはな、けつに重い病気抱えてる俺のような人間がいるんや。俺みたいにけつ筋が発達しているやつはいいものの、そうじゃないやつは泡拭いて倒れるわボケ!痔なめんな⁉」


 お尻の繊細さを誰よりも理解している蓮の言葉は重い。


「す、すいません兄貴!二度としません!」




 女子二人の方を見ると、蓮浦と二夕見がひそひそ話していた。


「どうやったら人ってバレずに殺せるの?」

「最近読んだ小説やと埋めるのが一番バレないらしい」

「でも三人は大変じゃない?」

「でもこいつらはキショすぎるし絶対殺っといた方が世の中のためやし」

「女の子の力じゃ殺すの難しくない?」

「大丈夫や。毒殺しよ。簡単や。アホしかおらんから女の子の手作りクッキーに混ぜれば一発や」

「確かに!りん頭いい!」


 二夕見と蓮浦は俺たちがキモすぎて俺たちをバレずに殺す完全犯罪の相談を始めていた。




「いやあー。ところで先輩たちモテるんすよね?だったら俺にも教えてくださいよ」

「こんなバカどもがモテるわけないでしょ。あんたも含めてね。どうしてもモテたかったらこの窓から飛び降りて異世界転生してハーレムでも作ってなさい」


 二夕見が吐き捨てるように言う。俺に向かって。だから俺に言うんじゃねえよ。


「それ今世は無理だから生まれ変わってやり直せって言ってんじゃねえか」

「こんなやつこの世界に置いておくには危険だわ」

「そんなああああ童貞のまま死にたくないー!女の子とエッチなことしたいよー!」

「いっそ清々しいな」


 蓮もこいつの痛々しさに驚きを隠せないようだ。二夕見に至ってはマスクまで着用し始めた。だが俺の時と比べるとものすごく我慢している方だろう。てか明らかに俺の時だけ当たり強すぎだったんじゃねえのこいつ。





「ん?そういえばお前一年だったよな?じゃあ天ヶ崎ゆいなって知ってるか?」


 ここで隣に越してきた女が頭に浮かんだ。


「あ、知ってますよ。同じクラスっす。可愛いから入学式の時に声かけたら『ゲロぶっかけるぞ』って威嚇されましたよ」

「やっぱあいつただものじゃねえな。てかあいつがモテるって勘違いしてるのお前のせいじゃねえかよ」

「君のゲロだったら啜ってもいいよって言ったら無言で顔面全力で殴られました」

「お前すげえなあ。あの天ヶ崎が言い負けるとは。流石の天ヶ崎もゲロ啜ってくるやつは嫌みたいだな」


 おいおい。天ヶ崎が負けるってこいつどんだけだよ。今年の一年生は一体どうなってるんだ?てかそんなセリフヤンキー漫画でしか見たことねえな。


「知り合いなんすか?」

「隣の部屋に引っ越してきたんだ」

「ええ⁉ゆいなちゃんの隣の部屋に住んでるんすか⁉代わって下さいよ」


 羨ましそうな顔で見てくる。


「代われるもんなら代わってやりてえよ」


 こいつ天ヶ崎のヤバさを知ってもなお狙えるのなんなの?




「まあその話は置いといてこのボケがモテるのは無理やろ。こんなん好きになる女はおらんわ」


 ずっと黙っていた蓮浦がさっき殴った手をさすりながら化け物を見るかのような目で土井を見て言う。


「そんな酷いこと言わないで下さいっすよ。お二人のどちらかどうすか?なんならこっちは両方を受け止める用意ができてるっすよ」

「一ノ瀬。あんたの舎弟ってことは、あんたは私の舎弟だからそれは私の奴隷ってことでいいわよね」


 二夕見が華麗に無視する。


「いいわけあるか。誰がお前の舎弟だよ。いつそんなのになったよ」

「じゃあ舎弟の責任はあんたが取りなさいよ。不快だから今すぐ黙らせるかこの場から消し去って」


 俺に責任を押し付けてくる。


「おい土井。あまり女子を刺激するな。殺られるぞ。俺が」





「あれ?ていうかお前天ヶ崎と同じクラスって言ってたよな?」


 ここで俺はあることに思い当たる。


「そうっすよ」

「で、ぼっちと」

「まあ女子とはみんな仲良しですけど」



 無視無視。






「黒森が言ってたボッチ四天王の最後の一人ってこいつじゃね?」




「「「あ」」」




 三人ともこの前のことを思い出したようだ。



「確かにな。勝手にロリの女の子かと思ってたけど絶対こいつやわ」

「最後の最後でとんでもないのが来たわね」

「この地球の癌は転移する前に除去するってことで総意でええよな?」


 蓮浦は相当土井が苦手らしい。苦手と言うか危険視してるというか。


「それはともかくこいつの悩みはどう考えても叶わんし、叶える必要も感じられないし、相手にも申し訳ないし、こんなん友達もできんで当たり前だし、なんならこいつには必要なさそうだし。そのまま帰すか?」

「でもこんなやつ放置しといたら何し出すか分かったもんじゃないわよ。やっぱり殺しとく?」


 今日の夕ご飯何?くらい軽いノリで殺害が提案された。


「せやな。じゃあついでに二人追加で三人とも殺すってことでええな?」

「そうね。じゃあ可決で」

「「いいわけあるかあ!」」


 さらっと俺たちの死刑判決も下された。


「なんで俺たちまで死ななあかんねん!」

「あんたらは将来何らかの犯罪を犯すことは分かり切ってるからその前に殺っといた方がこの社会のためなんや。分かってや」


 蓮浦がパッションで死を受け入れるよう訴えかけてくる。サイコパス?


「分かるかあ!殺す相手に情で訴えかけんな!」

「そうや!憎まれっ子世に憚るかもしれんやろが!てかこんなやつと一緒にすんなや!」


 流石の俺たちもこいつと同じにされるのは納得がいかない。


「何言ってんねん。あんたらに懐いてるのがいい証拠やんか。類は友を呼ぶねん」

「よし土井。あの女にかんちょうしてええぞ」


 蓮がゴーサインを出す。


「兄貴。俺は女の子にはかんちょうしないって決めてるんす。代わりにセクハラでいいすか?」

「いいわけあるかボケ!」


 蓮浦がキレる。


「そんなことより死んだらほんとに異世界でハーレム作れるんすよね⁉それなら別にいいっすけど!」

「おい化け物おるって」


 思わず蓮がこぼす。



「何ならチートスキルも付いてきて無双できるわよ」


 二夕見は心配するどころか促す。


「おいほんとに死にうるからやめとけ」

「とにかく俺はモテたいんすよ!誰か女の子紹介してくださいよ!」


 こいつほんとぶれねえのな。


「お前ら誰か女の子紹介できねえのか?」

「冗談言わないでよ。こんなのに友達紹介できるわけないでしょ」

「まあそりゃあそうだよな」


 そういえば以前は蓮浦が「しおは本当に嫌いなやつは無視する」なんて言っていたが本当だったようだ。さっきからほとんど顔も見ないし、話しかける時もなぜか俺に向かって言ってくるし、悪口もほとんど言わない。じゃあ俺には言うからそれは好意からなのかと言われたらそんな馬鹿なと思うが。




「もう諦めて帰ったらどうだ?」

「俺を見捨てたらトラックに轢かれにいって異世界に転生しようとしますよいいんすか。遺書には先輩たちの名前を書いておきますからね」


 小癪なことを。


「じゃあ解決ね。これで世界の平和は守られたわ」

「せやな。あー、いい仕事した」


 女子二人がすっきりした顔で話を終わらせに入る。


「嘘っしょ?」


 土井が絶句している。だって早く死ねって言われたようなもんだしな。


「おいおい流石にそれはまずいやろ」

「そうだな」

「兄貴たちィ!」


 土井が顔をパアッとさせこちらを見てくる。


「俺たちに迷惑がかかるぞ」

「まったくだ」

「兄貴たち…」


 首をがくんとさせる。


「まあ俺は言い出しっぺは二夕見ですって言うけどな」

「はあ⁉仲間を売るわけ⁉」


 信じられないといった顔でこちらを見てくる。


「さっきまで俺のこと殺そうとしてたやつが何言ってんだ」

「じゃあ何よ!どうすればいいわけ」



「しょうがない。やつらを呼ぼう」


 俺は苦肉の策を使うことにした。


「何⁉あいつらを呼ぶのか⁉」

「誰よ。あんた女の子の友達なんていたわけ?てかこんなの紹介するとか最低ね」


 二夕見は分からないようだが蓮にはしっかり伝わったようだ。流石だな。俺はやつに電話をかけると部室に来るように頼んだ。


「誰なん?あんたも知ってるん?蓮太郎」

「フリーザのやつギニュー特戦隊を呼びやがった!」

「はあ?一体誰呼んだん?そんなヤバい人なん?」

「まあ確かにヤバさで言ったらギニュー特戦隊クラスだな」


 二夕見もはっとする。


「あ。私分かったかも。たしかにあの子たちは…」

「でもあの子たちでもこんなの紹介するのはどうなのよ」


 二夕見が責めるように俺にジト目を向けてくる。


「仕方ないだろ。こいつほんとに異世界に行こうとしそうだし。こっちも最終兵器を投入するしかあるまい」




 



 俺はスマホを取り出すとまた電話をかけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ