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「それじゃ、調べにいきましょう」

 響子の死亡届けの件を翌日先輩に伝えると、その辺りに買い物にでも行くかのように気楽な口調で言う。

「調べるってどこ調べるんですか?」

「そうですよ」

 俺と響子が同時に言う。悠は我関せずで、叔父さんから借りたマンガを読んでいる。

「響子さんのご実家よ」

「はい?」

「だから、響子さんの実家に行ってご両親に直接聞くのよ」

「いきなり行って教えてもらえるんですかな」

「いきなりなんて行かないわよ。ちゃんとアポイントを取ってから尋ねるつもりよ」

「でも教えてくれますかかね」

「そこも多分大丈夫。私に良い案があるから」

 部長はニコリと笑って言った。


 先輩の言う良い案というのは叔父さんを利用すること。

 まあ、確かにそうかもしれない。

 俺達みたいな高校生がいきなり電話で死んだ娘さんのことを調べているのですが、とアポを取っても信用なんか絶対にされないだろう。

 その点叔父さんは天下に名だたる公務員、本人の資質はともかく社会的な信頼性は抜群だろう。

 まあ、丸投げというやつだ。

 どうやって響子の家に連絡を取ったのか知らないけど、詳しく知りたいと思わないし、とにかく叔父さんは連絡を取ることに成功した。

 ということで、約束取りつけた日に響子の実家へ。

 訪れるメンバーは叔父さんを筆頭に、俺、先輩、それから悠も何故かついてくるし、それに俺が行くのだからもちろん憑いている響子も。

 こんな大勢で押しかけても大丈夫なのだろうか? という一抹の不安も多少あるけど、叔父さんも先輩も全然そんなことを気にしている素振りをみせないから、おそらく事前に連絡をしているのだろう。

 響子の生前に暮らしていた家はGWゴールデンウィークに探索したときに発見した元本屋から少し行った先にあった。

「あ、ここ私の家だ」

 響子の家はGWに散策したとき見つけた元本屋から少し離れた場所にあった。

 あの時、お寺のある山の方へ行かずにいたら、発見できたかもしれないのに。

 ああ、でも響子が都合よく、あの時に思い出していたとも限らないな。

 一見遠回りのように見えても、案外これが最短のルートだったりして。

 まあ、その辺の感想はともかく響子の家は古くて大きかった。



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