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 スマホで叔父さんに連絡を。

 公務員だからこの連休に仕事なんかないはず。おそらくどこかに走りに行っている可能性は高いけど夜、というか暗い時間はめったに走らないはず、それならばもうすでに家に帰ってきているかもしれない。今から来てもらえば。ああ、でも連休だから昼間か自分の家で酒を呑んでいる可能性も。もしそうだったら俺が卒業アルバムをもって行けばいいだけの話か。

『ああ、悪い。俺今、松山にいるんだ』

 スマホの向こうから聞こえる叔父さんの声。

 松山って四国の。なんでそんな場所にいるの?

『いやー、前からしまなみ海道を走ってみたかったんだよな。だったらついでに足を延ばして佐多岬まで行ってみようと思ってさ、帰るのは明後日かな』

 何でそんな所を走ろうと思ったのさ。普段は近所、しかも平地しか走らないくせに。

『それよりも何で俺の中学時の卒業アルバムなんか見たんだ?』

 響子のことを調べるために、という明確な目的はあるけど。それをスマホ越しに説明するのは面倒くさい。だから、

「他にも部活関連の本が見つからないかと思って家探ししていたらたまたま目に入ったから、つい。……見ちゃダメだった?」

 適当な理由を即座にでっち上げる。

「正直に説明すればいいのに」

 俺にしか聞こえない声で響子が言うけど、あえて無視をする。

『別に見られて困るような写真は載っていないはずだから別にいいけど』

 当時とは全然違う、面影のないような変わり果てた体型。

 そのことを言おうとしたけど思い止まる。余計な薮を突いて蛇を出してしまう必要はない。

『それで心霊写真と名簿の不自然な空白ね。そんなのがあったら大騒ぎになっていると思うけど、そんな記憶なんかないからな。ああでも、卒業してから全然見ていない。……うーん、それじゃ今でも連絡を取っているのが何人もいるから、そいつらにも聞いてみるわ。そんで後から報告するからそれでいいか?』

 別に異論はない。

 本音をいえば、俺も響子もできればすぐにでも知りたいけど焦っても仕方がないこと。

「うん、じゃあお願い」

 待つだけの身になってしまう。



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