入社初日
前回の面接から数日して、彼女は入社してきた。
「はじめまして。名前は渡辺 早希と言います。どうぞ宜しくお願いします。」
全体朝礼で挨拶して、私の隣の席に配属となった。
若くて綺麗な女性との会話にとても緊張した。
そして、営業アシスタントというはじめての職種に戸惑いを感じた。
営業の仕事をどれだけ渡したらいいのか?どこまでお願いしたらいいのか?
その答えを考える時間稼ぎとして商品知識を学ばせることにした。
暗記させる資料を私、日中はそれを必死に覚えてもらう。
そして夕方にはテストをする。
覚えが悪い場合には、1つ1つ説明をしながら、再度暗記してもらうことにした。
私の会社は特殊金属を販売している会社である。
なので、色々な材質があり、覚えることが多いのだ。
課題を渡した私は、渡辺さんに資料を渡し、営業に出た。
お昼前に戻って様子を見ると難しい顔をして、与えた課題に取り組んでいた。
声をかけてみた。
「覚えれそうですか?」
そうすると彼女は答えた。
「難しいですが、がんばります!」
先ほどまでの難しい顔とは違って、話をするときには少し笑顔もでた。
ただ、このやり方でいいのか?嫌になって辞めてしまわないのか?
色々な葛藤があったが、このまま続けることにした。
通常の営業ルーティンでは定時後に戻ってくることが多いのだが、渡辺さんのことも
あるし、少し早めに戻ってきた。
「今日1日大丈夫でしたか?」
声をかけた。
「お昼過ぎから眠くて死にそうでした・・・。」
ずっと勉強は飽きてしまうので、そうだろうなーと思いながら
会話を続けた。
「テストしようと思いますが、どうしますか?」
「まだ完璧ではないので、家に持ち帰って覚えてきます。」
非常に勉強熱心だなっと思い、時間も定時過ぎだった。
「わかりました。明日の朝テストします。」と伝え、帰宅させた。
こうして初日は何も無く終わっていった。