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 叔父さんを見送っていたら、丁度晩御飯の時間に。

 いつもなら俺の横で羨ましそうな顔をしながら、何かと話しかけて宙に浮いている響子が、今日はやけに静かだった。

 多少は気になりつつも、それよりも空腹が勝ってしまう。

 中学時代は部活、陸上部で走っていたからエネルギーが必要でよく食べていた。今はもう部活はしていない。している運動はたまにロードバイクで走るくらい。なのに、食欲は変わらない、むしろ若干増えているような気が。これは成長期だからなのだろうか? それとも家系なのだろうか? 叔父さんはあの年になってもよく食うし。だからこそのあの体系だ。

 うーん、俺も控えたほうがいいのだろうか。本能のままに、体が求めるままに、胃が欲するままに食べ続けていたら、そう遠くない将来あんな腹になってしまう可能性も。

 そうは考えるけど、食欲は止まらない。箸は動き続ける。

 結局、いつも以上に食べてしまった。

「ごちそうさま」

 前は食べ終わっても何も言わずに席を立っていたけど、最近では響子がうるさいのに一言言うようにしている。

 さ、食べ終わった。叔父さんの持ってきたDVDを響子と一緒に観ようか。いや待てよ、俺は別に観なくてもいいんだから。夜寝る前にセットしたほうがいいのか?

 そのことについて相談しようと響子の方を見る。

 響子の視線は俺の方ではなく、かといって手にしているDVDにも向いていなかった。

「ねえ、さっき言っていた部屋って何処にあるの?」

「は?」

「そこに同人誌があるかもしれないんでしょ。探そうよ」

「今からか?」

「うん、今すぐに」

「無理だな、それは」

「どうして?」

「あの部屋足の踏み場がないくらいに物が散乱しているから。中に入るもの一苦労だし、その中からお目当ての品を探し出すのも苦労する。それにバタバタとしいたら怒られるし」

 こんな時間からじゃ無理だ。休みの日でもないと。

「……そうか」

「うん、そう」

「それじゃ、その部屋はどこにあるの? 私一人だけならうるさくならずにすむはずだし。夜竜ちゃんが寝ている間に探すから」

 それは無理な話だ。俺に憑いている響子が動ける範囲は、半径二メートル弱。物置になっている部屋は俺の部屋からそれ以上に離れている。

 そう説明する。

 それにしても何でこんなに熱心なんだ? 部室で探している時はそんな素振りなかったのに。

 しばしの沈黙の後、残念そうな音が。

 その音はしばらくの間、俺に耳に残った。



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