表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

デザートバイキング 『バレンタイン・チョコレート』

作者: 桜沢 純

 来る二月十四日。

 チョコレートは禁止だと言われても、学校はほんのりチョコ風味。

「エリは誰にあげるの?」

「もちろんハルにだよ」

「えへへー、さんきゅー」

 あたしとハルコは机の上で顔を合わせて、笑う。

 もう何年も続くチョコレート交換。男子にあげたこともあるけれど、本命の、いっちばんいいチョコはハルのもの。これはずっと変わらないと思う。

「ハルはー? 今年は誰かにあげるの?」

「うんー?」

 あれ?

 ハルがちょっとだけ、珍しい顔をした。

「もっちろん、厳選に厳選を重ねた逸品を、愛しのエリのためにー」

「やーん。ハル大好きー」

 うん。気のせい気のせい。あたしたちはぎゅーって抱き合って、じゃれあう。

「じゃ、帰りに交換して、どっかで食べよう!」

「ん。甘いものには甘いものっ! ドーナツ寄ろう。ドーナツ!」

 そんな風に毎年盛り上がるのが好き。

 そんな風に盛り上がれるハルが好き。

 あたしは、ハルが好きだー。



「おっそいなー」

 忘れ物を取りに戻ったハルを昇降口で待っている。下駄箱にチョコ入れたコとかいるのかな。

 そんなことを考えながら待っていたけれど、どうにも遅い。なにやってんだろ。あたしは教室まで様子を見に行くことにした。

「はーるー……っ!?」

 うわ。

 うわー。

 見ちゃった……ハルが、男の子にチョコ渡してるところ。

 大きな、ハートの形の、可愛いチョコレート。

 あたしは逃げた。昇降口のところまで走って逃げた。

 見ちゃいけないところ見ちゃった。

「……あれ?」

 見たくないもの、見ちゃった。そう思った。



「はい、エリ」

「ありがと。はい、ハル」

「ありがとー……なにこれ、ちょーかわいいっ!!」

 ハルからもらったのは、ジュエリーケースみたいな小箱に入った、いろんなチョコレートの詰め合わせ。

 あたしがあげたのは、三段に分かれる白い縦長のバッグみたいな、やっぱりジュエリーケース。中にはクッキーとか色々入ってる。一目ぼれして買ったやつ。

「では、はっぴーばれんたいーん……かんぱーい」

「かんぱーい」

 ドーナツの、ファーストフード店。ドリンクとドーナツで乾杯。

「ハルさー……今年は、チョコ、あたしだけー?」

「え? ……そーだよ?」

 ハルコ。にっこり、うそついた。

「そっかー……あたしも、ハルにだけー」

 だから、うその笑顔を返した。

「んー……おいしい。エリ、このチョコ美味しいよー」

「えへへー、ハルのチョコもおいしいよ」

 だけど。


「だけど……なんか、ちょっと、苦いね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ