猫派、犬派
「猫。猫のほうが可愛いし、美しいよ」
「い〜ぬ。犬のほうが可愛いし、賢いっ」
お昼御飯を食べ終わったお昼休みの時間。
外はあいにくの雨で校庭で遊べない。
そのせいでいつも外に遊びにいく子達も教室にいるため、いつもより賑やかなお昼休み。
そんな教室の私の席に集まった朋香と真希が猫と犬どちらがいいかを言い争い始めた。
「犬のほうが一緒に遊べるし、ちゃんと家に帰ると玄関まで迎えに来てくれるもん」
「猫だって猫じゃらしとかで一緒に遊べるもん。」
「ぇー、あれ猫と遊んでるっていうより、猫で遊んでるとしか思えない」
「そんなことないもん。それに犬はワンワン吠えてうるさいし、たまにお客さんとか噛んだりするじゃん」
「それは飼い主の躾がなってないだけ、愛想のない猫よりマシだよ」
猫派の朋香、犬派の真希。
二人は猫の良いところ犬の悪いところ、犬の良いところ猫の悪いところを交互に言い争う。
あーだこうだ、こうだあーだ。
たまにこういうどうでもいい争いを二人は良くしている。
この前は餡子は漉し餡か粒餡かでで言い争っていた。
その前はしゃっくりかひゃっくりだったと思う。
「よし、じゃぁ多数決で勝負だっ!」
「望むところだっ!」
とこれまたいつものように多数決という流れに。
「優子は猫派だよね!?」
「もちろん犬だよな!?」
「私どっちも好きなんだけど…、どっちかに決めないとだめ?」
「もちろんだ」
「多数決とるんだから、両方に一票はだめだよ」
「うーん…。もう少し考えさせて」
「わかった。またあとで聞くからちゃんと決めといてね」
そういって二人は近くの席の人に猫派か犬派かを聞きに離れていった。
正直どっちもでいいんだけど…。
でも決めないとあの二人うるさいしなぁ。
猫と犬かぁ。
猫のほうが可愛いと思うけど、でも飼うとしたら犬のほうがいいかなぁ。
んー・・・。
どっちも好きだから決められない。
猫、犬、ネコ、イヌ…。
そういえば猫耳ってのは良く聞くけど、犬耳ってのはあまり見ないなぁ。
なんでだろう。
「どう?どっちか決めた?」
とそんな時に朋香と真希が戻ってきた。
「んー、まだぁ。でもさ、今ふと思ったんだけど、ネコミミってあるけどイヌミミってあまりないよね?」
さっき気になったことを二人に聞いてみた。
「いや、イヌミミもあるよ。だけどなんかネコミミのほう多いよね」
「ネコミミのほうが可愛いからイヌミミは人気ないんだよ。きっと」
「そんなことはないっ!イヌミミのほうが大人しそうなたれ耳とか、活発そうなぴんとたった耳とかいろいろあっていいっ!」
「そう言われるとイヌミミ見てみたいなぁ」
「なら私が書いてあげよう」
そういって真希は自分の席に戻りルーズリーフを一枚とシャーペンをもって戻ってくる。
「たれ耳はまだ目も開かない仔犬で〜、ぴんとたった耳は目が開いて少し経った元気いっぱいの仔犬〜」
ルーズリーフに描かれる二匹の仔犬。
「普通に仔犬か。人にイヌミミついたのを書いてくれるのかと思ってた」
「私人書くの苦手なの」
「なんかこれみたら、活発な小さい男の子にこっちのイヌミミつけさせたい」
そういって活発そうな目の開いた仔犬を指さす。
「そうだね。男の子にはネコミミよりこっちのイヌミミのほうが似合いそう」
猫派の朋香もそこには賛同する。
「でも、女の子にはネコミミだよっ!」
「女の子にはネコミミ。男の子にはイヌミミ。それいいかも」
「なるほど。確かに男の子にはこっちのイヌミミが似合うかも。でもたれ耳は女の子でしょ」
さて、最初の猫派、犬派からだいぶ論点がずれてきた。
「イヌミミ結構いいのに、なんであまり聞かないんだろ」
「だよねー。絶対ネコミミよりいいのに」
「悔しいけど、そのたれ耳は犬のほうがいい」
「絶対いイヌミミもたくさん普及させるべきだね」
「うんうん」
「それには賛成かな」
「私このイヌミミを男の子につけさせたい」
「ところで優子。結局猫派犬派どっちなの?」
「イヌミミを普及させたいってことで犬派。ていうかイヌミミ派!」