冒険者になる2
これからは1.2日に1本投稿しようと思っています。よろしくお願いします
「…行くか」
昨日はあんな騒ぎになってしまったし、変な奴に目をつけられてないと良いけど…。
ギルドに入ると一斉にこちらを見てザワザワとしている。視線が痛い…
「コレお願いします」
「あ、ええ。不備がないか調べるからちょっと待っててね」
受付の人に少し警戒されてる。いや確かにさ、おっさんの手を折っちゃったけどさ…わざとじゃないんだし許してよ…
「不備はないみたいね。じゃあこれを預かります。試験は書いてあった通り二日後。時間に遅れないようにね」
「分かりました」
「それにしてもすごいわね。昨日あなたが倒した人って結構ベテランの冒険者よ?どういうトリックで倒したの?」
「企業秘密ですよ。あはは…」
まさか防御したら折れちゃいましたなんて言える訳がない。逃げるようにギルドから出る俺。なんか今日はどっと疲れたなぁ。その後の二日間は特に何もなかったから、ゆっくり体を休めて試験に備えた。
そんなこんなで試験当日がやってきた。
試験場所に行くと、およそ500人の人が集まっていた。やっぱり俺の方をチラチラ見てる奴が多い。もう無視しようと決めていたので、無視する。で、空いている1番後ろの席に座ったところで試験管らしき人が出てくる。
「やあ、諸君。はじめまして。僕は今回の試験を担当するハグリー=イノセントだ。少し試験の説明をする」
色々語ってはいるがこいつそんなに強くないな。こいつが試験官なら余裕だ。なーんてフラグを立ててしまったからか…
「配点は、筆記200点、実技100点、面接100点の計400点満点。360点以上で合格となる」
…はあ?筆記が1番配点高いって…冒険者なんだから普通実技多く取るだろ…え、この認識間違ってないよね?
「まず筆記試験から始める。カンニング行為は即失格だから注意しろ。では、始め!」
ポカーンとしてたら始まってしまったので、慌てて問題を見始める。先に言っておこう。もちろん魔物と人間の言語は違う。喋るのは割と簡単だ。でも、筆記になってくると話は違う。文法とかもあるのでかなり難しい。みんなの世界でいうフランス語のテストを受けているような感じかな。そんなこんなで無事死亡。どうしよう…
「みんな外に出ろ」
そう言われたから次は実技か。
「今回は2人1組になって猪を狩ってきてもらう。制限時間は1時間。それまでに20匹以上の猪の耳をここに持ってこい。組分けはすでにこちらがしているから発表する」
ここでペアで動くのか…まあ冒険者はあまり1人で行くことはあまりないからな。俺のペアは…
「私、マーリン=ゾグラグだよ!よろしくね!」
急に自己紹介を始めた。
「レイ=ベルセリオンです。よろしくお願いします」
「レイ君かぁ。歳はいくつ?なんで冒険者になろうと思ったの?」
「歳は21です。これでも、自由になりたかったので冒険者になろうと思いました」
「私と同い年なの?申し訳ないけど、かなり年下に見てた…」
「よく言われるので気にしないでください」
「敬語なんていらないよ!仲良くしよ!」
「う、うん」
すごいペラペラ喋るなこの人。まあ無言でひたすら狩り続けるよりはいいが。
「じゃあ行こうか!」
そう言ってマーリンは走り出す。これは振り回されそうだなぁ。
「レイ君は前衛?後衛?」
「どっちでもいけるよ。マーリンさんに合わせる」
「そう。じゃあ前衛お願い!」
「おK」
マーリンは弓と魔法を得意としているようで、遠距離から次々と猪に当てていく。人間にしては筋がいい。俺は家から持ってきた剣を使い、マーリンが取りこぼした猪を狩る。普通逆だけどね。
20分もしないうちに30匹狩れた。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
「そうだね」
「ねえ。レイ君が3日前に冒険者の人をボコボコにしたって他の受験者から聞いたんだけど…」
「ボコボコにしたっていうと語弊があるけど、倒したのは事実だよ」
「すごいね…冒険者を倒すなんて」
「マーリンさんの方がそいつよりも強いと思うけど」
「そんなことないでしょ…冒険者が」
やっぱり少し気にしてたんだ。それ。でも言い方的にはその場にはいなかったっぽいよね。どこまで広がってんの…集合場所につき、
「ゾグラグ、ベルセリオン組は合格!」
そういわれて、俺たちはハイタッチをするのだった。