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クロエと暗い館  作者: 八雲ゆづき
3/5

一階左側

 館の一階左側、おおよその造りは変わらなかったが、少し違う。

 右側は角を曲がるとすぐ行き止まりだったが、左側は角を曲がるともう一つ角があった。

「あれ、左右対称ではない? 何でだろう......」

 とにかく例の如く奥から見回っていくことにした。


 最奥の角を曲がると、目の前は行き止まりで窓ガラスがついていた。外を見てみても暗闇が広がっている。『暗い館』に相応しい。

 その右側に扉があり、一つ目の角を曲がった正面にも扉が一つあった。

 奥の扉、先程は『花』が彫られていたが、今回は『鳥』。そしてびくともしない。

 手前の扉、そこには『風?』 に見える模様が彫られている。

「さっきといい、今回といいここには鍵付き扉が多いな......もしかして『宿泊施設』とかなのかな」

 一人しかいない今、どうしても独り言になってしまうのは仕方がない。なにより、そうすることによって自分の精神面を安定させているのだ。

 一人でこのような場所にとばされて、冷静でいられる。その方が奇跡なのかもしれない。

「扉に模様があしらわれている。その扉は基本的に開かない。やっぱ鍵が要るんだよな......」

 そうとなれば探すしかない、当たり前の事である。

 そうときまれば後回し、その前にやることはいくらでもあるだろう。

 実際、この二つ以外にももう一つ部屋がある。それが、正面ホールから左側の通路に曲がってすぐ目の前にある扉だ。

 扉の場所まで戻る。扉の横に『食堂』の文字がある。

(ここに食堂があるのか、と言うことはやはり何かの宿泊施設か?)

 とりあえず調べてみることにした。


 中は思っていたより綺麗だった。まるで誰かがまだ使っているかのように。

「蜘蛛の巣の一つもない......誰かが住んでいるのか? まぁその可能性も無いことは無いだろうけど」

 考えていても答えはでない。探索しよう。

 中央に大きな机があり、横にそこそこ高級そうな椅子がおいてある。

 一番奥の席だけ最も高級感を醸し出していた。おそらく館の主人が使っているのだろう。だとしたらここは宿泊施設等ではなく、お屋敷ということになる。

 奥の席の前に食器が置かれていた。ナイフ、フォーク、スプーン、どれも三つずつ置かれていた。そして一際目を引いていたのが『銀の器』。

 これは聞いたことがある。王族は毒殺を防ぐために銀器を使う。銀は毒に反応して色が変わるのだ。毒を入れようものなら一瞬にしてバレてしまうだろう。

「中に液体が入ってる、色が悪い......銀の器も変色してる。毒がもられているのか......」

 何故か嫌な気分になる。誰とも知らない人でも、殺されかけたのだ。全ての人々が仲良く暮らすだなんて、うまくいく事はないのか。自分に置かれている立場を含めて......。

 この部屋には調理室が無いみたいだ。どういうことだろう。間違いなく何処かに調理室があるはずだ。

 しかしこの館の造りが妙だ。食堂がここにあるというのに、違う階に調理室を造るものか。

(本当に妙な館だな、早くでないと自分が危ないかもしれない......)


【クロエの持ち物:ビー玉】

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