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一ノ瀬英一のおバカ譚  作者: 八野はち
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プロローグ

 これは、心優しい穏やかできれい好きな青年が、たくさんの出会いを通して成長していく、冒険譚。


 綺麗好きな青年は、今日も綺麗にトイレを磨く。そんな彼の優しさに触れ、出会う悪人はみな改心していく。彼は、トイレだけでなく人の心も洗い流す。


 大食漢ヒステリック狂犬女二夕見しおも


 極悪犯罪者窃盗犯白銀ゆきも


 凶悪ガングロメイクの子供泣かせ詐欺師女月野さくらも


彼の心に触れ、悔い改め、懺悔する。




 彼は今日も世界を想い涙を流す。さあ。今日も自分との戦いだ。そう言ってまた地獄への扉へ手をかける。


その青年の名前は……


一ノ瀬英一。


今、一ノ瀬英一の冒険譚が始まる。







「ってちょっと待ったあああああああ!」


突然女の叫び声が響き渡る。繊細な青年の心臓が跳ね上がる。


「まずその気持ち悪いモノローグやめなさいよ!誰よそいつ!そんな繊細で穏やかなやつがあんたなわけないでしょうが!」


「やれやれうるさいやつだ。今いいとこだっただろうが。いいか二夕見?最近のラノベは大体このくらい盛ってるからこれくらいでいいんだよ」


「じゃあなんであんただけこんないい風に書いてるのよ!私なんか大食感ヒステリック狂犬女よ!誰がヒステリック狂犬女だ!」


二夕見がキレ気味にツッコむ。


「大食感は否定しないんだな」


「ま、まあちょっとだけ人より食べるところはあるし。ちょっとだけだけど」


「お前が一番盛ってんじゃねえか。どこが少しだよ」


「うるさいわね!あんただって、なにが心優しい青年の冒険譚よ!ひねくれものの自由人が勝手気ままにふらふらして、トイレに籠ってんこするか、んこ踏んで靴洗ってるかだけの話でしょうが!」


 またいつもみたいにけちをつけ始める。


「んこってなんだんこって。うんこだろうが。だからちゃんと自分との戦いとか、地獄への扉とか書いてるだろうが」


「まぎらわしいのよ!何をただトイレで腹痛と戦うだけのことを、巨大な運命と戦う悲しい業を背負った主人公みたいに書いてんのよ!」


「うるせえなあ。あのなあ、トイレは戦いなんだよ。甘い気持ちで挑んだら死ぬんだよ。こちとら命懸かってんだよ。トイレ舐めんな?」

 

「あんたどんどん正体ばれてるわよ。ただのノンデリトレハラ(トイレハラスメント)男だって」


 ったく邪魔しやがって。


「お前がぎゃーぎゃー喚くからだろうが。だいたい俺に盛りすぎだのなんだの言ってるが、逆にお前はもう少し胸を盛った方が―――」


「は?」


「なんでもないです」


 あっぶねえついぽろっと出てしまった。


「・・・・・・」

 

急に二夕見の気配が消えた。


「まあ長年の感から察するに、恐らくバナナでも食べにいったんだろう」


「ねえりーん。バット見なかった?木製バット?あー、金属バットがいいかもー」


 違った。俺を殴るための凶器を取りに行ってました。




「ねえ僕の出番はまだなの?」


俺がどう逃げようか考えていると、今度はうるさい泥棒が横から顔を覗かせる。


「ああ、お前がインペルダウンの無限下痢地獄に捕まる話はもう少し先だ」


「そんな話ないよね⁉僕まだ捕まってないんだけど⁉ていうか何その地獄!?またうんこなの⁉」


「ああ間違えた。それは俺の日常だった」


「突然暗い話するのやめてもらっていいかな!誰もそんな話求めてないから!」


「分かった分かった。お前は最終回で突然手を叩きながら暗幕から出てくるからそれまで待ってろ」


「それ悪役だし遅すぎるよね⁉最初の方もそうだけど僕だけ凶悪犯みたいにするのやめてくれないかな⁉」

  

白銀が最初の極悪窃盗犯扱いに苦言を呈する。


「冗談だよ。お前は15話からだから待ってろ」


「まったくもう。絶対だからね」

 

 そう言って引っ込んでいった。





じゃあ、というわけで、気を取り直して、もう一回さっきの続きから作品紹介を―――


「いやもう無理だろ!バカかてめえは!完全にバレたよ!もうその路線は無理だよ!」

 

来ないかと思ったらしっかり最後に来たよ。


「なんだお前は。有名人のくせにそれでも足りずに目立ちにくるとはまったくこれだから最近の若いやつらは承認欲求つよつよモンスターだって言われるんだよ。あれだろ?俺の顔もインスタでイケメンいたとか言ってさらすんだろ?」


「てめえの自己評価はどうなってんだよ!鼻ほじりながら何言ってんだてめえは!てめえなんか町中に原始人見つけたくらいでしかあげねえよ!」


おい月野てめえばらしやがって。せっかくバレないのをいいことに鼻ほじってたのに。


「はいはい。どうせさっきからほんとはいつ出るかが気になってるんだろ。分かってるよ。お前は宿屋の受付のお姉さんの彼氏のいとこの友達として出てくるから待ってろ。12話だな」


「それモブ以下じゃねえか!しかもてめえはいつまで最初の嘘の設定を引きずってんだよ!もういいんだよそれは!無理だっつってんだろうが!諦めて早くトイレに戻れよ!」


月野が俺の冒険譚にけちをつける。


「大体てめえなんであたいだけあんなに悪口書かれてんだよ。

凶悪 ガングロメイク 子供泣かせ 詐欺師。

あたいだけ四つも書いてんじゃねえか!人の顔面を化け物みたいに言いやがって!」


「いやすっぴんはいいよ?いいっていうか最早大人気だけど、問題は化粧だよね。実際お前の顔は教育に悪い。あれ?今日は人前なのにいつもの化け物メイクしてねえな。あれ?もしかして可愛く見られたくて気合い入れてきた?ごめんなこれ顔映らないんだわ」


「べ、べ、別にそんなんじゃねえ!女の子は人前に出る時はおしゃれするのは当たり前なんだよ!いちいち余計な事ばらしやがって!言わなくていいんだよ」


「おい月野突然鼻をほじりだすのはよせ」


「てめえ何も映ってねえからって適当な事言い出すんじゃねえぶっ殺すぞ!鼻ほじってんのはてめえだろうが!」


「おいお前らいい加減にしろよ?さっきから俺がトイレするかうんこ踏むか鼻ほじるかしか能がないみたいに言いやがって」





「「「そうでしょ」」」


 


……三人でハモって言うんじゃねえよ。





「そんなことより一ノ瀬。ちょっと面貸しなさいよ」


「やっべ、急にお腹が痛くなってきたわ。これ今すぐトイレ行かないとやばいkぎゃあああああああああああああああああ」






「というわけで、主人公は死んだので、安心してください。ここからは私が主人公の女子高生の放課後グルメほのぼの日常ストーリーが始まります!絶対読んでね♡」



 


というわけで始まります一ノ瀬英一のおバカ譚。


どこから読んでも楽しめるようになってます。6話くらいから面白いので頑張って読んでいただけると嬉しいです。

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