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序章
舞台は役者と観客がいれば成立する。
役者に力量があれば、台本も舞台装置、音響、照明もいらない。
しかし、役者の肉体1つで、観客に感動を与えられる人間は少ないだろう。
舞台は、役者ばかりに目がいく。
ストーリーを進行させるのは、役者だからだ。
僕は、舞台上の主役にはなれない。
かといって、群衆の中の一人を演じる事すら出来ない。
観客に感動を与えられる才能が僕にはないからだ。
しかし、煌びやかな舞台に僕は感動を与えられてしまった。
関わりたいと思ってしまった。
この感動を他者に与える事が出来る人間になりたいと思ってしまった。
役者の才能が無い、僕が、出来る事。
どのように役者に演技してもらうのか。
舞台装置はどんなものがいいのか。
照明はどのタイミングで役者に光を当てるのか。
壮大な音楽はどのタイミングでかけるのか。
舞台にストーリーを作り上げ、観客を魅了させるのは舞台の外側の人間の仕事だ。
それが、僕の憧れの職業。
演出家である。




