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現実世界と魔法少女の交流  作者: 藤崎 紫
11/20

主に捧げる賛美歌

礼拝のお話です。前話のタイトルと似てますが続きです。


 カノンが教会で賛美歌の練習を拝見して数日が経ち、礼拝の朝を迎えた。

ちなみに今日は喫茶店はお休み。ユーリ自体が信徒であることとシャルが賛美歌の主線でのソロパートを任される程の声の持ち主であることを踏まえると喫茶店は営業しにくい。

 それにセレスやエーデル、レオンもユーリに勧められ礼拝には参加していて、時折教会内でのお茶会の品物に喫茶店のクッキーやポットでのコーヒーが振る舞うこともあるため教会が一種の喫茶店と化していた。

(お話を聞くのも喫茶店ではよくやっていることなので)

 

 カノンが朝、自分の部屋から降りてくるとセレスがキッチンに立っていた。テーブルではエーデルがセレスが焼いたクッキーを包装している。数にして20袋はある。

 セレスとエーデルが同時にカノンに気づいて「「おはよう」」とハモった。

 カノンも間髪入れず「セレスさん、エーデルさんおはようございます。これ全て配るのですか?」

 カノンの問いかけにセレスが苦笑まじりで

 「今日はお茶会は無いのだけど、その代わりとして礼拝に来るお店系列はちょっとしたものを配ることになっていて、うちはクッキーを配ることになっているの。」

 「でもこれ献金とは別だから経費が嵩むのだけど店長に言われたら従うしかないからね。」

 答えた。

 ここで話を聞いていたエーデルが話に割り込む。

 「確かに嵩むけれど広告にはなるのよ。この活動始めてからリピーターも増えたりしたし。様々な人と話す機会が増えたわね。それこそ老若男女問わずよ。そういう意味では感謝はしている部分はあるね。」

 「後ね、本来はやらないのだけどこのフレイベルグの教会って多いから週替わりで祈りを捧げる教会が変わるの。派閥も同じだからという理由なんでしょうけど、やはり違いは賛美歌と牧師のお話。

 早く終わってしまうものもあれば、相当本格的なものまで。私達は店長の名義で回っているわ。

確か今日はシャルの所だったかしら?セレス?」


 キッチンでオーブンとにらめっこしていたセレスにエーデルは聞く。

 「確かそうだったはず。というかカノンを教会に連れて行って今週と違う所はないでしょう。」


 シャルの声は今でも思い出す度に心に響く。神に捧げるに相応しい声だと感じた。

それをまた聞くことが出来る。カノンは内心ドキドキしていた。

 エーデルが最後のクッキーに包装を終え、カノンに「少ししたら出かけるから準備してね」と言い自室に戻っていった。


 セレスとエーデルはクッキーの入った紙袋を持ち ユグド・ラルフ教会に向かう。

 3人とも目立たない程度の青色のくるぶし丈のワンピースにかかとの低い白いヒールを履いていた。

胸元には十字架のネックレスを付けて教会へと入る。

 入った瞬間に既に数人の人が十字架を握り祈りを捧げている。3人は教会内の牧師の所を訪ねクッキーの紙袋を手渡した。その後礼拝堂に戻ってきて始まるまで待つ。


 カノンは教会に入ったときに配られていた冊子を読みながら時間を待った。


〈別視点 シャル〉

 シャルはとても緊張していた。シャルがこの教会でソロを始めて20回を超える。いつも通りにやればミスなく終わる、そう思っていた。しかし今日はカノンが自分の曲を聴きに来ている。カノンの第一印象はかわいい。それと自分と同じロングで相当似合っていた。一種の憧れを抱いていた。

 その日のお昼時間お話をする機会があった。元々口下手はシャルは何も出来ず時間だけが過ぎるのかと思った。でも彼女は私と違い歩み寄ってくれた。その時からだろう、もっと意識し始めてしまったのは。

 喫茶店内での彼女との会話も何もかも一つ一つが大切なこと。

 そんな彼女が店長に連れられて、練習を見に来た。声がうわずっていないか心配になった。

 私にとってカノンはまだ出会ったばかりの存在だけど、とても大切な存在。困っていることとかあれば助けたいし、彼女のことを知りたいそんな気持ちでいっぱいだ。

 深呼吸をして出来る限りリラックスする。その状態で舞台に出た。


〈視点 カノン〉

 今日のシャルは喫茶店で見せるような彼女では無かった。一つ一つの動作が洗練されていていかにも主に捧げる歌を紡ぐに相応しい存在だった。全員が歌詞を見る。有名な賛美歌の一つでカノンも魔法界で歌ったことがある曲だった。絶望の中を必死になって生きていく少年、その原動力には主が居たという曲。

ソロの絶望の中の少年を表すのが難しいとされているがシャルはそれを軽々と歌いきってしまう。

 カノンが気づいた頃には曲は終わっていた。すると礼拝堂の天井窓から光が差し込み主を守っているように見えた。

 そんな曲を歌えるシャルを心から尊敬し、それと同時ではあるが彼女のことを知りたくなった。

 

読んでいただきありがとうございます。作者の近くには教会はありませんがこの作品を仕上げるためちょこっと調べ お話を書きました。派閥によって聖歌とか賛美歌と呼ばれるようでその時間も短い所もあれば長い所もあるとのこと。献金については信徒でなければ強制ではないようです。

牧師さんのお話も現実ではキリストなら聖書を用いてお話されるようですが、全て理解出来なくてもよいそうです。なにか得る物があればラッキーという所なのでしょう。この回の牧師の話は飛ばしましたがそれ以上にシャルの想いの方が重要だと思って書きました。読んでの通りカノン大好きっ子ですね。

長くなり申し訳ありません。それからこの回を境に活動報告は10回投稿に一度とかにします。

書く内容尽きてきましたので。

もしよろしければ 今後も現実世界と魔法少女の交流をよろしくお願い致します。

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