その後
数日が過ぎた。
今まで一日だって休んだことのない連絡が5日も途切れた。
当たり前だ。別れているのだから。
しかし女には理解ができない。まだ“繋がっている”と感じている。
庭先でタンポポが綿毛に変われば彼に言いたくなり、
一緒に話をしていた車がキャンペーンになったとチラシをもらえば相談したくなる。
病院に行って採決が怖かっただの、母の日にあれをあげただの、話そうと心に思ったり、新しいメガネを一緒に選んでもらおうと買うのを控えたり。
とにかくまだ彼と過ごしている日々であるかのような生活を送っていた。
また女は泣き止んでいた。笑顔の少ない日々でこそあれ、一見普通に見えた。数日前、男に手紙を出したからだと女は考えている。思っていること、愛していること、自分が間違っていたいたこと、話したかった内容を全てしたためた。「読む」と約束してくれた。自分の想いが伝わると思い、女は安心した。
泣き止んだ女は逆に少し怖いものがある。泣いている間はただ悲しんでいるように見えるが、泣き止めばどっちか正直傍目には分からない。
能天気な人が「元気だね!!最近どう?」とか聞いてしまった暁には、どうなったか知れたもんじゃない。そのときこそ泣いてしまうかもしれない。心は笑わず表面だけ笑って「大丈夫」そんなの朝飯前だ。