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2.メイドのナタリー


「よし、お金はつめた。置き手紙はかいたし、それから・・・」


家出をするための準備を着々と整え、最後に姿鏡のまえで1周し、自分の服装におかしなところがないかを確認する。


「我ながら完璧。これなら、どっからどうみても町娘ね。」


さすがに、ドレスで家出するわけにもいかず、こっそり屋敷を抜け出そうとしていたときに、用意していた、町娘風のシンプルな白のワンピースに着替えて、自画自賛していた。平凡な顔に平凡な茶髪がほどよく平民感をかもし出していて、まさか、誰も貴族だとは思わないだろう。




コンコンコン


「奥様。入ってもよろしいでしょうか。」


まっ、まずいっ!!


今の私の姿は町娘だ。こんな格好、今から家出しますよ〜って、いってるみたいなものだ。この屋敷の使用人たちは旦那様に絶対服従なので、最悪なことに旦那様にすぐに伝えに行くだろう。そうなれば、私は終わりだ。



おまけに、今のメイドの声はナタリーだ。ナタリーは私が前に屋敷を抜け出そうとしたとき、旦那様に告げ口した要注意人物だ。


とにかく何とかしないとっ!!私は急いで家出用のバックをベットの下に押し込み、机の上の置き手紙は本で隠した。


「奥様?どうかなさいましたか?お部屋に入ってもよろしいでしょうか。」


「えっ、ええ。 大丈夫よ。」


ガチャ。


ドアノブが回され、少し濃い茶髪を、きっちりとひとつにまとめ、メイドドレスをピッシリと着こなしたナタリーが、部屋に入ってきた。


「・・・・・・・奥様。どうして昼間から毛布を被っておられるのですか?」


「えっ、えっと、部屋?が、、す、少し寒いかなーって思って。」


しどろもどろになりながら私は答える。もちろん、毛布を被ってる理由は町娘衣装を隠すためだ。さすがに苦しいと思うが私の頭ではこれが精一杯だった。


「・・・・・・・左様で。」


ナタリーは納得してなさそうな顔でジトーっと私の顔を見た後、

鋭く、目を細めて置き手紙が隠してある机の上に視線を向けた。


あっ!羽ペンしまうの忘れた。

ナタリーは私と年があまり離れていないのに、妙に鋭いところがある。私はあの羽ペンを普段使わないので、インクのついた羽ペンがおいてあるのは不自然だ。


「奥様。珍しいですね。羽ペンをご使用になるなんて。なににつかったんですか?」


ナタリーは"怪しいですね”のオーラを全開にして私に質問してきた。


「えっ、、と」


「まさか、まさかと思いますけど奥様。また、屋敷を脱走しようとしているのではありませんよね?さすがの奥様も、反省なさっていらっしゃいますよね?」


どきりと心臓が跳ねる。


「まっ、まさかぁ〜。さすがの私ももう、こんなこと、こりごりよ。これは、えっと、、そう、旦那様に謝罪の手紙を書こうと思って!旦那様に迷惑をかけたでしょう?」


咄嗟に出てきた言い訳にしては、上出来だと思う。


「あぁ!そうでしたか。それはよいことですね。申し訳ありません。奥様。疑ってしまって。奥様が屋敷を抜け出そうとしていたときに部屋に残っていた置き手紙が羽ペンでお書きになられていたので、また、懲りずに置き手紙でも書いて、脱走なさそうとしていらっしゃるのかと思ってしまいました。」


「ふふふふ、、ソンナコトシナイワヨー」


私はナタリーの鋭さに笑うしかなかった。さっきから心臓がバクバクいってて大変なことになっている。


「そ、そういえば、ナタリー。あなた何をしにここにきたの?」


「あぁ、そうでした。奥様。旦那様から伝言です。『私は今日帰りがおそくなるけど、悪いことせずに、いい子にして待ってるんだよ。マリア。』とのことです。用件はこれだけなので私は失礼します。」


そういうと、ナタリーは微笑みながら部屋を出ていった。



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