5話
「ケインさんに渡された地図では俺たちに修行をつけてくれる人っていうのは町のはずれにいるらしいな」
町のはずれ…またギルドに戻るのがめんどくさいな。
「きっと昔悪いことをして町から追い出されちゃったんだよ!」
「そんなことないだろ」
「じゃあ、昔からの人間嫌いで人を見るたびに血祭りにし
たくなっちゃって町に居たくてもいられないとか?」
「どんな人だよ…」
「じゃあ祐一はどんな人だと思うのさ!」
「さあな、なんで結衣の例えは悪サイドなんだよ」
「だって町のはずれだよ?なんか理由があってそこにいる方が魔女みたいな感じでいいじゃん!」
「いや、そもそも女なのかわからんしな」
すると結衣がチッチッチと指を振る
「祐一はわかってないなぁ〜こういうのは大体魔女って決まってるんだよ!」
「そういうもんか?俺は男の剣とか使える人の方がいいけどなー」
「いやいや、せっかく魔法のある世界にいるんだから魔法使わなきゃもったいないよ!」
確かに昨日雷魔法とかかっこいいとか思ってたっけ
「結衣は魔力多いらしいからいろんなことできるかもな」
「まあね〜、実はもういろいろな魔法を考えてるのです!」
「どんなのだ?」
「気になる?気になる?」
歩きながら下から顔を覗きながら聞いてくる
「まぁ気にならないと言えば嘘になるな」
「でもナイショ〜!」
うざいが可愛いと思ってしまう自分がとても情けない…
「あ、でも詠唱とか必要なのかな?」
「漫画とかだと必要じゃないか?」
「そっか〜、高2にもなって詠唱は恥ずかしいよねー」
想像して見る…
確かに恥ずかしいなんてもんじゃないな…
「まぁ、バカみたいに、転移っっっとか叫ばなければいっか!」
「それは記憶から消せ!!!」
「もうバックアップとってあるもんね〜」
「バックアップも消せ!」
「やだよ〜!あ、見てみて!あれじゃない?魔女の家!」
「話をそらすな!」
結衣の指差す方を見てみると確かに家が町から少し出た所の小さな丘の上に一軒ポツリと建っている。
木でできた一軒家のようだ。
「やっとついたね〜」
「記憶は消してもらうからな…、チャイムがないな、とりあえずノックしてみるか」
トントン…
反応がない。
「居ないのかな?」
「もう一回してみるか」
トントン…
反応なし。
トントン…
反応なし。
「ほんとに居ないのか?」
「いや、まだ諦めるのは早いよ!」
「どうするんだ?」
「こうするの!」
トントントントントントントントントントントントントトトトトトトトトトトン
すごい速さでドアをノックしまくる。
昔俺も結衣が家に来た時に居留守を使ってやられたことがある。
やられたことがあればわかると思うがこれをやられると相当うざい、しまいには借金取りの真似をし出す始末だ。
まさかこの年でまだやるとは思わなかったな…
「おまえ…それはかわいそうだぞ、ほんとにいないかもしれないし」
「いや、いる!私の勘がそう告げているのだ!」
トトトトトトトトトトトトトトトトトトトトン。
しばらく続けると…
「うるさーーい!!!!わかったって!今出るよ!!」
中から声がして来た、女の声だ、だが声が幼い?
あのギルドマスターは50代ぐらいに見えたからその知り合いとなると年齢もけっこういってると思ったのだが。
「ほら!やっぱりいたね!」
結衣はとても満足そうだ。
「そうだな…」
バンッとドアが開かれる。
「誰だお前たち!ノックがうるさすぎるぞ!新手のいじめか!?」
それはほんとうにごめんなさい。
謝ろうとするがその人物を見て驚いた…なぜなら…
「「…………幼女だ」」
結衣も全く同じ感想だったようだ。
「幼女って言うな!!」
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