屋根裏のホワイトクリスマス
北の国に、おじいさんと孫娘が二人で暮らしていました。
二人はとても貧乏で、オンボロアパートの屋根裏を借りて住んでいました。
屋根裏はとても狭くて寒いけれど、二人はいつも幸せそうにニコニコしています。
孫娘の名前はシロッカ。
いつも鼻の頭を赤くしている、銀色の髪の美しい14歳の少女です。
屋根の下の部屋に住んでいる男の子はアッポという名前で、いつもシロッカたちを馬鹿にしていました。
「おい、おまえ。あんな汚いジジイと二人暮らししてていつも楽しそうだよな」
足で蹴るようにそう言われて、シロッカはただニコニコしました。
アッポはさらにいいます。
「昨日、夜にジジイとなんか話してたろ? うるさくて眠れなかったんだけどどうしてくれる?」
「あっ、ごめんなさい」
シロッカはぺこりと頭を下げました。
「お詫びに何が欲しい?」
「そうだな」
アッポは意地悪そうにいいました。
「おまえ汚いけど顔はいいから、美人になったら俺の嫁になれ」
「いいよ」
「ほ、ほんとか!?」
シロッカはただ微笑むと、さっと屋根裏へ上がっていきました。
暗い屋根裏に蝋燭の火を灯し、シロッカは自分の作ったケーキをおじいさんに食べさせています。
アッポの家族を怒らせないように、小声でニコニコいいました。
「気をつけて。チョコレートを喉に詰まらせないでね」
「ひょほほ」
白いおひげのおじいさんは喋ることができません。
おいしそうにケーキを頬張ります。
今日は12月23日。一年で一番体力をつけなければならない日だったので、二人はケーキを食べたのです。
その時、
パラ、パラ
屋根裏に白い雪が降ってきました。
「あっ。もう始まっちゃった」
そういうとシロッカは、橇を引いたトナカイになりました。
おじいさんは立ち上がると、サンタクロースに変身し、橇に乗りました。
「ひょっほほ、ひゃはは~」
おじいさんが楽しそうに声をあげます。
「行こう、みんなのところへ」
シロッカはそういうと、鈴の音を鳴らし空を飛びました。
積もった雪がキラキラと輝く朝になりました。
アッポが目を覚ますと、枕元にトナカイの人形が置いてあります。ニコニコ笑う赤鼻のトナカイでした。
「え……。なんだこんな物」
欲しくないプレゼントをゴミ箱に投げ捨てようとして、手が止まりました。
笑顔のトナカイが、なんだか寂しそうに見えたのです。
屋根裏がやけに静かでした。
上がってみると、食卓も燭台も、二人の姿もどこにもなく、白い雪が一面に積もっていました。