魔法少女 店員になる。~その2~
お待たせしました。やっとお店の内部の話です。私服にしても仕事の服にしても言葉で表すのって大変ですよね。
セレスとエーデルに連れられてお店の奥の部屋に入る。そこは大きな部屋があり右側と左側とそれぞれドアが続く。左右男女のロッカーを分けているようだ。そのロッカーに通じてるここは従業員の休憩スペースなのだろう真ん中には大きな机とポット、調度品がある。
部屋に入るなりエーデルがカノンにエプロンとこの店の仕事服を手渡す。白のワイシャツ、黒のベスト膝丈のある黒のタイトスカート、ローヒールにこのエプロンだ。
エプロンは肩紐の帯はフリルがついていて、真ん中には2つポケットがついている。色は淡い緑色でカノンの髪色を意識しているのかとも思える。
エーデルがカノンにエプロンを手渡した後、自分のエプロンを出してきた。カノンとは色違いで基本は白で帯が青紫になっていた。
「カノン、お店の中ではこのエプロンを使いなさい。一応喫茶店がどういうお店かは知ってる?」
「はい、お客様にコーヒーや軽食を提供して静かなひとときを過ごして貰う場所ですよね?」
カノンはそつなくエーデルの問いを返す。エーデルは微笑みながら答える。
「そうね。認識的にはその解釈で構わないわ。ちょこっと違うのはこの喫茶店には時々悩みを抱えるお客様が来て、その話を聞いてあげたりするところかしら。だから下手に刺激するような用語は使えないのよ。でも最初のうちは私たちがどちらかホールにいるようにはするし、そんなに緊張しなくてもいいわよ。」
その話を聞いて、カノンは少し安心した。何度も言うようにカノンの知識は魔法界で植え付けられたルールに基づいたもの。郷に行けば郷に従えということわざがあるように人間界でのルールは実際に住んでいる人からしか聞くことの出来ない経験なのだ。
ともかく簡単なレクチャーを受けた所でエーデルと一緒にロッカーに入る。2人から聞いた所によるとこの喫茶店は店長のユーリを含めて5人で営業しているらしい。男性陣は主に厨房にたって料理を担当。女性陣がホールで接客、掃除といったお店の環境維持をしている。
ロッカーに入ると既にセレスがお店の衣装に着替えていた。エプロンは彼女を意識しての淡黄色。
入ってきたエーデルとカノンに目が入ると、少しにやけた顔をしながらカノンに話しかけてきた。
「衣装は貰ったよね?それじゃ着替え方わからないものもあるんじゃないから、手伝うね。うんそれがいいよね。」
勝手に自己完結させてカノンに近づき,カノンの服を脱がし始める。その様子を見ていたエーデルは呆れ顔をしながら,視線ではずっと着替えの方を見ていた。
セレスの助けもあってかカノンの着替えは終わった。カノンの着替えでの改善点はきれいなロングをポニーテイル、髪をとめるのに十字架を髪留めに使用した。そんなカノンの着替えを和気藹々としてやっていた3人だったのだが,時間を見ると開店時間前20分を切っていた。
セレスとエーデルが急いで厨房に戻る最中、カノンは2人の男女と出会う。
1人はセレスと同じ金髪の碧眼、容姿は気怠そうな顔をしているが目がその印象を忘れさせてしまう。背は170cm前後でやせ型ではあるがひ弱さを全く感じさせない。服装はカフェコートを着用している。
もう1人は女性でカノンと同じロングだが銀色。オッドアイの眼、物静かなイメージかつ放置しておくとどこかにいってしまいそうな、カノンとは違うタイプの女の子。年齢は見た目では変わらないと感じ、背は150cm前後服装は既に着替えていて、同様にポニーテイルをしていて両翼のエンブレムの髪留めエプロンは白銀と空色のボーダーでスカーフで隠してはいるが星のペンダントが少し見え隠れする。
2人はカノンを、カノンは2人を見つめて男の子が口火を切った。
「店長から開店前に顔会わせして置くように言われたのだけど、貴女がカノンさんで間違いない?」
「間違いないです。今日からしばらくお世話になるカノンです。いろいろ至らない点があ・・・・。」
話の途中で男の子が切った。「開店前だからあんまり堅苦しいのは。俺はレオン。店長と同じで厨房を主に担当している。まぁ酔狂で指名を受けてお客の相談に乗ったりするけど(笑)」
とレオンが自己紹介すると女の子の方も小声少し頬を赤らめて挨拶してきた。
「シャルといいます。まだ、、ここに入って間もないので、、店長さんたちの仕事を手伝ったり、、お店の中の片付けをしたりしてます。口下手ですが、、、仲良くしていただけたら嬉しいです!」
レオンが2人に「今日も1日頑張りましょうか!!」と喝を入れて3人ともロッカーを出て行った。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
主要キャラクターはこれで全員(今の所は)となります。多くてもわかりにくいだけですので。
シャルに関しては文章では伝わりにくいですが、この世界では初めての人見知りの激しいキャラとなっています。
いつも読んでくださって居る方には最大の感謝を。