向こう側との境界な踏切(裏)
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ある田舎町に、古びた踏切があった。その踏切は、夜になると不気味な雰囲気を漂わせ、地元の人々の間でさまざまな怪談が囁かれていた。
ある日、その踏切を通る列車が事故を起こし、数人の乗客が亡くなった。事故後、通りかかる者たちは、踏切から電車の音や悲鳴が聞こえると主張し、誰もがその場所を避けるようになった。
地元の学校に通う堂本和也(仮名)が友人たちとその踏切について話した。彼らは友人の一人が勇気を振り絞って踏切を通過出来るかどうかを賭けることになった。
彼らが決心した夜、月が高く輝く夜道を踏切に向かって歩いていった。その踏切では強い風が吹き、木々がざわめいていた。
賭けの対象となった後藤大吾(仮名)は、怯えながらも踏切に向かって歩いていった。彼が線路を越えようとすると、突然、悲鳴が聞こえ、彼の姿が消えてしまった。
堂本和也たちは絶句し、恐れおののいた。しかしいくら踏切やその周囲を探し回っても後藤大吾の姿を見つけることは出来なかった。自分達を驚かせるために先に帰ったのだろう、と自分を安心させて堂本和也達は帰った。後藤大吾の親から彼が帰ってこないと連絡があったことを家で家族から告げられ、堂本和也は恐怖と絶望に支配された。
その後、後藤大吾の姿を見た者はいなかった。彼は踏切の向こう側へと消えてしまったのだ。
その日から、その踏切は人々から避けられるようになった。しかし、その怪奇現象は止まらず、通りかかる者たちは度々不可解な出来事に遭遇した。
夜になると、踏切の周囲で幽霊のような姿が目撃され、悲鳴や電車の音が聞こえたという話が広まった。
町の住民たちは、その踏切に呪いがかかっているのではないかと噂した。そして、町の役人たちはその踏切を封鎖し、立ち入りを禁止することを決定した。しかし、それでもなお、その踏切にまつわる怪奇現象は絶えることがなかった。
数年後、その町は廃れていき、人々は遠くへと去っていった。町が廃れるにつれ、その踏切も荒廃し、ついには存在すら忘れ去られてしまった。
しかし、その踏切の都市伝説は、今でも地元の人々の間で語り継がれている。そして、時折、その踏切が再び現れ、消えた後藤大吾の幽霊が彷徨うという話が語られることがあるという。
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「列車が何かしたわけじゃなくて、踏切を横断しようとしたら消えてしまった、か。その踏切、というより鉄道路線が境界の役目を果たしてて、向こう側に行っちゃったのかな?」
たまたまその場所その時に別世界とのチャンネルが合ってしまったのか、それとも友人が選ばれて連れて行かれてしまったのか。それを後藤大吾(仮名)本人を名乗る本人は説明していない。
「でもさあ、たまに不安になるよね。境界を超えたら全く別の場所に行っていた、とかなるんじゃないか、てさ。扉とかもそうだし、何なら白線の外側に出ようとする時とか恐怖したこと無い?」
幽幻ゆうなの意見にリスナーからは様々な意見があがる。共感の声、あまり分からないとの感想。しかし幽幻ゆうなは別に賛同してほしいわけではなく、このように活発な議論が行われることが主目的のため、どちらが正しいとの結論は相変わらず出ないままだ。
「それじゃあ今日もこの辺でお別れね。徘徊者のみんなも向こう側に行っちゃわないよう気を付けてね。チャンネル登録と高評価よろしく。ばいび~♪」
だからか、幽幻ゆうなこそが向こう側の住人ではないか、との指摘もそれなりに話し合われたのだった。




