生者を喰らう人形（裏）
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ある町に昔ながらの風情漂うおもちゃ屋があった。そのおもちゃ屋は、古びた看板と陳列された懐かしい玩具で知られ、地元の子どもたちや観光客に親しまれていた。しかし、そのおもちゃ屋にはある噂があった。
ある日、そのおもちゃ屋を訪れた子どもが、一つのおもちゃに目を奪われた。それは、古びた箱に入った不気味な人形だった。子どもはその人形が気になり、おもちゃ屋の店主に値段を尋ねた。店主は微笑みながらこう語った。
「それは特別な人形だよ。この町で有名な呪いの人形なんだ」
子どもは興味津々な様子でその人形を手に取り、お金を払って店を出た。帰宅後、子どもはその人形を丁寧に飾り、眠りについた。ところが、夜中に目を覚ますと、人形が自分のベッドに向かって歩いてくるのを見てしまった。子どもは恐怖に打ち震え、悲鳴をあげたが、その反応を面白がるように人形は微笑みながら近づいてきたのだった。
その後もそのおもちゃ屋では類似の事件が続発した。子どもたちが購入したおもちゃが自ら動き出し、子どもたちが恐ろしい体験をするという報告が相次いだ。町の人々はそのおもちゃ屋を避けるようになり、子どもたちはそのおもちゃ屋の存在を忘れようとした。
しかし、ある日、そのおもちゃ屋が再び注目を集める出来事が起こった。
ある夜、町の住民がおもちゃ屋の周りで不気味な光や音を目撃し、さらにはおもちゃ屋から奇妙な声が聞こえるという噂が立った。地元の若者たちは興味を持ち、そのおもちゃ屋を訪れることにした。
若者たちはおもちゃ屋の中に入ると、古びたおもちゃや不気味な人形が並ぶ店内で、何かが彼らを見つめているような気配を感じた。そして、ひとつの棚に目が留まった。そこには、以前子どもたちが購入していたと思われるおもちゃが並んでいたが、その中に不気味な雰囲気を漂わせるものがあった。
そのおもちゃを手に取った若者の一人が、突然、おもちゃの中に手が引き込まれるような感覚を覚えた。そして、そのおもちゃから不気味な声が聞こえ、その場にいた仲間たちも次々と同じような体験をした。
若者たちは恐怖におののき、おもちゃ屋から逃げ出そうとしたが、店の扉が不可解な力で閉じられ、出口が塞がれてしまった。そして、おもちゃ屋の中で彼らは何かに取り憑かれたように振る舞い、奇妙な言葉を口にしたり、自分たちの意志とは異なる行動を取ったりした。
やがて、町の人々がその異変に気付き、救助隊が派遣された。救助隊がおもちゃ屋に到着すると、店の中は静まり返っており、若者たちが恐ろしく歪んだ表情のまま倒れているのが見つかった。彼らはすぐに病院に運ばれたが、その後も意識を取り戻すことはなかった。
その後、そのおもちゃ屋は封鎖され、町の人々はその存在を忌み嫌い、誰もその場所を訪れることはなかった。そして、そのおもちゃ屋の呪いの都市伝説は、町の人々の間で口伝えされ、長年に渡りに語り継がれることとなった。
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伊藤修平（仮名）は冥道めいの配信をヒントに幽幻ゆうなのマンションの在り処を突き止めた。そして玄関のオートロックを不正に突破した彼はロビーのフロントを素通りしてエレベーターに乗り込んだ。彼はセンサーにカードをかざさずに行き先ボタンを押して、扉を閉める。動き出したエレベーターが向かった先は、ちょうど冥道めいが訪れた玩具屋のある階だった。
興味が湧いた伊藤修平は店内を見て回り、年代を問わず並ぶ玩具に興奮気味になった。いくつかの見本をいじって楽しくなってきた彼は、そのまま店内の奥へと進んでいく。朝方にやっていた魔法少女アニメ歴代シリーズのおもちゃが並ぶ光景に感動すら覚え、箱を手にとって頬を緩ませる。
そのように夢中だったから気付かない。
彼の背後で魔法少女の人形達が宙に浮かびながら接近してくることに。
複数の魔法少女人形が彼の背中にまとわりついた時には既に遅かった。伊藤修平の身体から生命力が見る見るうちに吸い取られ、人形達の養分となっていった。絞り尽くされた伊藤修平は日干しした魚のようになり、床へと倒れた。
そんな伊藤修平の躯に魔法少女達は群がり、弄り回した。するとどうしたことか、伊藤修平の躯が動き出したではないか。しかし既に伊藤修平の面影はどこにもない。元伊藤修平の姿は展示されていた魔法少女人形そのものになっていたのだから。
魔法少女人形達は自分達でパッケージの袋と箱の中に入り、元の陳列棚へと戻っていく。そして再び待つことになる。新たな活きの良い獲物という客が来ることを。
