黄の恋色(1)
恋とは何……?
僕には分からない。
恋とは? 愛とは?
それはきっと、幻想でしかないと思う。
僕にそんな気持ちは芽生えない。
これから先、生まれることも無いと思う。
だって、幻想なのだから。
僕はリアルを見ているから。
僕の親友の祐太は、最近ある一人の女の子をよく見ている。
可愛いか、可愛くないか、そんなことはどうだっていい。
可愛かったら、なんだっていうの?
もし、世間一般から見て、とびっきり可愛い女の子がいても、僕にとっては何の関係も無い。
別に何も思いやしない。
こうやって、気を許せる友達同士で喋っているほうが好きだ。
祐太も楽しそうに昇と話している。僕もその話に、少しだけ口出しをさせてもらっている。
そういうのが気楽でいい。
今も、休み時間中の教室で、祐太たちと会話をしている。今も嫌な気持ちにはならないし、女と喋っているよりか楽だ。
あ、ほら、また祐太は女の子を見た。
一度、祐太に聞いたことがある。どうして、祐太はあの子を何度も見るの? って。
祐太は答えようとしなかった。
ただ、頬を真っ赤に染めて、見てねぇよと見え透いた嘘をつく。
嘘だ、見ていたくせに。
そう思ったとき、隣にいる昇が、照れ隠しだよ、と笑って教えてくれた。
それにも祐太は「だから、見てねぇつうの!」と誤魔化すのだ。
「どうして恋をするの?」
その質問に、誰も答えられやしない。
だって、もう分かってるでしょ。
幻想なんだから。