転生!
ちょっと気分転換に新しいのを始めてみました。
恐らく2部構成になるかと思います。
もし、好評だったら長期連載するかもです。
ここはどこだ?
そこには、見たことのない空間が広がっていた。
美しい湖。どこまでも広がる雄大な空。丁度いい風。
ああ、そうだ。俺は死んだんだ。
順風満帆な生活だったが、その終わりはとても儚いものだった。
俺は現在32歳。いや、死んだから、享年32といったところか。
名前は、南大輔。至って普通の名。
俺はどこにでもある普通の家に生まれた。決して裕福だったわけではないが、幸せだった。
俺は一人っ子だったせいか、両親にとても可愛がられながら成長した。
その頃、俺は親の期待に答えようと必死に勉強し、学校でも成績上位だった。
そんなある日、小学校の先生から中学受験をしないか、と言われた。
正直なところ、どっちでも良かった。恐らく受けたら確実に受かるだろう。
そう思っていた。そして、その事を両親に言うと快く応援してくれた。
毎日必死に勉強し、塾内テストでも常にTOP10に入るほどまで上り詰めた。
周りからは、神童だの天才だの言われ、結構気持ちが良かった。
しかし、それは長続きしなかった。
突如、体調を崩し入院。診断は、白血病だった。
しかも、かなり病気が進行してしまっており余命宣告までうけた。
もしかしたら、その時俺は死んでいたかもしれない。
最初の方は、徐々に病状は良くなっていった。
最初の余命宣告の期間、5ヶ月を乗り切り発病から2年経過した。
そして、無事に退院。
しかし、受験はとっくに終わり、同級生は中学1年生となっていた。
その時は本当に打ちのめされ、ある時期は自殺をしようとまでした。
しかし、諦めきれなかった。
世の中には僕と同じように苦しい思いをした人がたくさんいる。
そう思うと自ら命を絶つことなどできなかった。
僕は福祉について勉強すると心に誓った。
それからというもの、毎日参考書やインターネットで情報収集をする毎日。
たまに、夢中になりすぎて何回も日を跨いだ。
何度も、壁にぶつかったが挫けずに毎日頑張った。
そして、高校には専門学校に進学した。
そこは日本では珍しく、高校の段階から医学について深く学ぶ学校だった。
高校では青春を楽しむなど、時間を浪費するようなことは一切せず勉学に励む。
勉強勉強勉強勉強に毎日。
そして無事、医者の国家試験に合格する。
そこから先は、病院を起業し必死に仕事をこなす毎日。
休み時間の合間に、経営学などを学ぶ。
そして30歳を過ぎた頃。俺は病院の助手と結婚する。
出会いは、本当に偶然だった。
しかし、幸せはそう長くは続かなかった。
俺達夫婦は、双子を授かった。
子供を授かったと聞いたときは、二人で思いっきり飛び跳ねた。
それだけ嬉しかった。
出産予定日まであと一週間だという時、事件は起こる。
その日はいつものように病院で仕事をしていた。
突如、トラックが病院に突っ込んでくる。
俺は咄嗟に身を守ろうとしたが、一直線に迫ってくるトラック。
刹那。俺はトラックに押しつぶされ即死。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして、俺は死んだのだがここは一体どこなんだ…?
とりあえず、あたりを見渡すために高い場所に登ってみよう。
そう思い、近くにある小さな丘に登る。
見た目の割に、登ってみると結構急な傾斜で登るのがキツい。
多少苦戦したものの、なんとか登り切る。あたりを見回すとどうやらここは島らしい。
それも、空中に浮いている。
その時、何やら遠くに光っているものが見えた。
急いでその方向に目を向ける。そこには何やら大きな建物があった。
俺はとりあえずそこに向かうことにする。
どれくらい歩いたのだろう。恐らく、2時間は歩き続けている。
そして、視界にあの建物が入ってくる。
その時、なにやら声がした。
それは、死ぬまでに聞いた事のないくらい美しい声だった。
俺は思わずその声の元へと走り出していた。
どうやら建物の中から声が聞こえている。
その声は、段々と大きくなってくる。近づいている証拠だ。
入ってみて分かったが、この建物はかなり入り組んでいる。
足早に、建物内を移動し始め10分。
角を曲がり見える重厚な扉。
色は黒く、いかにもラスボスの部屋って感じの雰囲気。
この先に声の持ち主がいるのだろう。
僕は覚悟を決め、その扉を開ける。
軽く力を入れたくらいではびくともしないので、思いっきり力を込める。
すると、大きな音と共に大きな金属の板は動き始める。
扉が空いた先には美しい女性が椅子に座っていた。
美の象徴である女神とも言える姿。
髪は銀髪。目は紫紺。体は細いのに、前面の凹凸が激しい。
正しく、モデル体型とも言える体つき。
そして、その女性は俺に語りかける。
「私は、人々の死後の処置を担当する女神ヘレーネ。貴方は南大輔で間違いありませんか?」
なぜ俺の名を?と思ったが、それよりも先に口が動く。
「はい。俺は南大輔です。ここは一体どこなんですか?」
「全て教えましょう。貴方は先程、トラックに押しつぶされて死にました。」
やっぱり。俺はトラックに潰され死んだ。
今になって涙がこみ上げてくる。
最愛の人ともう会えない。
そう思うと、こらえようとしても出てきてしまう。
俺が泣いている時にも、女神様は優しく声をかけてくれる。
「安心してください。貴方の奥さんは無事です。怪我一つしていません。」
「ほ、本当ですか?」
「はい。本当です。」
その言葉が聞けて少しホッとした。
彼女が無事なら、お腹の子も無事だろう。
そう思うと、今度は嬉しくて涙が出る。
「先程、貴方は不幸にも死んでしまいました。それで、私から提案があります。」
「何なんですか?その提案っていうのは。」
俺が荘きくと、先程の真剣な顔とは正反対な笑顔で話し始める。
「貴方が希望するならば、また同じ世界に生まれ変わらせてあげましょう。その場合、今までの記憶は全て消えてしまいます。もし、今の記憶を引き継ぎたいのであれば、異世界に転生して差し上げましょう。」
記憶がなくなる…。
今までの辛い記憶。楽しい記憶。嬉しい記憶。悲しい記憶。
それが全てなくなる。
そんなのは嫌だ。
それに比べて、魅力的なのは後者の方だ。
今までの経験値を引き継ぎ、異世界に転生する。
俺は後者を選択するしか道理はないと考え、応える。
「俺は、異世界に転生したい!」
「分かりました。では、そちらの方向で準備を始めましょう。」
そして、色々な説明が始まった。
俺が今から行く世界の概要。
それを聞く限り、その世界には魔法が存在する。
そして、凶悪な魔獣も。
それに加え、オレインはある能力を授けてくれるそうだ。
それまた、その能力もチートだったが詳しくは転生してからのお楽しみだそう。
「それでは、転生の準備が整いました。覚悟はよろしいでしょうか?」
俺は、異世界に転生する。
そう決めた。
今から怖気づくわけない。
そして、最後に覚悟を決めて言う。
「「お願いします!」
そう言った途端、俺の体に光の粒が纏わり付く。
周囲には光の柱が発生し、それを蔦って体が宙に浮く。
段々と高度が上がって来たときに女神が叫ぶ。
「女神セレーネの名において、南大輔に幸あらんこと。」
言い終わると、俺は次第に意識がなくなってゆく。
そして、完全に意識がなくなった時俺は異世界へと転送された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「オギャーオギャー。」
どれくらい時間が立ったのかは分からない。
赤ん坊の鳴き声で俺は目が覚める。
すぐ近くから聞こえる鳴き声。
そうか、俺は転生したのだ。
この状況から見て、おそらく双子だ。
周りを見る感じ、割と裕福な家庭だな。
壁にはきれいな絵画。天井には大きなシャンデリア。
「おお、マゼンタ。出来したぞ。元気な男の子だ!」
「はぁ、はぁ、よかった。」
喜んでいるのは父親だろうか。
僕を抱き上げて満面の笑みを浮かべている。
余程男の子が生まれて嬉しいのだろう。
そして、ベッドに横たわり苦しそうにしているのはおそらく母。
子供(32歳)の俺が言うが、嫁にもらえた父親は羨ましい。
「エル、良かったな。弟と妹ができたぞ!お前もついにお姉さんだな。」
父親の目線にあるのは、10歳くらいの少女だ。
父親に似て、きれいな白髪に赤い目をしている。
その後俺には、ライデンという名が付けられた。
これから、俺の異世界ライフが始めるのだが…。
その前に俺が生まれた家について少し説明しておこう。
アルフグリッド家。
代々この地の領主をしてきた貴族。
アルフグリッドの血筋の者は、皆白髪に真紅の目。
そして、突出して何かの才能に恵まれている。
それが俺が生まれてきた家、アルフグリッド家だ。
俺こと、ライデン=アルフグリッドの家族についても紹介しておく。
父、ロナルド=アルフグリッドは32歳にしてこの地の領主。
彼は、幼い頃から色々なことに秀でており若くしてこの地を治めることになった。
母のマゼンタ=アルフグリッド。
彼女は隣国の大貴族の令嬢だ。母親は黒髪で目も黒。
父は母の美しさに惹かれ何回も婚約を申し出たそう。
けれど何回も断られたもののしつこく何度も追撃した。
そして、マゼンタが折れたのかついにオーケーをもらえたそう。
結婚については、彼女の親は猛反対したそうだが父の親が押し切ったそう。
まあなんとも幸せそうな家庭に生まれてこれて良かった。
それより、女神様にもらった能力についてだ。
俺は想定していたよりもスゴイ能力を手に入れていた。
この世界には能力という概念がある。
下位能力。中位能力。上位能力。特殊能力。究極能力。
左から順に能力のレア度が上昇。
下位能力が一番下となるが、持っていない者は山程いる。
究極能力まで行くと、1億人に1人いるかどうか。
そして僕の能力、特殊能力:森羅万象&創造者。
これは特殊能力の中でもかなり上位なもの。
創造者に至っては究極能力並のちからがあるらしい。
この能力については使っていきながら随時確かめていこう。
そう脳内で、喋りながらお腹がなった。
そしたら、「あらあら。」という顔でとある女性が服を脱ぎ始める。
ちょちょちょ!何脱ぎだしてんだよ。
と思ったが、どうやらおっぱいを飲ませてくれるらしい。
32歳にもなっておっぱいを飲む日が来るなんて…。
鑑賞に浸っているまもなく、俺は久しぶりのおっぱいを堪能する。
ほのかに甘く、赤ちゃんボディには嬉しい。
そして、少し飲んだら眠気がくる。
やはり赤ちゃんの体だからか…。
必死に寝ないよう堪えるも、結局睡魔には勝てず眠りにつく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからというもの、おっぱい、睡眠、おっぱい、睡眠の連続。
そして、あることに気づく。
俺はもう、歩けるし喋れる。言葉だって理解できる。
だけど、いきなり喋りだしたらどうだろう。
生後1ヶ月もいかない子供が急に喋りだす。
周りからすれば、恐怖だの、凄いだの言われるに違いない。
それは是非とも避けたいので、妹のセシリーが喋り始めたら喋ろう。
そんな感じに時が来るまでのんびり過ごしていこうと考えていた。
しかし、思いもよらないことでその夢の儚く散るのだった。
生後4ヶ月。
ようやく、セシリーも寝返りを始めた。
しかし、俺はとっくの前に寝返りをしてしまっていたのだ。
寝返りは無意識下で行われる。なので、俺は制御しようとしてもできない。
あれは、生後1ヶ月半が経過した頃だった。
両親が俺が寝返り打ったのをたまたま見てしまったのだ。
そして、屋敷内では結構騒ぎになった。
でも、生後4ヶ月で寝返りを打ち始めたセシリーも十分早いんだけどね…。
問題なのはこの後だ。
いつものようにセシリーが寝返りを打った時。
ベビーベッドの壁を超え、床に落ちそうになったのだ。
その時俺は、咄嗟に「危ない!」と声を出し助けに行ってしまった。
案の定その光景は、お手伝いさんにバッチリ見られてしまい大変な事になった。
しかし、その後は思っていた結末とは全く違ったのだ。
早くから喋り始めた俺を怖がるかと思いきや、全く怖がらなかった。
それどころか、凄いだの、天才だの、神童だの、前世でも言われたことを言われた。
やはり、人に褒められるのは気持ちが良い。
味を占めてしまった俺は自分の能力を隠す気がなくなってしまう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月日が経つのは早いとつくづく感じる。
俺はいつの間にか5歳になっていた。
その頃になると、ようやく自分の特殊能力の使い方も分かってきた。
特殊能力:森羅万象は、この世界のあらゆる知識を知ることができた。
最初から全てが分かる訳ではなく自分の知りたい情報のみ知ることができる。
正直便利すぎる。
例えば、道端に生えている雑草の名前を教えてくれるのだが、それだけではない。
その雑草の有用な使い道なども教えてくれる。
物によっては、その効能がまだ出回ってないのだってある。
そして、数々の新薬を開発したことにより国家の薬学の中核を担うことになる。
でも俺はそんなめんどくさいことよりも己の強さを求めていった。
身体を強化する薬を作るだけではなく、自分自身を強化していった。
最初は騎士団から剣技を教わって。
次は魔法。次は飛行技術。次は…。
そして俺は、10歳にして国軍の総大将になってしまった。
それからというもの、毎日毎日己を強さだけを磨き続けた。
最終的に国内最強の剣士に与えられる国軍最高騎士栄誉賞を受賞する。
けれど、俺の周りの人間はそれを快くは思わない。
自分よりも幼い子供が長年軍に従事していた自分よりも強いという事実。
その事を認められない輩は少数ながら一定数いる。
そんな奴らが来ても俺は、臆する事なく随時撃退していた。
終いには、不届き者を撃退するのが日課になってしまった。
そのおかげで俺はさらなる高みへと登り積むのだった。
読んでいただきありがとうございます。
是非ブクマ登録忘れずに…!!
評価pt次第で長期連載すると思うので読みたいと思ったら是非よろしくおねがいします。
次回の投稿は一週間後くらいになるかと思います!
ついでに私のもう一個の小説を読んでいただけると幸いです。
それでは次回もお楽しみに〜!!