先輩魔女たちとの邂逅
第2話になります。説明が多くなって、読みにくいですが付き合っていただけると幸いです。
転移陣は協会内の聖堂に置かれており、六芒星の紋様が施されていた。
発動には協会の講師の許可(今回はエリスから受け取った指輪)と魔力を流し込めば発動する。
転移の座標は指輪内部に仕掛けられている術式で設定されていた。
カノンは魔力を練り、身体全体に纏わせた瞬間、転移陣と十字架は輝き出し、カノンを包み込んだ。
最初にカノンの目に写ったは輝くステンドグラス。内部は協会の聖堂とあまり変わらないようだが、高い天井と一つ一つの柱の彫りには彫った人の遊び心を感じさせるつくりになっていて、神聖さを感じさせる。
そんな風にカノンが見ていると一人の男性が声をかけてきた。白髪の長身で細身、修道服を着ていて首には十字架をつけている。
「失礼、貴女がカノンさんですか?私はこの聖堂で検閲官をしています、ラインといいます。早速ですが手続きに入りたいので隣の部屋にお願い致します。」
カノンはラインの言葉に同意して移動した。部屋は机が2つと椅子そして別の部屋に続く扉があり、一つの机にはポットとティーセットが置かれていた。
カノンが部屋に入ったところでラインは紅茶を勧めてきた。カノンはその紅茶に口をつけたところでラインは話始める。
「転移お疲れさまでした。トランク及び身につけているもので規定に違反するものはありませんので問題なく進んでください。それから、この世界に入る前に着替えをお願いします。修道服では何かと目立ちますので。更衣室はそこの扉にありますので。着替えた後はお世話になる魔法使いの所に向かってください。ちなみに魔法の使用はこの部屋と更衣室以外では使用を禁じていますのでご注意ください。何かお困りの点があればお答えしますが、いかがでしょうか?」
「今の所は問題ありません。ありがとうございます。」
「そうですか。今後何かありましたら、ノースフェルト聖堂までお越しください。」
ラインは話終えるとすぐに部屋を出ていった。カノンとしては、いつ違法物を見分けたのかとかこの聖堂についてとか聞きたいことはあったのだが、知るチャンスは幾らでもあるだろうと思い、質問しなかった。
ラインが出してくれた紅茶を飲んだ後、トランクを持って更衣室へと向かい、着替えを済ませる。
協会で学んでいたときから自分の私服というものを持ち合わせていなかったので、今回の準備の中で一番苦労したのだが、服装だがとりあえず肩紐が幅広の帯になっている空色のワンピースにミドルヒールのサンダル、十字架の首飾りに白いつば広の帽子と肩掛けのポシェットというコーデニングにした。
(自分では似合っているのかわかっていなかったが、服選びを手伝ってくれた店員さんが一瞬言葉を失ってから「お似合いですよ」と言ってたのとお店内の男性の目線がにやけていて、周囲の色がその証明になっていたので、これにしたのである)
着替えが終わり、聖堂から出るとそこには古い街並みに活気づいた商店の数々とカノンにとって目新しいものが数多く広がっていた。カノンの転移した先フレイブルグ大公国は歴史的には多くの国に占領されたりと苦しんできた国なのだが、今はちゃんと自分の足で立ち自然・人・文化が共存する国となっている。
現在、カノンがいるのは首都のフレイブルグ市。今回お世話になる先輩とはこのフレイブルグ市の中央公園にいらっしゃるようだ。
カノンはエリスから貰った地図を頼りしながら、中央公園を目指す。
ただ、その中央公園も簡単に見つかった。中央公園に入ったカノンはベンチに腰をおろし、改めて街並みを見渡す。
すると、そよ風が軽く吹き、葉が2枚落ちてきた。その瞬間誰もいなかったはずのカノンの正面に2人の女性が立っていた。
1人はカノンと同じくらいの背丈で青紫色のショートヘアで、目は髪と同じ青紫色をしている。紺色のブラウスにくるぶし丈のスカートにヒールの高いサンダル。儚げなような容姿は魅力的に見える。
もう一人はカノンより5cm高い金色でセミロング。目は碧眼でYシャツにカーディガン、パンプスで白い靴を履いている。活発さと笑顔がとても似合う女性である。2人に共通しているのは十字架の首飾りが付けていることだった。
カノンが戸惑っていると、青紫色の女性が話しかけきた。
「貴女がカノンさん?」
彼女の発する透き通るような声はカノンがうっとりするくらいに素晴らしいものだったがなんとか頷くことは出来た。
そしてその反応を見て隣から笑いながら、金色の女性がカノンに話しかける。
「これはすごい!初見でエーデルの声に反応できるなんて。大抵は頷くことも出来ず、ただうつむくことしか出来ないのに。やはりエリスの目は狂いは無かったんだね。」
「やめなさい、セレス、カノンさんが恐縮しきっているわよ。とりあえず進行は貴女に任せるわ。」
セレスと呼ばれた女性は「はいはい」と言いながら、自己紹介を始めた。
「えっと、カノンって呼ばせて貰ってもいいかしら?私はセレス。セレスフィア。こちらの青紫の女性はエーデル。エーデルワイス。私たちが貴女の課題の監督役をさせて貰います。よろしくね。」
セレスはそう言うとカノンに手を差し出す。カノンはその手を握り「私はカノン。カノンスフィアといいます。お世話になります。セレスフィア先輩、エーデルワイス先輩。」
その反応に敏感に感じたのはエーデルワイスだった。もしかしたらと思いカノンに話しかける。
「カノン。私のことはエーデルさんでいいわよ。そんなに気を遣われるとこちらも困ってしまうから。」
「はい、わ、わかりました。エ、エーデルさん。」
セレスは一瞬ぽかんとしていたが、すぐに思考を戻し「私もセレスさんでいいからね。」と言った。
それでセレスはこう続けた。「それじゃ、家に案内するね。」
その言葉にセレス達は歩き始めた。
いかがだったでしょうか?基本として主人公の名前はカノンです。ただ真名としてカノンスフィアという名前を付けました。今後の魔法使いの登場キャラクターも同じように設定していくつもりです。
セレス・エーデルの職業については次話で書きたいと思っております。
今後も現実世界と魔法少女の交流をよろしくお願い致します。