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 相談というか、協議というか、一限目の授業中に行われた俺と響子の声と筆談のやり取りの結果、短い休み時間は教室で読書をすることに相成った。

 これなら、読書もできるし、昼休み及び放課後には話ができる。

 ということで、つかの間の休み時間に響子にせっつかれるようにしてバッグの中に仕舞ってあった本を取り出し、自動ページめくりマシーンとしての機能を再開する。

 指示を出されると指でページを繰る。

 昨日と一緒。図書館とは違うのは俺の目が本の活字にではなく、横にある響子の表情を盗み見ていること。

 俺は後でじっくりと自分の部屋で読むから、もう活字を目で追うことはしない。

 けど、周囲から見れば読書をしているようにしか見えないはず。

「珍しいー。竜ちゃんが本読んでるー」

 悠が俺の読書をさも物珍しいように言いながら近付いてくる。

 たしかに珍しいかもしれないけど、そんなに驚くことないだろう。これまでの人生で何度かお前の前で本を読んでいただろ、まあマンガだけど。

 俺だって本くらい読む。まあ、今はページをめくっているだけど。

「ねえねえ、どんな本読んでるのー?」

 右脇からひょいと顔を出して覗き込んでくる。偶然だけど、響子と悠の顔が見事に重なる。なんか気持ち悪い。

 だけど、そんな俺に気持ちも知らないで悠はしつこく聞いてくるし、響子はそんなことなんか一向に気にせずに読書に集中している。

「竜ちゃん、次」

「教えてよー。あたしも読んでみるから」

 重なったのは顔だけじゃなく声も。

「うるさい。後で、家に帰ってから教えてやるからそれまで待ってろ」

 悠に言いながら、ページをめくる。

 同時に相手するのは疲れる。



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